クラウドサービス移行にあたっての技術課題の整理

クラウドサービスに移行するにあたっての技術面の問題を整理していく必要があります。クラウドサービスをすべて移行することは困難な場合があり、オフィス系のツールやグループウエアなどの情報共有系のツールから始まり、業務内容と直接に関わる販売や在庫管理、財務などを扱う基幹系のシステムへの領域へと移行を進めていくのが一般的です。

どのシステムをクラウドサービスに移行していくのか、移行する際にこれまで蓄積してきたデータをどのように移行するのか、また、移行していく場合は、どのような技術を使ってどのように既存の企業内の情報システムを連携させていくのか、連携・統合することは技術的に可能なのかどうか、といった要件を検討していく必要があります。

また、クラウド移行にあたって、ユーザ企業の個別要件で課題となることが多いのが、オンプレミスシステムからクラウドサービスの仮想サーバーへ移行させる場合への対応です。

ERP（統合業務パッケージ）などのハイパフォーマンスや高可用性が必要とされる場合は、高速なストレージが必要となります。また、ソフトウェアをクラウドで利用するため、広帯域のネットワークサービスを選択したり、遅延を抑えるために、近くのクラウドサービスのロケーションを選択するなどの対応も必要となります。

オンプレミスシステムで利用していたソフトウェアライセンスが、クラウドサービスで利用できない場合もありますので、現在のソフトウェアがライセンス的に移行可能なものか、移行して場合でも問題なく動作できるのか、事前の検証が必要です。

クラウドサービスに移行できない場合は、クラウドサービスとオンプレミスシステムとの併用で、システム連携の構造が複雑になり、対応すべき工数が増え、逆に運用コストがかかってしまうリスクも想定されますので、注意が必要です。