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ソフトウェアサポートと医師の診断に思う「改善点」

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少し前まで、NHKで「総合診療医 ドクターG」という番組を放送していたのをご存じでしょうか?

僕も正直2回くらいしか見た事は無いのですが、この番組は数名の研修医に病気の症状が伝えられ、段階的に明らかになっていく症状を手がかりに、研修医達が病名を突き止めるまでの過程を楽しむという、ちょっと斬新なクイズ的エンターテイメントなのです。

少ない手がかりに最初は思い思いの病名を挙げていた研修医達が、最後には「これしか無い」と揃って1つの病名に至る様は、なんだか見ていて安心するものがあります。

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dsc_4073.jpg / snorp

発生した症状から手がかりを拾い集め、切り分けを行いながら本質に迫る。前から思っていたのですが、医師の診断の過程というのは「ソフトウェアサポート」における問題追跡の過程と良く似ています。

人間の身体というブラックボックスを相手にしている患者から、患者自身しか感じ取れない感覚や症状を聞き出して、問題を切り分けていく医者と、ソフトウェアというブラックボックスを相手にしているお客様から、電話やメールで症状を聞き出して、問題を追跡するサポート担当。確かに、問題追跡の手順も似てくるところがありそうです。

両者の決定的な違い

でも、この両者には決定的な違いがあります。それは、人間の体がいつまで経ってもブラックボックスであるのに対し、ソフトウェアは自分自身が必要な情報を提供するように進化できる、という点です。

人間の身体でも、問題があった時は、痛みを感じたり、発熱したり、血圧が上がったりします。しかしこれらの情報は本来、自分以外の人に不調を伝える為に作られたものでは無いため、診断に使うには断片的で曖昧。良質な情報源とは言えません。

こんな曖昧な情報では無く、身体の状態を的確に表す情報が手に入れば、お医者さんはだいぶ楽になるでしょう。例えば痛みの発生源の「位置情報」が、座標か何かでパッと患者の頭に浮かぶように人間が進化するとか。「痛みの場所はどこですか?」「X117、Y668、D72です。」「なるほど。腎臓ですね。」と、こんなロボット的な感じで。そうして様々な情報が収集できれば、もう採血もCTもレントゲンも必要ありません。

もちろん人間がこうなる事は無いですし、なったら気持ち悪いですが、ソフトウェアにはそれが可能です。ログの種類や取得のタイミングを増やしたり、警告の表示を細やかにしたり。ソフトウェアにだから出来る事、長所を活かす事で、関係する全員の負荷が下がるのですから、それを活かさない手はありません。

まあ、Windowsの診断情報なんかの扱いを見ても、簡単な道のりでは無い事も分かるのですが。

ブラックボックスを相手にしつづけなければならないお医者さんに叱られないように、ソフトウェア屋は、ソフトウェアだからこそ出来る改善を続けて行かなければならないと思っています。


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