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JWLIボストン・リーダーシップ研修 | DAY2 言語とコミュニケーションスタイルの違い

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*このリンゴ、赤ちゃんの頭くらいの大きさなんです。ホントに。

毎日必ず誰かから聞く言葉。

“we are all equal !” (私たちは皆平等なのよ!)
" 1 person can change the society ! " (1人の人間が世界を変えられるのよ! = だからあなたもアクションして!)
 
みんな、心から信じていて、そう考えることに誇りを持っている。アメリカに深く根付いたカルチャーなんですね。
 
今日はJWLI(Japanese Woman's Leadership Initiative)のボストン研修プログラム2日目。MCMLの代表であるケリアンさんのプレゼンを聞きました。プレゼンと言っても、フェロー4人だけにあてたプレゼンなので(贅沢!)、途中で色んな質問しながら3時間があっという間に過ぎました。ケリアンさんは、認知科学と言語を融合させた独自のプログラムを開発し、日本政府やMIT、ハーバードなどでトレーニングを行っている方。彼女も9カ国語を話し、日本語もペラペラ(なんと青森弁まで!)。なので、日本の状況を客観的に深く理解している立場から、日本人としてどのような点に気をつければいいか沢山教えてもらった。
 
面白かったことをいくつかピックアップ。
 
■言語を使い分けて、視点を広くする
・一つの言語だけで考えると、一方向からしか考えられないから視点が狭くなる。複数の言語を目的によって使い分け得る
 
・英語はロジカルに考えることが出来る言語なので、ビジネスのことを考えることに向いていて、日本語は人間関係を良くすることに向いている言語なのだそう。ケリアン自身も仕事の際は英語で考え、人間関係は日本語で考えるようにしているとのこと。言語を脳の使い方を切り替えるツールとしてとらえているのだろう
 
たしかに、日本語で考えると人間関係を重視しがちな傾向があるかもしれない?脳の使い方を変えるために言語を使い分けるというのは、非常に新しいアプローチ。
 
■全てはストラテジー(戦略!) 何でもかんでも戦略的に利用する!
 
・マイノリティは、権力と直接対決するのではなく戦略的に動くことが大事。ビジネスの世界では女性はまだマイノリティなので、いかに戦略的に動いていくかが大切。
 
・日本の場合、安定が好きで変化が嫌いな人が多いので、いかに安定させるように見せながら変化させていくかがポイント。内面ではアグレッシブな気持ちを持ちながら、外側ではソフトな雰囲気を出していく。粘り強く、でもソフトに。
 
・強くなるのではなく、賢くなる。underdog(負け犬)っぽく見せると、みんなが油断するので意見を通すのに非常に有効(日本では、バカになれ!とよく言いますが、きっと同じような意味ですね)。
 
・言語や文化をルールだから従うのではなく、目的を達成させる手段に使う。例えば、地方の役人にはその土地の方言で話し、国の役人には正しい丁寧語を使う。行列が好きな文化なのであれば、行列を自分のところに作らせて皆の注目をひく。
 
・人のタイプによって、コミュニケーションを使い分ける。自分が決定したように見えることで自己満足する上司には、アイデアが話す時は自分のアイデアではなく上司が考えたアイデアのように話す。目的は意見を通すことなので、手段はなんでもいい。
 
こういった事は、日本で活躍している多くの女性は皆やっているけれど、誰も話さないとのこと。きっと、こういうことを言うと策略家だと攻撃されるからかもしれない。ケリアンさんは、どんなに攻撃されても自分が広めていくつもりと話していました。
 
 
■タイプ別によるコミュニケーションの使い分け
・コミュニケーションタイプは大きく二つ。ロジック型とルール型。
ロジック型:ロジカルで合理的。それぞれ皆意見が異なる。正解がない世界
ルール型:ルールを重視する。正解がある世界。決まり文句を良く使う
ルール型の人にロジック型のコミュニケーションをとっても、意見が通らない。逆にロジック型の人にルール型のコミュニケーションをとっても、意見がなくつまらない人だと思って嫌われる。自分のスタイルを固辞するのではなく、どのタイプの人なのか見分けて使い分けることが重要。
 
・さらに、自己フォーカス型か他者フォーカス型かに分かれる
自己フォーカス型:まずは自分のことを優先で考える。思いつきで話す人が多い
他者フォーカス型:他者をまずは優先する。慎重なため、話す前にじっくり考える
 
・国のカルチャーは大きくわけて、上記4つのタイプの掛け合わせでコミュニケーションスタイルが異なる
 
1、ロジック型×自己フォーカス型(アメリカ)
人を肩書ではなく、個人としてみる。合理的に考えることが多い。またディテールよりも、ざっくり大きな方向性を重視する。人の話を聞かない人が多い。よって、声が大きく、自信に満ちた態度を示し、抑揚を多くつけて、人の注意を引くために一生懸命。1文が短い。言葉よりも声(トーンや大きさ)で人を判断する。
 
2、ロジック型×他者フォーカス型(北欧)
上記タイプよりも、ちょっとフォーマルになるが、フラットな関係は維持している。合理的というよりも、正確さを重視する。声も上記タイプよりも少しソフトになる。説明が長くなるので、1文が長くなる。
 
3、ルール型×自己フォーカス型(南米)
何より肩書が大事。家や車などステータスを示すものが大切。合理性よりもストーリーを重視。主張に理由がない場合もある。ポジションを得るために個人個人が戦うので、カリスマ的な話し方をする人が多い。声もとても強く、いかに強く見せるかが重視される。
 
4、ルール型×他者フォーカス型(日本)
順番待ちの世界。ステップがある程度決まっていて、上の人がどくまで、次のステップに上がるのを待つ。完璧な段取りが大事。戦うのではなく、みんなで同じゴールを目指す。誰が勝つかは重要ではない。声は高くソフト、特に自分よりも肩書が上の人にはよりソフトな声を出す。声よりも言葉で人を判断する。
 
 
 
・重要なのは、どれが正解というわけではないが、各タイプに合わせたコミュニケーションをすること。日本でアメリカ型に強く自信に満ち溢れた声を出しても引かれてしまう。逆にアメリカで日本のようにソフトな声を出していると、聞いてもらえない。言葉も声もツールとして使いわける。
 
世界をざっくり4つに分けてしまっているので、個人を当てはめるには難しいが、大きく捉えるとこういう傾向があるのはすごく納得。そして、コミュニケーションスタイルを一つに限定して自分のアイデンティティにするのではなく、使い分けて目標を達成する考え方が、非常に面白かったです。
 
 
今回日本チームのオリンピックのプレゼンテーションはイギリス人が東京チームのプレゼンを指導したそうですね。成功のポイントは、相手に合わせたコミュニケーションスタイルに変えたからということもあるのだと思いました。日本式が間違っているという話ではなく、相手に合わせて戦略的にコミュニケーションスタイルを使い分けることが成功のポイントなのでしょう。例えば、日本でアメリカ式のスピーチをしても、横柄で一方的に見えて引かれてしまうかもしれない。ケリアンさんいわく、いくつものコミュニケーションスタイルを持つことは、すごく大きな武器になるとのこと。深く深く納得。それにしても、ケリアンさんがアメリカ人なので、やはり考え方自体がとても合理的!
 
 
 
 
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