マーケティングとコンテンツの世界にどっぷり浸る筆者が、コミュニケーションの本質を掘り下げます

コンテンツマーケティングってなんだ?

»

お客様に「仕事ください」なんて言ったこと、一度もないよ--私が前職の広告代理店で成績が上がらずに、優秀な先輩営業マンに相談したときのことです。先輩は、手作りの資料を見せてくれました。

直接セールスするためのプレゼン資料や企画書ではありません。他社が出稿した広告やメディアの傾向をまとめた「お役立ち資料」です。10年以上前のことですが、振り返れば、先輩は「コンテンツマーケティング」を教えてくれたのだと思います。

■コンテンツマーケティングは、まず役立つ情報を提供する

コンテンツマーケティングは、Web業界を中心に昨年頃から盛んになったキーワード。2014年8月の「電通報」では、「コンテンツマーケティングとは、有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することによって、ターゲット・オーディエンスを引き寄せ、獲得し、エンゲージメントをつくり出すためのマーケティングおよびビジネス手法を指す。その目的は、収益につながる顧客の行動の促進である(「エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書」より)」と紹介しています。

なんだか難しい定義づけですが、平たく言えば、

・宣伝ではなく、まずターゲットが"もらってうれしい"情報を提供すること
・その媒体が、文章や画像、映像などのコンテンツであること
・コンテンツによって信頼を得て、売上や集客など、企業の利益につなげること

がポイントでしょう。日本では、家事のテクニックを紹介する花王の「マイカジスタイル」、価値を生み出すチームをテーマにした「サイボウズ式」、大手ゼネコンがアニメやゲームの架空の建造物を扱う「前田建設ファンタジー営業部」といった取り組みが有名です。

■19世紀から使われてきた手法

ネットを使えば、多くの人に低コストでコンテンツを届けられるようになりました。ソーシャルメディアなどのインフラも整い、コンテンツマーケティングは様々なマーケターやクリエイター、エンジニアの注目を集めています。

しかし、私自身が体験したように、コンテンツマーケティング的な手法や考え方は、ビジネスのさまざまなシーンで、既に活用されてきました。前出の電通報でも、「その原型は1800年代にまでさかのぼることができ、アプローチとしては決して新しいものではありません」と述べています。

ちょっと視点がずれるかもしれませんが、こんなところにも、コンテンツマーケティングのエッセンスは潜んでいるのではないかと思っています。

・「買いたい空気」を作る戦略PR的発想
・一見商品とは関係のないCMで話題をさらう企業
・社食のレシピ本を出版する健康機器メーカー
・宴会部長的な役割で愛される営業マン
・ときどき際どい内容をツイートする政治家

「売らんかな!」ではモノは売れない、という基本。売り手と買い手、さらに世間の「三方良し」を実践した近江商人を思い出します。そんなマインドを持った人が、21世紀のビジネスでも活躍するのかもしれません。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する