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女性が管理職に手をあげない理由

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Girl

 

若手の女性と話すことが多いこのごろ。よくある会話。

「私は昇格のために手をあげたことはないし、考えたこともない。もし実力があれば、そういう話も来ると思うから自分で手をあげることないと思う。でも、やっぱりそれじゃダメなんですかね・・?」

「仕事も好きですし、能力もあると思うけれど、肩書きには興味がない。それじゃ、ダメなんでしょうか・・?」

家庭との両立が無理だからと確固たる意志を持って手をあげない場合は別として、多くの女性に共通している根底にあるのが、「手をあげたくない」という気持ちが強いのではないかと思います。私もそう。だから、その気持ちがすごくよく分かります。

一般的に、「自ら手を挙げない人は積極性がない」「意欲が少ない」とみなされることが多いと思うのですが、女性の場合は全く当てはまらないと思います。

能力も高い、意欲も高い、仕事もできる、でも手をあげない。そういう女性が多いのはなんでだろう?とずっと考えていたのですが、私たちの世代の女性はこういう価値観に触れることが多かったことも一つ理由なんじゃないかと思いました。

「後ろで支える女性は素晴らしい」

「女性は出しゃばらない方が品がいい」

「口を開かなければ、いい女なのに!」なんてジョークもよく聞きますよね。

もちろん家庭や地域の環境によって差はあると思うのですが、30〜40代の世代はこういう価値観に触れる機会が多かったのではないでしょうか。もうそれが染み込んでいるから、「肩書き」のために手をあげることは、なんとなく品がないし、美しくないと無意識で思っている人も多いのではないかと思うのです。実際にどんどん手をあげる女性を見ると「かっこいいな!すごいな!」と思うし、美しくないなんて思わないのですが、自分の場合となると別。

それは時代の価値観なので、仕方ないと思うのです。「男なら人前で泣くな」と育てられた男の人が、どうしても人前で泣けないのと似たような感覚なのではないでしょうか。女性の場合は、「どうしても後ろ側にいたい」という感覚の人が多いように感じます。それは能力ではなく、時代の価値観なのではないでしょうか。

そういう時代背景を考えると、いきなり「どんどん手をあげろ!」と言われても、なかなか難しいところがあると思うのです。多くの企業が女性管理職を増やそうとしていますが、自ら手をあげる人ばかりを採用する企業では女性管理職は増えないんじゃないかと思います。女性管理職を増やすなら、手をあげていないけれど優秀な女性に対しては、上司から促す・説得する・自信を持つまでサポートする、といったアクションが必要だと思います。そんな大変なことしなきゃいけないの?と思いますか?でも、仕事ができることが前提なので、こういったアクションがあれば、すぐに育つのではないかとワタシは思っています。私の同年代の女性の友人を見ていると、自ら手を挙げたわけでなく、上司がそういったアクションをとっている人が多いです。

 

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