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有料放送での「世紀の一戦」、違法だけどPeriscopeのストリーミングの連帯感は新しい何かかも

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ボクシングはよく知らないのですが、それでもメイウェザー対パッキャオの世界ウエルター級王座統一戦が「世紀の一戦」として話題になっていたのは知ってました。

で、この試合は当然ドル箱なので、HBOとかが100ドルくらいのオンデマンド生中継(1週間後に普通放映の予定)しました。

これを、MeerkatPeriscopeのユーザーがばんばんライブストリーミングしたそうです(Mashableより)。

テレビ画面をスマートフォンのカメラで撮影しているので画質も良くないし、いろんなノイズ(そのテレビを見ている人たちの歓声とか飲食の音とか)も入るけど、とにかく100ドルの価値のある生中継を無料で見られるわけです。

こういうことは当然予測できたわけで、サービス提供側は違法ストリーミングに気付けばそのストリーミングを遮断するんですが、なにしろライブですから気付くまでに時間がかかります。どれかが遮断されても検索して別のストリーミングで続きを見られます。

この違法ストリーミングを楽しんでいる人たちの間でそのうち「どうすると見つかっちゃうか」が分かってました。幾つか要素はあるんでしょうが、その1つは「画面をタップしてハートを送る」がたくさんあると審査対象になる、というものです(Facebookの「いいね!」のライブ版みたいなものです。下図)。hearts.jpg

ここがソーシャルだなぁと思ったんですが、それが分かってからは、例えばあるストリーミングでは1万人以上の人がじーっと、コメントもハートも付けずに見ていたそうです。

もちろんこれは違法なんですが(映画泥棒と同じです)、この連帯感って面白い。

途中から参加して何も知らずにハートを出す人がいると、「しーっ」って誰かが止める。たぶん、見ている全員が「このストリーミングが遮断されませんようにっ」と思いながら、1万人の連帯感を楽しんだんじゃないでしょか。

こういう違法ストリーミングを100%遮断するのは技術的に難しそうですが、これによるコンテンツ保有者の損害は意外と少ないんじゃないかと思います。本当にこの試合をじっくり見たかった人は100ドル払って見たでしょう。ライブストリーミングをあてにしていたのは、「見られるなら見よっかな」くらいの、そもそも有料だったら見ないクチの人たちです。

こういう人たちの一部は、「おもしろかったなー。途中切れたとこもあるし、来週の録画放送見るか」と思うでしょう。いわば予告編の役割です。

Periscopeを買収したTwitterのディック・コストロCEOは調子に乗って「(メイウェザー対パッキャオ戦の)勝者は@Periscopeco~」とツイートして顰蹙も買ってますが、違法ストリーミングを肯定しているわけではなく、おそらくこの試合中にユーザー数が増えたりしたんでしょう。

どんなサービスにしても、黎明期はいろいろ問題があって、それが整備されていくのを見るのは面白いです。どんな形で落ち着くんでしょうねー。

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