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成長戦略の進化のための、第4次産業革命推進/IoT 時代の新たな制度環境整備、未来への投資

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政府は2016年1月26日、「第25回産業競争力会議」を開催し、

産業競争力の強化のための重点施策等に関する報告書(案)
産業競争力の強化に関する実行計画(案)
成長戦略の進化のための今後の検討方針(案)

などを発表しました。

成長戦略の進化のための今後の検討方針」における、第4次産業革命推進/IoT 時代の新たな制度環境整備について、ピックアップしてみたいと思います。

スクリーンショット 2016-01-26 22.30.14.png
出所:第25回産業競争力会議 成長戦略の進化のための今後の検討方針 2016.1

■第4次産業革命推進/IoT 時代の新たな制度環境整備

(1)第4次産業革命に対応する経済社会システムの再設計

 第4次産業革命により、IoT、BD(ビッグデータ)、AI(人工知能)、ロボットを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、新たな付加価値と生活の質の向上をもたらす「超スマート社会」への取組(Society5.0)が求められている。
 こうした中、新たな付加価値の源泉である「データ」を巡って従来の業種や国境の壁を越えて競争環境が変化しており、「新産業構造ビジョン」において、具体的な産業構造・就業構造の変革の姿及びその結果としてもたらされる個々人の暮らしへの影響を明らかにし、こうした将来像を先取りした新たな経済社会システムの再設計に向けて官民による社会的な合意形成を進めるべく、検討を行う。
 具体的には、時間軸を明らかにしつつ、制度・ルール等(データ利活用促進に向けた制度整備、参入規制等に係る規制制度改革、構造変革に迅速かつ柔軟に対応するための企業や産業の新陳代謝の促進・事業再編の円滑化、知的財産・競争ルールの在り方等)、人材(教育及び雇用の流動性向上等)、技術・イノベーション(技術ロードマップの策定を通じた研究開発投資の活性化、更なるイノベーション創出を可能とする環境整備等)、インフラ(重要インフラの高度化、産業保安の充実等)などに関する横断的な基盤整備の検討を進める。
 さらに、直ちに取り組むべき官民の取組として、重要分野における協調・競争領域の明確化と戦略的取組の促進や日本の強みを活かしたプラットフォーム創出、データ関連人材のグローバルな獲得・育成や未来投資型M&A促進に向けた伴走投資の充実等について検討する。

(2)第4次産業革命推進に向けた新ビジネス創出促進

 「IoT 推進コンソーシアム」の活動等を通じて、第4次産業革命に対応した新たなビジネスモデルの創出や情報通信インフラ環境の整備、IoT 関連技術の開発・実証・国際標準化等を図るとともに、事業分野ごとの規制制度改革や新たなルール形成、サイバーセキュリティ・データ流通等の横断的課題への対応等を検討する。

(3)IoT/BD/AI に係る研究開発の一体的推進

 第4次産業革命を見据えた IoT/BD/AI に係る研究開発について、将来必要となる次世代の AI 技術やそれらと親和性の高い技術の特定や今後の展望をロードマップとして描き、それを一体的に進めるための一元的な司令塔機能を明確にするべく検討を進める。

(4)IoT/BD/AI 時代を見据えたデータ・IT 利活用の徹底と制度環境整備

 データと IT の徹底的な利活用が IoT 時代の国際競争力を左右することを踏まえ、「サイバーセキュリティ戦略」で掲げられた施策等の着実な実施によるサイバーセキュリティの確保を前提としつつ、世界最高水準の IT 利活用の実現に向けて、官民を挙げて取組の具体化を図る。具体的には、サイバーセキュリティの確保・強化のために、専門資格の取得促進や大規模演習基盤の活用等による人材育成・研究開発・国際連携・重要インフラを含む企業や公的機関の対策強化等について検討する。
 また、経済再生や社会的課題解決のため、教育・観光・農業・医療/介護/健康・地方創生・金融等の各分野における更なる IT 利活用策を検討するとともに、マイナンバー制度の導入を踏まえた個人番号カード・マイナポータルの更なる利活用拡大、法人間の取引等における権限の認証に係る制度整備等の公的個人認証サービスの利活用拡大、オープンデータの更なる推進、高度 IT 人材の育成等について検討を進める。併せて、中小企業・小規模事業者による IT 利活用等、生産性向上をあらゆる業種や企業・事業者で実現するための方策についても検討する。
 さらに、IT 原則を 2020 年までに社会の隅々まで行き渡らせるための具体的な道筋や、安心・安全なデータ利活用を担う「代理機関(仮称)」の制度設計を具体化するとともに、シェアリングエコノミーについても、消費者保護や紛争処理の枠組み、公平な競争ルールの整備、個別業法との整合性、インターネットを活用した仲介事業者に対する規律の在り方等に留意しつつ、迅速に、かつ新産業の健全な発展促進の観点から検討を進める。

(5)IoT/BD/AI 時代を見据えたモバイル、ワイヤレス分野の環境整備

 IoT の本格的普及による便益を社会に還元するためには、イノベーションの創出を支える情報通信環境の整備が必要である。具体的には、低廉で多様な IoT サービスを支えるためのモバイル分野における競争促進、指数関数的に増加するデータトラフィックに耐えうるワイヤレス技術の確立等の着実な実施が必要不可欠であり、加入者管理機能をはじめとする機能の迅速な開放による MVNO の普及促進、IoT に対応したモバイルネットワークの高度化、増大する周波数需要に対応するための周波数帯の確保や第5世代移動通信システム(5G)の実現等に向けて、検討を進める。

■未来への投資を促す環境整備

(2)個別事業分野の環境整備、制度・規制改革

①国家戦略特区の加速的推進

 平成 27 年度末までの集中取組期間内において、いわゆる岩盤規制改革全般について突破口を開いた上で、第16 回国家戦略特別区域諮問会議における外国人材の滞在・就業の促進や農林水産業の競争力強化などに係る議論も踏まえ、取り組むべき規制改革事項などの課題を精査しつつ、集中取組期間の終了後も、改革のスピードを緩めることなく、大胆な規制改革メニューの追加に向け、具体的な検討を行う。
 また、指定区域を含め、全国の自治体や事業者からの経済効果の高い規制改革提案があればスピーディに対応し、全国的措置も含め1つ1つの具体的事業を実現するとともに、そのために必要であれば、新たな区域を指定する。
 さらに、3次指定を含めた 10 の指定区域においては、国家戦略特区法に基づく規制改革メニューを余すことなく活用し、パンフレットやテレビ番組等の多様な広報戦略なども通じ、具体的事業を目に見える形で迅速に実現するとともに、国家戦略特別区域諮問会議等において、こうした改革の成果を順次、厳格に評価し、更なる改革の取組に繋げていく。

②無人自動走行を含む高度な自動走行の実現に向けた環境整備

 2020 年オリンピック・パラリンピックでの無人自動走行による移動サービスや高速道路での自動運転が可能となるよう、2017 年までに必要な実証を可能とすることを含め、制度やインフラを整備する、との方針に基づき、取り組むべき事項に関する工程表の具体化など、必要な対応を検討する。

③小型無人機の産業利用の拡充に向けた環境整備

 早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすること等を目指し、「空の産業革命」の実現に向けた更なる安全確保のための制度の具体的な在り方や利活用・技術開発の促進に関する環境整備等について検討し、①本年夏までに制度設計の方向性を取りまとめ、その後、この方向性に基づき更に制度の詳細について検討を継続する。②また、本年夏までに利活用と技術開発に関するロードマップを作成する。③さらに、本年夏までに、ドローン等の操作やデータの伝送に使用できる周波数帯の拡張及び電波の出力増力、携帯電話の上空での利用を可能とするために必要な措置を講じる。
 また、物流等の様々な用途に沿った小型無人機の開発を推進するため、国家戦略特区や福島イノベーション・コースト構想で整備するロボットテストフィールドにおいて実証実験を積極的に行う。さらに、特区事業において、安全性・確実性の確保を前提として「テレビ電話を活用した薬剤師による服薬指導の対面原則の特例」の活用と併せた小型無人機の活用可能性を検討する。

④ロボットの社会実装の加速化に向けた検討の促進

 「ロボット新戦略」に掲げられた目標達成のための取組を着実に進めつつ、幅広い分野でロボットのある日常を実現することで世界に先駆けて直面する社会課題をロボットによって解決し、我が国全体をロボット活用のショーケースとして世界に示す。特に、国際的な競技会や福島イノベーション・コースト構想で整備するロボットテストフィールド等を通じてイノベーションの促進を図る。併せて、プラットフォームロボットの開発、国際標準を見据えた性能評価基準の策定、システムインテグレーション機能の基盤となる手順・技能の標準化や人材育成など、中小企業等へのロボット導入の加速化をはじめ幅広い分野でのロボット利活用を促すための環境整備について検討を行う。

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