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3.11とIT(3)震災直後の政府のソーシャルメディア活用

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震災後、政府もソーシャルメディアを使い災害情報などを発信した。総務省消防庁(@FDMA_JAPAN)は震災発生の19分後の午後3時5分、

平成23年3月11日14時53分ごろ大きな地震が発生しました。全国での最大震度は震度7です。また、大津波警報も発令されています。沿岸部の方は十分に注意してください。この地震をうけて消防庁は同時刻に災害対策本部を設置しました。

と、ツイート。そして、

これより、消防庁災害情報タイムラインの災害時運用を開始します。崩れかけた建物の近くには近づかないでください。テレビやラジオで情報収集をしてください。大津波警報・津波警報が発令されています。絶対に海岸に近づかず、近くの高台や避難地に避難してください。

と、災害対策本部を設置しツイッター上でも災害情報に関する情報発信を開始した。津波については、39分後に

すでに岩手県に津波が到達しています。まだ津波が到達していない地域の方も一刻も早く避難してください。津波情報はこちら→(津波の情報サイトのURLを表記)

と警戒を呼びかけた。

約2時間の間には、被害状況のとりまとめや、気象庁からアナウンスされる警報・注意報、そして緊急消防援助隊の被災地への派遣などの情報が発信された。その後、【消防庁被害情報○○報】というタイトルで死傷者数や行方不明数、倒壊・火災情報などの被害情報のサイトを伝えた。

総務省消防庁のアカウントは、2010年5月18日に開設され、米国ツイッター社の認証済みアカウントマークを国内の行政機関として(法人としても)初めて取得。主に震度5強以上の地震や死者・行方不明者20人以上などの大規模災害時に向けて、消防庁がとりまとめている被害情報を発信することを目的とし、平常時は消防庁からの報道提供資料等の内容を発信していた。

震災前から開設していた厚生労働省 ( @MHLWitter )や文部科学省( @mextjapan )、そして、経済産業省情報プロジェクト室( @openmeti )などは、震災に関する情報を積極的にツイートした。

厚生労働省は、人工呼吸器など電気を使う医療機器の停電時での対応方法、被災のために被保険者証を提示できない場合の医療機関の受診、人工透析の提供体制、そして避難所の被災者のための健康維持や生活支援、仕事探しなどが発信された。文部科学省は、福島第一原子力発電所の放射能モニタリングデータなどが公開された。

経済産業省情報プロジェクト室では、公的機関の運用を経済産業省で確認している信用できるツイッターアカウントのがばったー(http://govtter.openlabs.go.jp)や国・自治体ツイッターアカウントリストなどを案内。また、消防庁や厚生労働省などが発信した重要な情報、震災後に政府が開設したアカウントも積極的にツイート。経済産業省情報プロジェクト室は、震災発生時において政府や自治体などの公共機関のソーシャルメディア活用の普及に向けての旗振り役を担った。

政府は震災前までツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアの活用に一部慎重な姿勢を見せていたが、今回の震災を機に、政府はリアルタイムに正確な情報を国民に届けるために、ソーシャルメディアを積極的に活用し始めた。

首相官邸は2011年3月13日、首相官邸(災害情報)の公式アカウント( @Kantei_Saigai )を開設。首相官邸では震災直後は、菅首相や枝野官房長官の記者会見模様や福島第一原発の放射能汚染や計画停電に関する情報が発信され、3月末にはフォロワー数が30万を超えた。その後、住まいや法律や雇用や各種手続きなどの被災者支援に関する情報、義援金や食品出荷制限などの情報が発信された。

首相官邸は2011年年3月22日、首相官邸のフェイスブックページ「Prime Minister's Office of Japan」を開設し、菅首相や枝野官房長官の会見模様や震災や原発などの震災に関する情報を英語で発信した。

海外では福島第一原発など被災情報が正確に伝わらず、外国政府も放射能汚染などに関する情報不足に不満を示していた。そのため、世界中で7億人以上が利用しているフェイスブックページを活用し、政府自らが海外に向けて情報を発信した。フェイスブックページのコメント欄には、政府や東京電力の原発への対応などについて多くの質問が英文で書き込まれ、日本人がその質問に答えるなどのやりとりが見られた。世界各地では原発に関する情報不足で一部では間違った報道がされていた。また、原発の情報不足と対応の長期化が進めば、海外からは同情から不満に変わるというイメージの悪化を招く恐れが懸念され、フェイスブックでの海外に向けての情報発信は、重要な役割を担っていた。

首相官邸は2011年3月16日に、英文の首相官邸(災害情報)のアカウント( @JPN_PMO )も開設。首相官邸のフェイスブックのページと連動させている。

被災現場で賢明に救援活動をすすめる陸上自衛隊、そして海上自衛隊もツイッターの利用を開始。自衛隊の救助活動は過酷な状況であるにも関わらず、温かい言葉が被災地現場から次々と書き込まれた。

陸上自衛隊は2011年3月20日、陸上自衛隊のアカウント( @JGSDF_pr」)を開設。JGSDFは、Japan Ground Self-Defense Forceの略となる。

本日より新たに、陸上自衛隊広報用として、ツイッターアカウントを開設いたしました。陸上自衛隊の様々な活動や取り組みについてお知らせしていきますので、フォローをお願いいたします。

とツイート。プロフィールには「陸上自衛隊は、この大地と国民の生命・財産を守るため、日頃から国民とともにある存在として全国各地でいろいろな活動を行っています。この場を通じて、陸上自衛隊に対する理解を深める一助となれば幸いです」と書かれた。

陸上自衛隊は被災地からの活動写真を掲載するなどの災害派遣の活動模様や隊員へのメッセージの受付も行った。ツイッターでは、

捜索活動において、発見された思い出の品を手渡す陸自です」「捜索活動を行う陸自隊員です。」「泥や瓦礫等の除去作業を行う陸自隊員です。

給食支援活動を行う陸自隊員です。

医療支援活動を行う陸自隊員です。

入浴支援活動において、子供とふれあう陸自隊員です。

音楽演奏後、子供にサインをねだられる音楽隊の隊員です。

など、写真の投稿とともに現地の救援活動の模様をツイート。また、YouTubeチャンネル、Ustreamなどを通じて動画も公開した。陸上自衛隊の救援活動のツイートは、多くの利用ユーザーの共感を呼んだ。

海上自衛隊は陸上自衛隊の動きを受け2011年4月4日、海上自衛隊のアカウント(@JMSDF_PAO)を開設し、被災各地での活動模様を写真で掲載している。海上自衛隊はYouTubeに「海上自衛隊チャンネル」を開設するなど、写真や動画を積極的に公開している。

2011年4月28日には、フェイスブックページを開設し、海上自衛隊の活動模様やイベント情報など写真を交えて公開している。フェイスブックには「感謝の気持ちとともにこれからも応援しております。」「海上自衛隊が、とても身近に感じられるようになりました♪」などが書き込まれた。

各省庁も震災後、ツイッターやフェイスブックのアカウント開設が相次いだ。総務省行政管理局電子政府グループは、2011年3月15日にツイッターの公式アカウント( @eGovJapan )、経済産業省は2011年3月16日、2011年3月20日には英語版の( @METI_JPN )を公開した。フェイスブックでは、外務省が6月1日に日本外交の発信強化のためフェイスブックページを開設、文部科学省も6月2日に新着情報や動画や施策紹介などを目的にフェイスブックページを開設するなど、活用が広がった。

 

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