オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

IoT(Internet of Things)市場の成長性

»

調査会社のIDC Japanは2014年8月7日、「国内IoT(Internet of Things)市場予測」を発表しました(ニュースリリース)。

IDCでは、2013年の国内IoT市場売上規模は11.1兆円(IoTデバイスの普及台数は4億9,500万台と算出)となり、2013年~2018年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.7%で成長し、2018年にはほぼ2倍となる21兆1,240億円に達すると予測しています。

国内IoT市場 売上規模の実績と予測、2013年~2018年
出所:IDC Japan 国内IoT(Internet of Things)市場予測 2014.8.7

IDCではIoTを

IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク

と定義しています。

その上でIoT市場のサービススタックを

・System/Deviceレイヤー
・Connectivityレイヤー
・Platformレイヤー
・Analyticsレイヤー
・Applicationレイヤー

5つのレイヤーに分けて捉え、上記にProfessional Service市場とSecurity市場を加えたものを「IoT市場」としています。

国内におけるIoT市場が急速に成長している背景には、

IoTサービススタックを提供する事業者サイドにおいて、

・事業者の垂直/水平連携の加速
・事業者の調達コスト/提供価格の低下
・技術の飛躍的な発達とその活用先の多様化
・技術標準化/法規制の進展と周辺環境の整備

などの、さまざまな成長促進要因が影響しているしています。

国内におけるIoT市場の飛躍的な成長には、

・短中期的にはB2B(Business to Business)ビジネスの業種開拓やグローバルを前提とした利用拡大がけん引
・長期的には異業種間連携やB2C(Business to Consumer)ビジネス普及がけん引

するとみています。

海外の市場をみてみましょう。

IDC Japanは2013年12月6日、「2014年 世界IT市場の主要10項目」を発表しました(ニュースリリース)。10項目の一つに「IoT(Internet of Things)が第3のプラットフォームの成長を加速」をあげており、以下のように予測をしています。

第3のプラットフォームは、2014年にスマートフォン、タブレット、PCを超えてIoT(Internet of Things )に広がっていく。2014年はIoTの基盤が形成される年になるが、IDCは既存のITベンダーがグローバルの通信事業者や半導体ベンダーとの協業を加速し、家電やコネクテッドデバイス領域で統合製品やサービスを提供するという新しい産業形態が生まれるとみている。この種の協業や連携によって、2020年までに自律的に接続されるエンドポイントは300億台、IoT市場の売上は8兆9,000億ドルに達するとIDCでは予測している。

IDCでは2012年は約4兆8000億ドルからIOTの市場規模は8兆9,000億ドルと予測しているから、世界市場でも同様に2倍程度に市場成長を予測しています。

2020年にIoT(Internet of Things)の普及でつながるデバイスと市場の成長性」でご紹介をさせていただきましたが、調査会社などは2020年には300億から500億規模のデバイスがつながり、シスコシステムズの予想では今後10年間でIoTは全世界に14.4兆ドルの価値を生み出すと予測しています。

今後のビジネスの拡大にあたっては、IDC Japan コミュニケーションズのリサーチアナリストの鳥巣 悠太氏は、

国内のIoT事業者がビジネスを拡大させていくためには、各市場に精通した事業者との連携、トライアル環境の積極的な提供、コンシューマーの生活に密着したサービス開発などが重要になる。加えてグローバル標準化団体への積極的な参加や法規制の改善に向けたエコシステム一丸での政府への働きかけが必須となる

と、コメントされているように、それぞれのサービススタックのレイヤーの事業者が連携によるエコシステムが形成され、それぞれの事業者が収益を得られるモデルを構築していくことが、益々重要となっていくでしょう。

 

Comment(0)