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偶然を必然に変える力

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ちょっと前の話なのですが、心に残っている話なので書きとめておこうと思いました。
 
昨年の3月11日に誰もが経験したことのないの地震発生後、たった15時間以内に、停電している暗い避難所で700万人もの人がアクセスするサイトを立ち上げた青年がいました。
 
20歳の大学生だった鶴田浩之さんの「prayforjapan.jp」です。
 
あの大地震のパニックの中、しかも自らも被災して、停電の避難所で、どうやって15時間以内に考えついてアクションまで起こせたのか不思議に思っていました。
天才的な青年なのか?
鶴田さんがどういう人なのか単純に興味をもって、鶴田さんの講演を探していたのですが、去年の年末にアカデミーヒルズ鶴田さんの講演を見つけたので、聞いてきました。
 
Pray_for_japan
 
偶然ではなく、全てつながっていた
 
学生起業家に対する私の勝手な偏見で、ハングリー精神に満ちたギラギラ・ガツガツしたのような人をイメージしていたのですが、実際の鶴田さんは、細く、肌の色も白く、むしろ大人しい印象の青年でした。落ち着いた抑えた声で静かに講演が始まりました。
 
「僕は心が震えるような経験をしたことが2度あります。」
 
グイっと引き込まれる出だしで始まりました。
鶴田さんは、中学生の時にMACを始めてさわった時から、スティーブジョブスを尊敬していて、ジョブスを真似てインドに旅行に行ったことがあったようです。
そして大学生になって、2010年に再度インドに行く計画をたてていたところ、旅行直前にインドのラダックで洪水が起きました。その時に旅行をキャンセルせずに、何か助けたいと被災地ラダックへ向かい、ボランティアを行ったそうです。その経験を通じて、助けになりたいのににガレキをどけるしかできないことに不甲斐なさを感じ、自然災害に対する人間の無力さを感じたと言っていました。
それから1年たたないうちに、311が起きたのです。
そこで、インドの被災地ボランティアを経験していたことから、何か自分で出来ることはないかと強く思ったことが「prayforjapan」の立上につながったとのことでした。
 
インド旅行の前に洪水という被害が起きたことは偶然、311の日に東京在住の彼がたまたま栃木県にいて自ら被災したことも偶然。でも、2回目の被災時に、素早くアクションを起こせたことは必然的な力だと思うのです。その背景にあるのは、「助けたい」という強い気持ちです。
 
「天才」と聞くと、神が降りたようにある日ピカっとアイディアがわいてくるような人を想像しがちですが、私は、今まで考えたことないことをある日偶然考えられるようになるって事は起きないんじゃないかと思っています。
色んな偶然が重なって、色んな想いを持った結果、いつか必然として自分の思うようにモノゴトを動かせる時がくる。pray for japan も、そうやって実現したのだと思いました。
 
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