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出会い系サイト届出義務によるSNSとプロフへの影響は?

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出会い系サイトをきっかけにして、児童買春などの青少年の性的な被害に逢う事件が多発しています。警視庁は、17日、有識者研究会の「「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止の在り方について」の取りまとめ及び意見募集について(PDF)」の中でサイト事業者に罰則付きで都道府県の公安委員会への届け出を義務づけや、サイト参加者の年齢確認厳格化を求めることなどを柱とした提言をまとめました。そして提言を受け同庁は出会い系サイト規制法の改正作業に着手し、一般からの意見募集を募り、改正法案を通常国会に提出する方針です(関連記事)。

 
全部で8つの提言が述べられているので、まとめてみましょう。

  • 提言① 都道府県公安委員会に対する届出制の採用が適当である。
  • 提言② 出会い系サイト事業者には、児童に関係する書き込みを知ったとき、その書き込みの削除を義務付けることが適当である。
  • 提言③ 出会い系サイトに関係した児童被害の防止活動を行う民間団体に対し、公安委員会が情報提供等の支援を行うことが適当である。
  • 提言④ 年齢の自主申告方式を一部廃止し、年齢確認方法を一層強化することが適当である。
  • 提言⑤ 児童の利用を防止するため、出会い系サイト事業者の責務を法に明記することが適当である。
  • 提言⑥ フィルタリングの普及を促進するため、法に保護者及び携帯電話事業者の責務(努力義務)を規定することが適当である。
  • 提言⑦ 本法に違反した者は、行政処分(事業の停止命令を含む)の対象にすることが適当である。また、事業者の欠格事由を設け、該当者は事業廃止命令の対象とすることが適当である。
  • 提言⑧ 出会い系サイトではないが、当該サイトの利用に起因した児童の犯罪被害が相当程度発生しているサイトの運営者は、自主規制として、ネット上で出会った異性との交際の危険性についてサイト上で注意喚起すること等を行うことが適当である。

 
では、急激に利用者数を伸ばしているmixiやモバゲータウン等に代表されるSNS、そして自分のプロフィールを登録するプロフはどうなるのでしょうか?

 
今回の提言の中には、「出会い系サイト該当性に関するガイドラインの見直し等の必要性」について述べられている項目があり、


届出制を採用した場合、SNS といったコミュニティサイト等の取扱いをはじめ、どのようなサイトが出会い系サイトに該当するのかが不明確であると、結果としてサイト開設者全般に対して萎縮効果を与えるおそれがあることから、届出制の導入について消極的な意見もあった。


と、SNSへの影響については、消極的な意見としています。
そして、

 

出会い系サイトは、法第2条において「インターネット異性紹介事業」として定義されており、法第6条(不正誘引罪)で厳格な定義が要請される犯罪の構成要件とされていることからも明らかなように、どのようなサービスを提供しているサイトが出会い系サイトに当たるのかは、法律上十分に明確になっている。そのことを前提に、現行法でも、出会い系サイト事業者には児童の利用禁止の明示義務等が課せられており、同義務違反を理由に都道府県公安委員会が是正命令をなしうるので、届出制を採用することにより新たに上記のような萎縮効果が生じるとは考えられない。

 
と、法制定時に、サイトにおいて提供されるサービスに応じ、そのサイトが出会い系サイトに該当するか否かを示すガイドラインを作成し公表しているために、萎縮効果が生じるとは考えられないとしています。

 
一方、

 

しかしながら、インターネット上では法施行後も様々な形態のサービスが生み出されているので、サービスの類型ごとに、現行の「インターネット異性紹介事業」の定義に照らしてその該当性を判断しやすいことが望ましい。行政においては、既存のガイドラインについて関係業界の意見も聴取した上で必要な見直しを行うことなどにより指摘された懸念の払拭に努め、インターネット上の各種サイト開設者が判断に迷うことのないようにする必要がある。

 
と、様々なインターネット上のサービスが提供されているために、一般の意見も聞きながら、見直しを実施し、判断を迷わないようにする必要性を述べています。

 

ブログやSNSに代表されるようにWeb2.0の流れが加速しています。そして最近は“人検索”のニーズも高まり、“人検索”の技術も進化しつつあり、時代の流れはネット上の柔らかな“人と人のつながり”へシフトしてきています。しかしながら、今回のように出会い系サイトや出会い系サイトではないサイトでも被害が発生しているのも現状です。

 
そして、グローバルで進むgoogleのSNS向けソーシャルアプリケーション構築の共通規格「OpenSocial」も検討が進み、SNSのオープン化も始まろうとしています。

 
今回の提言は、サイト提供者や利用者への影響も考えられるため様々なところで議論されることと思いますが、犯罪撲滅とインターネットのコミュニティの活性化につながればと願っています。


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