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人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

机のないオフィス

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日のエントリはちょっと変わり種な、THE OTTAWA CITIZENというカナダの首都オタワのローカル誌の記事をご紹介。




今回の話の対象はIrdetoというグローバルなソフトウェアのセキュリティを扱う会社。そのKanata(オタワの地名です)オフィスがフィーチャーされています。

At Irdeto's Kanata office, not even the senior vice-president has his own desk...
None of Irdeto's 140 workers has an assigned desk. There are rows of computers at long tables, 33 "focus rooms" and meeting rooms of various sizes ranging from an executive board room to cosy spaces suitable for a couple of people.

There is a sunny, spacious kitchen and dining area. Workers each have a locker. Every object at a work table, from a coffee mug to a laptop, must be cleared away at the end of the day...
10 informal seating areas with coaches and chairs in vibrant shades or orange, blue and green. Workers are free to duck into a meeting room for a quick consultation.

端的に言えば、よくあるフリーアドレスなのですが、役員クラスまで自席が無いというのは珍しいと思います。会社のファシリティのデータが出ていますが、

  • Number of workers: 140
  • Number of lockers: 190 (10 are for visitors)
  • Percentage of workers who are in the office on any given day, on average: 80
  • Number of meeting rooms: 33
  • Number of printers: 2
  • Number of unisex showers: 4

ということで、帰宅時は全てのモノを自分のロッカーにしまうことになっています。人によってはラップトップは家に持って帰って、ロッカーの中はスナック菓子だけという人もいるのだとか。
会議室が33もありますが、1-2人用が14部屋もあったり、テーブルのみのスタンディング形式が5つ、楽に座れる椅子の部屋が3つ、と特徴的です。さらにカウチソファや座りやすい椅子を完備したインフォーマルな10のスペースを用意しているのだそう。

"The whole paradigm is that important information happens informally, in the hallway, at the water cooler. Information finds me rather than me having to go to find it," says Sendyk

Sendyk氏は製品担当役員ですが、このシステムの要諦は、「重要な情報はインフォーマルに発生するもので、それは廊下だったり水飲み場だったりする。そこは情報を探しに行くところではなく、情報が私を見つけてくれるところだ」とのこと。"It's a pleasure to have information find me."とも言っていますが、この感覚を日常的に社員が体験するために、あえて固定席を作らず、机のないスペースを多く作って、井戸端会議的な雰囲気の中から優れたアイデアを生み出そうという工夫がなされています。

"It humanizes people a lot more," says Spencer. "Instead of calling or emailing a colleague, people are more likely to simply walk over. I would rather talk to someone for five minutes than email all morning."

マーケティングコミュニケーションのシニアマネージャーであるSpencer氏は、この仕組みがHumanization(人を人らしくする)の効果を持つと語っています。メールするより歩いて行って話そうよ、と。

とはいえ、リアリティとして、思ったほどのコスト削減は出来なかったようで、

Theoretically, by not assigning desks, this shrinks the need for workspace by 20 per cent. But there are more meeting rooms, so the space saving is less than that.

20%のオフィススペース減は会議室の増加によってそれほどの効果は上げられなかったそう。

また、円滑にこの導入が進んだわけではないようで、

Irdeto, a global software security firm, moved from its old cubicle farm last month to a former call centre that was reconfigured according to the technology company's specifications. Irdeto offices in the Netherlands, China and California are already designed this way....

"It's good, but it's different, the same way every student leaves primary school and their assigned desk. It's kind of like that. Some people love it and find it liberating. Others are taking longer to adjust."

オランダ、中国、カリフォルニアと来て、このKanataが次の対象になったそうなのですが、正しいことをすることと、正しく出来ることは違う、というとおり、人によってなれるまでにはある程度の時間がかかったのだそう。日本で一般的に言えば高校から大学へ進学した際の戸惑いと同様で、席が無いことにすぐ対応できる人もいればしばらく戸惑う人もいる、というたとえは言い得て妙です。

新規事業や新製品・サービスの開発などでスタックしている組織において、アイデアが向こうからやってくる環境をどのように作るか?という視点で考えてみるのも面白いかもしれません。

お読みいただきありがとうございます!


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