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人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

『やる気もある! 能力もある! でもどうにもならない職場 ―閉塞感の正体―』

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
当社では2012年6月に、2010年8月に引き続いて2回目となる、主に「閉塞感」の状況を中心としたビジネスパーソン1,000人を対象とする意識調査を実施しました。
その結果は当社のリリースでお知らせするとともに、本ブログでも複数回にわたって詳細をお伝えしています。


その内容を簡単にまとめると、4割以上の社員が職場で閉塞感を感じており、2年前と比べてその割合が増加、その影響が社員のモチベーションの低下や転職意向の拡大につながっていることが判明しました。

そして今回、これらの調査や、これまでの当社における人事・組織領域におけるコンサルティングの知見を集約し、東洋経済新報社から本を出版する運びとなりました。

IMG_0005_largelyresized.pngのサムネール画像


「職場の閉塞感」がテーマ


今回取り上げたのは、「職場の閉塞感」というテーマです。

 本書のテーマは「職場の閉塞感」である。  閉塞感という言葉は、個人が抱く「感覚」であるが、その「狭いところに閉じ込められ」「身動きができない」そして「手の打ちようがない」雰囲気は、社会や企業の構造的な問題から発生している。つまり、働く個人としては簡単には対処のしようがなく、不条理感に近いものがあるのだ。職場内での閉塞感が続くと、働く人々は気力を失い、場合によっては精神的に追い詰められて、病に至る場合も出てきてしまう。 (中略) 閉塞感を発生させている根源的原因を解決しないかぎり、いくら社員を元気づける研修を行なっても、結局は元の木阿弥なのだ。 (中略) これらの結果から私たちが導き出したのは、働く人々は「成長意欲があるにもかかわらず、企業内の構造がそれを阻害しているのではないか」という問題意識である。本書ではこの問題意識に基づき、職場に蔓延する閉塞感と日本企業が抱える構造的な問題点の関係を解明していく。


この本を読むと何がわかるのか?


端的に言うと2点、「閉塞感発生のメカニズム」「閉塞感を乗り越えるための手だて」です。

第1章は「今そこにある閉塞感―4つのケース」と題して、20代から50代までの幅広い世代のビジネスパーソンが、どのような場面で閉塞感を抱いてしまっているのか、その状況をストーリー仕立てで描写しています。就職氷河期に入社後頑張ってきたもののキャリアの危機に立たされる30代、入社後バブル期を謳歌しつつも事業不振の渦の中でやむを得ず今の仕事を続ける40代、終身雇用を約束されながらもそれを自ら反古にする役割を割り当てられて苦悩する50代、様々な理由の中ジョブホップをし続ける中で知らず知らずのうちに報われない階層に押し込められている20代の4人が主人公。
状況は極めて深刻なのですが、この本の中では最も気軽にお読みいただける部分です。

第2章は「職場の閉塞感はどこからやってきたのか」というタイトルの元、第1章の各ケースで描写された情景の背景で、どのような閉塞感が立ち現われているのか、その背景をあぶりだしていきます。
多種多様な要因が相まった結果、閉塞感が生まれていることを理解いただければと思います。

そして第3章「社員を蝕む閉塞感の構造」では、第1章と第2章で見てきた閉塞的な状況を、より構造的・立体的に、メカニズムとして解説していきます。ここでは、閉塞感の発生源と元凶をそれぞれ「心理的なカベ」「構造的なカベ」と名付け、閉塞感の構造の全容を明らかにしようと試みています。

第4章は、「閉塞感に立ち向かう―カベを乗り越えるために」という題名をつけました。個人、企業、そして社会が閉塞感を乗り越えていくための、具体的な処方箋を提示しています。
これだけやればうまくいく、といった特効薬は残念ながら存在しないのですが、当事者意識を持って主体的に取り組む際の、実践的なアドバイス集として活用いただくことを目的としています。


最後に


この本は、本来当社の顧客(クライアント)となる企業の人事・経営企画系の方だけでなく、すでに企業などで働いている個人の方、そして企業への就職を考えている学生の方、そして社会政策に関する業務に従事している方にとっても、有益な内容になっているのではないかと考えています。

 本書の目的は、読者に閉塞感を生む構造とプロセスをよく理解してもらい、職場の閉塞感を乗り越えるための第一歩を踏み出していただくことにある。原因がわからない不透明感ほど、人の心をさいなむものはない。「なぜ自分はこのような追い詰められた心理状況になってしまったのか」と思ったとしても、たいていの場合、そこには個人の責任ではない真の原因があり、そこにはまりこんでしまった道筋が存在するのだ。それを理解するだけでも、不安感は払しょくできるだろう。そしてもう一歩踏み込めば、閉塞感発生のメカニズムを熟知し、それを逆手にとりながら、こちらから攻撃をしかける手立ても見つかるはずだ。

みなさま自身、周りの方々、そしてみなさまの組織、さらには社会が閉塞感を乗り越えていくためのツールとして、十二分にご活用いただければと思います。


今回は宣伝になってしまいました。滅多にないことなのでどうかご勘弁を。お読みいただきありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。


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本の出版にあたっては、東洋経済新報社の黒坂さんに本当にお世話になりました。ありがとうございました。社員一同、心より感謝申し上げます。そして引き続きよろしくお願いいたします。


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