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オープンデータ・ビジネス(3)オープンデータの経済効果

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オープンデータにおいて重要になるのでは、目的とする事業に対して、データを活用することで、産業創出に結びつき、経済効果につながるかというところになるかと思います。

今回は、オープンデータ活用による経済効果について、整理をしてみたいと思います。

NTTデータ経営研究所によると、オープンデータの市場規模は、 EUでは経済効果14兆円 となっており、GDP比で換算すると日本では1.0~1.2兆円に相当し、直接的な経済効果は1.5兆円、経済波及効果は5.4兆円になると算出しています。

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出所:NTTデータ オープンデータに関する欧州最新動向 2012.3.29 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/denshigyousei/dai21/siryou1_2.pdf

マッキンゼーが公表した調査によると、オープンデータの経済効果は7分野において年間で500兆円規模となっています。

分野

概要

Education

効果的な教育方針を認識と改善、適切なプログラムやジョブと学生をマッチングさせることで、年間で $890 billion 〜 $1.2 trillion のコスト効果

Transportation

インフラに関する計画と管理を改善することで、$720 billion 〜 $920 billion の経済効果。船舶の購入/展開/保守も改善する。旅客には、自身のニーズやスケジュールに合った適切なオプション選択できるよう顧客の意思決定を支援

Consumer Products

プロダクトの設計と製造を改善することで、年間で $520 billion 〜 $1.5 trillion の節約。店舗運営の効率化、ターゲット販売およびマーケティングの改善、適切な食品および製品リコールに関する消費者への通知、販売後のインタラクションを改善

Electricity

発電に関する経費と投資を最適化することで、年間で $340 billion 〜 $580 billion の経済効果。スマートグリッド・テクノロジーの開発を促進し、発電における効率も改善と電力サービスに関する適切な情報を提供

Oil and Gas

地震や地質に関する適切な情報を、石油/ガス等の企業に提供し、将来の投資における意思決定を促進により年間で $240 billion 〜 $510 billion の経済効果。データから、探査と生産の効率を向上させ、より良いプラント・ロケーションの選定、精錬/加工/販売における信頼性の向上

Health Care

より良いライフ・スタイルや治療の実現により、年間で $300 billion 〜 $450 billion が節約。開業医たちは、より効果的な治療法へ。利用者は、自分のニーズに合ったサービスの提供者を、十分な情報に基づいて選択可能に。

Consumer Finance

年間で $210 billion 〜 $280 billion の効率化。ターゲットが絞り込まれ、カスタムにデザインされた、金融商品の開発。消費者を対象とした、ターゲット・マーケティングも促進されていく。利用ユーザは、自身の資産管理について、より適切な意思決定が可能に。

出所:McKinsey Global Institute Open data: Unlocking innovation and performance with liquid information

G20では、オープンデータの経済効果は5年間で13兆ドルとなり、G20が掲げるGDPの2%成長という目標を達成するために、オープンデータによる貢献度は55%になると結論づけています。

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出所:Open for Business: How Open Data Can Help Achieve the G20 Growth Target

海外では、以上のように、オープンデータの活用により、多くの経済効果が見込まれるとして、様々なビジネスモデルへの展開を進めています。

日本では、オープデータを活用したビジネス展開の優良事例は必ずしも多い状況とはいえませんが、データ・ドリブンのエコシステムの形成や複数のデータの組み合わせによるデータ価値の向上によるビジネス創出など、様々な可能性が期待されるところです。

オープンデータ・ビジネス(1)データの価値 2014.7.8

オープンデータ・ビジネス(2)民間企業との連携による産業創出 2014.7.9

 

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