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インドで変わった世界観

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Jaipur
 
「運」というものを私はあまり重視して来ませんでした。運などなくとも、自分が強ければなんとかなると思っていました。
 
昨年インドでその考え方は変わりました。「インドにいくと世界観が変わる」とよく言われますが、どこかに行くことで、「世界観が変わる」という体験はこれが初めてでした。
インドのジャイプールという町にいったのですが、一番面白かったのは街中です。映画の中で、ジェームスボンドや、ハリソンフォードが東南アジアの雑踏をバイクや車で疾走するシーンがよくありますよね?ジャイプールはそのまんまの世界でした。アクションシーンが現実に目の前で起きてるっていう感じです。
 
その中で、印象的だったある出来事がありました。仲良くなったリキシャードライバーが、「家に服を着替えに戻りたい」と言いだしたのです。迷ったのですが、まだお昼前の明るい時間帯だったこと、ホテルがドライバーを知っていること、私1人ではなく友達と一緒だったことから、大丈夫かと判断し、ドライバーの家の前まで行ったのです。
家の外にリキシャーをつけ、私たちはそのままリキシャーの中で待っていたのですが、窓の外の景色は想像以上の貧困でした。ドライバーの家の近所の子供達は下着もつけておらず、そのまま地べたに座ってゴミの中で遊んでいました。狭く暗い部屋にはベッドはなく、堅い石の上でおじいさんがお昼寝をしていました。
 
それまで街中にも貧しい人はたくさんいたのですが、別世界の他人事と思っていたので何も感じなかったのでしょう。テレビや雑誌で見るのと同じ風景なんだなぁと思っていたくらいでした。そのドライバーとは人対人として接することで、初めて他人事ではない世界としてインドの貧困さを感じることができたのです。
それから、同じ目でまた街の中の貧しさを見ると、違う気持ちで見ることができました。
先進国の都市や、キレイな観光地ばかりを旅行していた私には初めての体験で、とても心が重くなったものです。
 
たまたま私が日本人に生まれたから今の生活ができるのであって、インド人としてこの家で生まれたとしたら彼らと同じ生活をしていただろう、と。そう考えると、彼らと私の違いは「運」でしかないのです。
 
日本で暮らしていると、程度の差こそあれ、多くの人が似たような環境で育っている人が多いので、あとは努力次第という環境が整っています。そういう環境で育った私は「運」よりも「努力」の影響力の方が大きいと思っていたのです。そういう風に思える世界に生まれてこれたのは「運」でしかないと初めて思えたのです。
 
インドに行ったことある人は、インドを大好きになるか大嫌いになるか両極端に分かれるとよく言われますが、私は大好きでした。またいつか絶対にいきたい。
 
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