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パート主婦が営業プロセスの7割担当 ネジ革命のツルガ

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東大阪に従業員わずか5名(+パート主婦5名)であるが、非常に効果的効率的な営業展開をしている特殊ネジの専門商社がある。株式会社ツルガである。事業内容は、ボルト・ナット・小ネジ全般の販売、特殊ネジを軸にしたアライアンスによる新規開拓を行い、自動車・船舶・家電を中心としたメーカーから受注を受け取ると、東大阪の中小製造工事に発注、メーカーと町工場の仲介役としてものづくりの一旦を担う。2003年から展開した「ネジ革命プロジェクト」として、メーカーやエンドユーザーから吸い上げたニーズを製造現場のシーズと結び付け、顧客価値が高いネジ商品を企画・開発するプロジェクトを展開し、ヒット商品を続々誕生させている。

今年になって、クラウドコンピューティングは既成路線になりつつあり、各社どのポジショニングでビジネスを行うかに焦点が移っている。しかし、一昨年、昨年は、「日本では、カスタマイズが当たり前で進まないのではないか?」「セキュリティーは大丈夫か?」といった話も多かった。私自身も、セールスドットコムや日本コンピュータメーカー各社、中小企業庁等に足を運んだ。そうした中で、実際の活用している現場を確認するために、セールスドットコム社が必ず成功事例として引き合いに出す東大阪の専門ネジ商社 株式会社ツルガの敦賀 伸吾社長を訪ねた。

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敦賀社長から、2時間以上に渡って、こと細かくどのような運営にしているかをお伺いいたが、さすがにセールスドットコム社が代表事例として取り上げるだけのことはある。

1.クラウド上でお客様に過去提出した1ユーザー数千にも上る見積書の共有化

ネジの見積もりなどについて、お客様の今までの全ての見積もりをクラウド上の置いておいて、パスワード管理の見てもらっている。以前は、お客様から、電話かメールをいただき、同様に電話かメールで対応していた。今は、全部顧客と見積情報を管理しているので、見積業務の大幅な効率化され、行き違いを無くしている。

2.クラウド上に補完された顧客情報を、いつでもどこでも確認し質の高い商談を実現

東京出張時、携帯電話上から、クラウド上に保管されているお客様データやその他必要ツールを覗いて、商談を進めることに役立てている。

3.受注までの営業プロセスの7割をパートタイムの主婦が担当

セールスプロセスの熟度と確度管理をクラウド上で行い、商談の各ステージ毎に、メールやアウトバウンドテレマのアクションを取る。セールスプロセスの7割を標準化・デジタル化し、誰が対応しても同様のアクションが取れるようにしている。実際のお客様との電話やメールでのやり取りを見学させていただいた。朝お子さんを学校に送るため10時に出勤、夕飯の準備があるので15時に帰社される主婦の方が、非常にシステマテイックに担当している様子を目の当たりに見て、標準化の重要性を再確認した。

4.一対nによりクラウド運営側で、管理画面が随時改善される

セールスフォースは、3ヶ月に1回、画面が変わって新しい機能がついてくる。特別に自分で分析ツールを作らなくても、セールスプロセスを様々な角度から特別なコンピュータ言語を知らなくてもカスタマイズが可能である。(一対nにより、顧客の要望に応じてドンドン改良をしていき、サービス利用者全員が恩恵を得る仕組みになっている。)

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しかし、高いパフォーマンスを上げているのは、クラウドサービスを使っているからだけではない。敦賀社長が、しっかりとマーケティングプロセスの仮説-実践-検証を行っているからだ。上記以外にも、社長自身がメディアへの露出を多くし、問い合わせや注文が入ると、「どういったネジのニーズがあるのだろう?」と考える。私がお伺いさせていただいた際も、某中国地方の大学からネジの注文が入っていた。すると、敦賀社長は、その大学に用途を確認した上で、大阪の全大学に、注文先から聞いた用途がないかをメールで送信するといったことを行っていた。

また、インターネットを利用し、海外へも特殊ネジの受注販売を行っている。例えば、海外で行われているプラント工事は、多大な予算で建設される。そうしたプラント工事は、わずかでも建設の工程が遅れると多大な損害になることも多い。トラブルが起き、ネジが必要になると注文が入るが、上記のような事情もあり、ほとんど値引き無しで高額のネジを買ってもらえるのだという。本当にインターネットによって、市場は海外まで広がった。

中小企業は大企業に比べ、経営資源(人、モノ、金、ブランド、情報等々)が不足している。しかし、株式会社ツルガのように、インターネットやクラウドサービスを駆使し、さらに、パート主婦を戦力化して成果に繋げている企業が実際にある。本当に、やり方次第だとつくづく感じた訪問でした。

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