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オープンデータ社会(69)推進団体:Open Data Institute(ODI)

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イギリス政府は2011年11月、オープンデータを活用したビジネスを本格的に支援するオープンデータ研究所「Open Data Institute(ODI) 」の設立と、ODI設立後の5年間にわたり政府より1000万ポンドを拠出することを発表しました。ODIの設置を支援しているのは、イギリス政府の技術戦略審議会(Technology Strategy Board)です。


http://www.theodi.org/
Open Data Institute

ODIは投資会社のOmidyar Networkからも75万ドルの保証を受けており、オープンデータにおける市場創出など事業拡大に伴い、マッチングファンドや直接収入などで事業を継続していくことが想定されています。

2012年5月には「ODIのオープンデータ実行計画(Implementation Plan 2012 and beyond) 」を公表し、民間事業者の参入によるビジネスの創出とイノベーションを最重要に位置づけています。

ODIでは、オープンデータに関する技術やサービスの開発に取り組み新たなビジネスを創造するスタートアップ企業の支援や人材開発を目指しています。

さらに、オープンデータを利用するスタートアップ企業のインキュベーターとしての機能を持ち、収益獲得が可能なビジネスモデル事例を開発し、オープンデータのためのインパクト分析手法とビジネスモデル開発によるイノベーションを促進することを狙いとしています。ODIでは最初の1年間で4つのスタートアップ企業を支援し、4年間で12のスタートアップを育成することを目指しています。

ODIは2012年9月に非営利の非党派の有限責任保険会社として設立し、12月より正式に始動している。オープンデータ実行計画にもとづき、支援を実施している4つのスタートアップ企業を公開しています。

この4つのスタートアップ企業は、ビッグデータの活用コンサルや環境配慮型のクラウドサービスを提供する「Mastodon C」、公共交通機関のオープンデータ向けのアクセスAPIとデータセットを提供する「Placr」、不動産情報と不動産を探している人のマッチングを支援する「Locatable」、世界中にある企業データを収集して提供する「OpenCorporates」となっています。

新しいアイデアやイノベーション促進にあたって、2012年11月に、学識経験者や開発者などが参加するハッカソン「Hack4Health」を開催し、国民保健サービス(National Health Service, NHS)が提供する処方箋データを活用し、フィットネスアプリなどのサービスを創出する取り組みが行われています。


http://hack4health.co.uk/
Hack4Health

イギリス政府はこのほかにも2012年12月12日に、オープンデータ活用の推進のために新たに800万ポンド(約12億円)投資することを発表しています。また、750万ポンドの「データ戦略委員会ブレークスルー・ファンド(Data Strategy Board Breakthrough Fund)」を創設し、政府や自治体がデータの公開にあたって技術的な課題など解決するための資金支援を行なっています。

さらに、オープンデータを活用したビジネス展開を検討している中小企業やスタートアップ向けにはODI主催による85万ポンドの「オープンデータ・イマージョン・プログラム(Open Data Immersion Programme)」を創設し、このプログラムに応募し審査に通れば、資金支援などのビジネス化に向けた支援が行われます。

インキュベーションでは、ODIがオープンデータを活用して事業を進めるスタートアップ企業が集まって仕事ができるコワーキングスペースの提供を行なっており、スタートアップの経営者や開発者などがお互いに情報交換を活発に行い、事業を創出するための環境を整備している。ODIでは、これらの活動を通じて、初年度に25名のオープンデータ技術者の育成を図ることを計画しています。

 

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