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CFOはCEOへの登竜門? そう簡単にはいかないようです

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。

誰が次の社長になるか? というのは、組織で働く人にとっては大きな関心事でしょう。株主総会での決議事項と関連することが多く、3月決算の会社の場合、内々で見込みが出るタイミングは5月頃になるのかもしれませんが、その前哨戦として4月の異動を注視している方も多いと思います。そろそろ4月1日の内示も出揃った頃合ですね。

さて、この社長という呼び方ですが、ご存じの方も多いとは思いますが、法律で定められたものではなく、あくまで呼称です。そして、最近ではアメリカのコーポレートガバナンスに倣って、社長や副社長といった肩書の他に、CEOやCOO、CFO、CIOといった呼称を付与するケースをよく見かけます。CEOはChief Executive Officer/最高経営責任者の略で、経営全般を管轄する人、COOはChief Operating Officer/最高執行責任者の略で、日常的な業務執行の責任者となります。一般的には会長や社長やがCEOを名乗り、社長や副社長がCOOを名乗ることが多いのではないでしょうか。

そして、この日常業務の執行に責任を持つCOOの座に一番近く、かつ財務に明るいことから将来のCOO候補としてしばしば目されるのが、CFO(Chief Finance Officer、最高財務責任者)の存在です。ベンチャー企業においてはCOOと兼務している方もいらっしゃいますね。

そのような、経営幹部の中でも重鎮であり、将来を嘱望されていそうなCFOなのですが、その未来は想定されているほどには明るくない、という調査結果がCFO Magazineに掲載されていましたのでご紹介します。

Many Execs See CFOs as Poor Operators


業務執行に携わるCFOが増加


この調査は日本でも有名なヘッドハンティング会社であるコーンフェリーによって、145人の経営幹部を対象に、各自が所属する組織について尋ねる形で実施されたものだそうです。

まず下の図からですが、

CFO01.jpg
(出典: 下図含めKone/Ferry International, exclusive survey for CFO of 145 high-ranking corporate executives with a variety of titles)

CFOがどれくらい財務だけでなく業務執行(operation)に関わっているか、という質問に対し、上段から順に

  • CFOも兼務するリーダー: 5.5%
  • 業務執行の呼称はついていないが業務執行を統括: 4.8%
  • 積極的に関与: 29.0%
  • 何らかの形で関与: 31.7%
  • ほとんど、あるいはまったく関与していない: 29.0%

との回答が出ており、何らかの形で業務執行に関与するCFOは71%にのぼっています。財務のスキルや知識を経理・財務面で活かすだけでなく、その力を広く経営的な観点で日常の業務執行に活用している姿がそこにはあります。


でもCOOとしては不適格


このように十分な活躍をしているのであれば、今後のCFOのキャリアパスとして、現在のCFOから将来はCOOへと昇進させ、より業務執行への関与を増やしていくのが望ましいようですが、

But at the same time, more than half of the respondents think their finance chief is unqualified to be a chief operating officer.

しかし一方で、回答者の半数以上が、自社のCFOはCOOになるには適格では無いと考えている。

13Mar_Survey-2-.jpg

CFOがどれくらいCOOになるのに適格か、という調査では、上段から順に

  • 適格ではない: 51.0%
  • 可能性がないわけではない: 12.0%
  • 多少は適格な可能性がある: 20.2%
  • 非常に適格である: 11.8%
  • すでに財務と併せて執行面を統括出来ている: 5.0%

となっており、業務執行をCOOとして統括出来るという回答は約17%に留まっています。


CFOがCOOになるために乗り越えるべき2つの壁


なぜこのような結果になったのか、専門家は、経営幹部の疑心の元凶として、

One is a legacy view of the CFO's role as being mostly about accounting and reporting. Second, he opines that "a number of CFOs aren't wired with the softer people skills needed to come across as an effective COO who is leading and managing an organization."

その一つはCFOの役割のほとんどが会計とその報告に過ぎないというCFOの古くからのイメージだ。二点目についての見解としては、「多くのCFOは、組織を率いてマネジメントを行う有能なCOOとしての印象を与える上で必要な〔コミュニケーションなどの〕ソフトスキルを保持できていないことがある。」

と指摘しています。

自社の後継者計画(Succession Plan)を検討していく上で、財務畑出身者やCFOが将来の社長候補として選抜・育成されていくケースも多々あるかと思いますが、その際はこのような障壁をうまく取り払えるよう、仕組みを整備していく必要があるでしょう。

何らかのご参考になれば。ご一読感謝!

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昨今経営環境が複雑になる中で、経営改革や業務改革、特命事項といった、通常の役職以外の仕事を経営陣・役員、部長級の社員が適宜対応するケースも増えてきています。職務評価までは極端ではないまでも、職能による能力評価では運用が難しい場合、そういった場合には、企業ミッションを個々人の役割に割り振ることで、経営の変化に対応した評価を可能とするミッショングレード(役割等級)ベースの人事制度がお勧めです。




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