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ICT産業における日本の市場シェアと輸出競争力

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総務省は2014年10月28日、「平成26年版ICT国際競争力指標」を公表しました。

競争力指標の構成は以下のとおりとなっています。

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出所:平成26年版ICT国際競争力指標 2014.10.28

日本企業の世界シェアの全体的傾向では、

(1) 日本の企業競争力が強い品目(市場シェアが 25%以上の品目)
全 38 品目中 7 品目がこれに該当。レイヤ別では「端末・機器」及び「デバイス」に存在。
・「DVD/Blu-ray レコーダ」(平成 22 年版 67.4%→平成 26 年版 90.5%)(以下、特に表記のないものは平成26 年版の値)の日本企業の市場シェアは増加している。世界の市場規模は縮小傾向(対 22 年版増減率▲68.6%)。
・「光ファイバ」(平成 22 年版 33.4%→30.6%)の日本企業の市場シェアは減少している。世界の市場規模は拡大傾向(対 22 年版増減率 70.6%)。
・ 「コピー機」(平成 22 年版 66.6%→67.3%)及び「プリンタ」(同 38.9%→40.6%)は市場シェアが高い。「オプトエレクトロニクス」(同 58.9%→36.7%)及び「ディスクリート半導体」(同 42.6%→35.8%)、「携帯電話用液晶デバイス」(同 35.7%→26.6%)は世界の市場規模が拡大傾向にあるが日本企業の市場シェアは減少している。

(2) 日本の企業競争力が弱い品目(市場シェアが 5%以下の品目)
全 38 品目中 10 品目がこれに該当。レイヤ別では「サービス」、「端末・機器」及び「デバイス」に分散。
・「携帯電話機」(同 7.7%→3.4%)、「デスクトップ PC」(同 5.6%→3.6%)及び「LAN スイッチ」(同 3.2%→0.0%)の日本企業の市場シェアは減少している

となっており、DVD/Blu-ray レコーダや、コピー機やプリンターの市場シェアおよび競争力が強いものの、携帯電話用液晶デバイスやオプトエレクトロニクスなどは市場拡大傾向にありながらも日本の市場シェアは減少しています。

また、「携帯電話機」は平成 22 年版 のシェア7.7%に対して、平成 26 年版は3.4%と大幅に減少しており、スマートフォンに代表される日本のデバイスは苦戦を強いられています。

輸出額シェアの推移をみてみましょう。

「PC 用ディスプレイ」は増加傾向にありますが、「デジタルカメラ」(平成 22 年版 30.0%→平成 26 年版 16.4%)、「その他半導体デバイス」(平成 22 年版 11.5%→平成 26 年版 5.6%)といったように全体として減少傾向にあります。

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出所:平成26年版ICT国際競争力指標 2014.10.28

ソニー、中国向けスマホ開発を中止へ--最終赤字1091億円 CNET Japan-2014/10/31」の記事にあるように、日本のスマホ事業は軒並み苦戦を強いられています。

一方、「パナソニック決算、通期見通しを上方修正--売上10兆円に向けMade in ... CNET Japan-2014/10/31」の記事にあるように、パナソニックは、プラズマテレビなど不採算事業からは撤退し、住宅関連や自動車など安定成長が見込める分野に注力することで、売上を伸ばしています。

国際競争が益々厳しくなる中、各社がどの分野で力をいれていくのか、今後の各社の業績や日本のICT産業力の国際競争力の行方が注目されるところです。

 

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