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GIEシンポジウム「国民ID制度を考える」に参加して #GIE_ID #kokuminID

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8月26日、慶應大学で開催された第11回GIEシンポジウム「国民ID制度を考える」に参加してきました。当日の模様などはツイッターのハッシュタグ #GIE_ID でも確認することができます。また、Togetterでもまとめられています。USTEREAMでも公開されましたが、今はちょっと見ることができません。

また、崎村氏の講演資料高木氏の講演資料はWeb上でも公開されています。

パネリストの参加者は、以下のとおりです。

崎村 夏彦 氏 (OpenIDファウンデーション 副理事長 )
座間 敏如 氏 (内閣官房 電子政府推進管理(GPMO)補佐官)
鈴木 正朝 氏 (新潟大学)
高井 崇志 氏 (民主党 衆議院議員)
高木 浩光 氏 (産業技術総合研究所)
松本 泰   氏 (セコム株式会社 IS研究所)
國領 二郎 氏 (慶應義塾大学 総合政策学部長)
モデレータ
折田 明子 氏 (慶應義塾大学)

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「国民ID制度の目的、定義と要件」については、崎村氏がブログで事前に整理をされています。なお、国民IDの定義としては、

国民ID制度は、社会保障・税の共通番号の検討と整合性を図りつつ、個人情報保護 を確保し府省・地方自治体間のデータ連携を可能とする電子行政の共通基盤であり、政府及び自治体における自己に関する情報の活用を本人が監視・コントロールできる制度及びシステムである。

です。

政府が6月19日に公表した「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会 中間取りまとめと」では、全体の方向性が示されていますが、税分野のみで利用するドイツ型のA案、税務+社会保障分野で利用するアメリカ型のB案、そして幅広い行政分野で利用するスウェーデン型のC案と、利用範囲をどうするかというのもこれからの検討課題となっています。そして制度設計やプライバシー保護のあり方も非常に大きな検討課題となります。

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また、会場でパネルディスカッション用に整理された「国民ID制度と共通番号制度」の全体俯瞰図です。

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会場では、私も実際につぶやいてみましたので、少しご紹介します。

GIEシンポ「国民ID制度を考える」に参加しています。Ustream はhttp://bit.ly/cMFr25 #GIE_ID

セコムIS研究所の松本氏。申請型からプッシュ型の電子政府へ。制度と基盤。個人情報を移動するポリシーなど。フレームワークが重要。効率も重視すべき。 #GIE_ID

OpenIDファウンデーションの崎村氏。ユーザー中心の国民のためのID。アイデンティティ管理のライフサイクル。データ転送の基盤。国際的なオープン標準技術など。普段使っているIDで行政サイトにアクセスする。公的個人認証の普及は1%。今後の電子政府はどうあるべきか。 #GIE_ID

崎村氏。電子政府における認証手段としてのID。国際標準のオープンな枠組み。自己情報コントロール権の確保が必須。民間の既存の仕組みを利活用。第三者機関による監査・認定。 #GIE_ID

新潟大学鈴木先生。個人情報該当性の判断。個人情報の定義。IDの提供と個人情報保護法23条適用の有無。個人情報とプライバシー情報。民間の法的IDは今後大きくなる。 #GIE_ID

産業技術総合研究所の高木氏。ケータイIDの問題。IDが誰のものかわかってしまう問題。ケータイIDの国民ID的広がり。国民IDを一般民間事業者が利用するとどうなるか。ケータイIDはありか、なしか。技術的な解決は。 #GIE_ID

民主党の高井議員。管総理は、国民IDへの意識は高い。関連する省庁が多すぎる。縦割りの弊害がある。国家戦略局の位置付けは再整理。まだ、方向性は決まっていない。いくつかの案を出した。ドイツ型、アメリカ型、スウェーデン型。民間との連携まで議論がいっていない。 #GIE_ID

高井議員。制度設計が重要。住民基本台帳との連携が可能性としてある。第三者機関をどう設置するか。偽造やなりすましへの対応など。年内にある程度の結論を出していきたい。 #GIE_ID

内閣官房の座間補佐官。電子政府推進の立場から。国民IDと共通番号制度。eGovermentとOpenGoverment。Facebookは米国では約半分が利用している。効果と影響の範囲。影響分析を行うべき。導入目的と影響の関係性。 #GIE_ID

座間氏。実現可能性。制度とインフラ整備のタイミング。運用プロセスの重要性(1億人以上に対応できる仕組みなど)。ネガティブな要素(特に個人情報やプライバシーのログ。本人同意。など)への対応。 #GIE_ID

国民ID制度と共通番号制度は、対象は国民全体となり、壮大なプロジェクトとなります。日経ITProの7月8日の記事「国民IDのシステム開発に6100億円」にもあるように、相当な国費の投入も必要となります。開発費のみで6100億円ですが、運用費や周辺ビジネスを考えるとさらに、多くの投資が必要となります。一方、国民IDの利用により、民間事業者の参入も含め、市場が活性化し、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。しかしながら、第三者機関設置などの制度設計やプライバシーの問題など、検討すべき課題は山積しています。ただし、最も重要なのは国民本位の電子行政の実現のための国民ID制度であり、共通番号制度です。

政権の今後が混沌としている中で、どのような形で進んでいくのか、今後の政策の動向が注目されるところです。

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