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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

既存産業を侵食するソフトウェア技術の進化とエコシステム

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日経ビジネス2014.1.20の特集「シリコンバレー4.0」には、これからの新しいビジネスの創出に関するヒントが多くまとめられていました。

GEM Global Entrepreneurship Monitor(グローバル・アントレプラナー・パートナーシップ・モニター」の2012の総合起業家指数によると、日本は対象となった68カ国・地域の中で最下位となっており、新しいビジネスが生まれにくい状況となっています。

シリコンバレーにも変化が生まれ、ガレージ型から共有オフィスによるコワーキングスペースの活況、クラウドファンディングの登場による資金超タウtの多様化、クラウドサービスの登場などによる起業コストの低廉化、シードアクセラレーターの登場による起業化支援環境の拡大などにより、多くのベンチャー起業が生まれ、ビジネスを拡大させています。

シリコンバレーでは、「第1フェーズ」のトランジスタの発展、「第2フェーズ」のパソコン時代、「第3フェーズ」のインターネット時代を経て、現在は「第4のフェーズ」が動き出していると指摘されています。

この「第4のフェーズ」とは、

Software is eating the world(ソフトウェアが世界を侵食する)

と呼ばれ、クラウドや無料のプログラミングツールなどの充実によりコストは激減し、小資本で、全世界を瞬時に取り込む破壊力を持ち、IT業界だけでなく、交通・食・物流・農業・金融・自動車・医療・レジャー・教育などさまざまな既存産業の刷新し始めようとしている点が解説されています。

金融ではビットコイン、教育ではMOOCなどが代表的な取り組みとしてあげられています。

ソフトウェア技術の進展には、ハードウェアにも革新を促しており、3Dプリンターやロボット、自動運転車など、ソフトウェア技術とハードウエアの融合によるイノベーションが創造されています。

グーグルやインテルなどの大手IT企業は、こういった背景を受け、インテルのインテルキャピタルに代表されるように、ベンチャーファンドによる投資や買収を加速させています。特に、グーグルの場合はロボットや人口知能に関する買収を加速させている点が注目すべき点でしょう。

シリコンバレーが持続的な成長をしている背景には、成功した者が次世代を育てるという育成システムの充実もひとつ要因としてあげられています。その中心となっているのがスタンフォード大学でこれまで多くの人材を輩出し、エコシステムの中心であり続けています。シリコンバレーではイノベーションを生むためのエコシステムの環境を生みだしているとえます。

米調査会社のエイトスターがまとめたシリコンバレーの6要素では

スタートアップに有望な市場はあるか
規制緩和は進んでいるか
リスクを取る投資家はいるか
優秀な人材はいるか
通信インフラは発達しているか
起業を応援する風土はあるか

をあげています。

日本の場合は通信インフラを除き、遅れをとっており、中でも起業を応援する風土が大きく劣っている点が指摘されています。

日本は、これまで製造分野で世界をリードしてきましたが、スタートアップやソフトウェア技術においての遅れが指摘されてきています。政府の成長戦略では企業の開業率を現在の5%から欧米並みの10%まで引き上げる目標を掲げていますが、日本においても、ソフトウェアが既存産業をの枠を超え、ハードウェアとの融合を進めたイノベーションを生み出していけるのか。日本は、シリコバレーの動きと世界に広がるエコシステムの流れにどのように乗っていけるのか、注目してみてみたいと思います。

 

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