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ICTインテリジェント化と到来する未来社会に向けて 〜インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会 報告書から〜

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総務省は2015年6月30日、「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」報告書を公表しました。

総務省情報通信政策研究所では、ICT分野の技術革新が急速に進展する中、大きく変貌する未来社会の像を展望し、現在取り組むべき課題や、今後に向けた提言等について検討するため、本年2月から「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」を開催し、報告書としてとりまとめをしています。

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出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会報告書 2015.6.30

総務省では、人工知能に代表されるICT分野の急速な進展により、従来、人間だけが行ってきた頭脳労働(認知、判断、創造)について、人間が機械の支援を受けたり、機械がその一部又は全部を代替する結果、人間社会が大きく変化すると予想されるとし、このような未来社会をもたらす技術革新を「ICTインテリジェント化」、それを支える技術やシステムの総体を「インテリジェントICT」と定義しています。

そして、以下のとおり、3つの課題と提言をまとめています。

主な課題・提言

・インテリジェントICTを「使いこなす」ための取り組み
 (研究開発の基本原則の策定、社会実装に向けた倫理、法律上の問題、等)
・インテリジェントICTの開発・展開の促進  
(企業間連携の促進、イノベーションを活かす制度的対応、戦略的研究開発の推進、等)
・インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行促進  
(民を主体とするインテリジェントICTの導入・活用促進を、早急に国家戦略レベルで推進、等)

総務省では、ICTインテリジェント化にあたって、6つの要素をあげています。

1. 計算、蓄積、ネットワークの能力向上
2. 人工知能の高度化
3. あらゆるものごとのデータ化
4. インターネットのグローバル化
5. 分散処理の進展
6. 人間(の脳)と人工知能等との連携

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出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会報告書 2015.6.30

未来社会の像としては、 人間は様々なインテリジェントICTに包まれるようになり、インテリジェントICTの存在を前提として活動するようになる。 人間はその周囲とネットワークを介してシームレスにつながり、インテリジェントICTと「共存」することとなる。 ととし、

①インテリジェントICTが人間を支援
②インテリジェントICTのネットワーク化による協調が進展し、支援の付加価値が向上
③人間の潜在的能力が人工知能によって引き出され、身体的にも頭脳的にも発展

といったように、人間とインテリジェントICTが「共存」する社会像を示しています。一方、経済や雇用にも大きな影響があるとしています。

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出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会報告書 2015.6.30

今回の報告書では2045年に達すると言われるシンギュラリティ(技術的特異点)についても触れています。

(レイ・カーツワイル博士は、人工知能の自己再生産による加速度的能力向上が起こると未知の技術進化が始まるとして、 その時点をシンギュラリティ(特異点)と呼び、2045年にシンギュラリティに到達すると予測した。) ①本研究会では、2045年を判断の年とした場合、部分的には人間より優れた能力を持つ人工知能はできるが、人間の身 体性や社会性を前提とした枠組みにおいて、人間に伍する機能をもつ人工知能は実現されないとの認識が主であった。 ②ただし、より長期を考えると、人間を超える人工知能が実現し得ると考える。

総務省では、未来社会への移行へ向け、現在取り組むべき課題として、

・研究開発の基本原則策定等
・社会実装に向けた倫理や
法律上の課題」
・プライバシー保護の在り
・共存を前提とした社会設計

の4つをあげ、社会に及ぼす影響の研究を早急に開始すべきとしています。

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出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会報告書 2015.6.30

インテリジェントICTの開発・展開と社会への導入・活用の促進では、 諸外国でインテリジェントICTの開発・展開に係る多様なプロジェクトを開始しており、日本においても、インテリジェントICTの開発・展開と、インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行を促進すべきとして、

・企業間連携の促進等によるイノベーションの活性化
・イノベーションを活かす制度的対応
・データへのアクセス確保
・優秀な人材の育成と確保
・戦略的研究開発の推進

とし、インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行促進の重要性を示しています。

①様々な産業分野において、デバイスから得られたデータをインテリジェントICTで処理し、これまでにはない付加価値を提供することが、今後、世界的潮流となる。我が国はその流れを先取りし、インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行を促進すべき。
②今後、民を主体とするインテリジェントICTの導入・活用促進について、早急に国家戦略レベルで推進すべき。

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出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会報告書 2015.6.30

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