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SFDCのソーシャル化

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弊社はセールス・フォース・ドットコム(SFDC)の世界的なユーザーとなっており、営業活動の全てはSFDCを通じて管理され、自分の顧客分析、目標、達成状況など細かに、そしてきちんとインプットされています。上司はその内容を確認しながら、Up to Dateにアドバイスを行い、そしてチーム、結果的に会社全体の活動が活発化されています。

さて、最近はオープン・イノベーションにようる企業改革について研究をし、また主にB2C企業に向けてプロモーションをしています。そんな中でSFDCの方から新しいSFDCのソリューションとして「idea」という製品があるので話しを聞く機会がありました。

書籍などによると、SFDC社は多くの顧客を抱えており、新しい機能を追加するにあたり、顧客からの要望に優先順位をつけてバージョンアップをするのに大変な苦労を強いられていたようです。つまりある顧客の要望に応えると、他の顧客の要望の優先順位が下がったり、企業としての戦略や競争を考えたときの優先順位など、とにかくさばききれないほどの考慮事項があるわけです。

SFDCは苦肉の策として「市場に判断を委ねる」という意志決定をし、顧客に対してオープンに要望を求め、そして顧客達自身がそれを見ながら「投票」して優先順位を決める事にしたのです。

そもそもは自社のためにその仕組みを作ったのですが、このソーシャルネットワークの取り組みが功を奏したため、これを製品化して企業の取り組みに活かし、かつイノベーションを起こすためのサービスとしてSaaS形式の新たなビジネスに取り組み始めました。

そして成功した事例としてスターバックスの「My Star bucks Idea」というサイトであり、デルの「IdeaStorm」です。

これらは顧客からの要望やアイディアをオープンに受け入れて、顧客自身がその実現について「投票」をすることにより、企業側の優先順位を決めていく、もしうまく行ったらイノベーティブな製品やサービスを創造できる、といったものです。

これはサイトを見ていただければすぐに理解出来ますね。

さて、SFDCはこれを更に進めて、ソーシャルネットワークの中で行われている議論やつぶやくを捕まえてしまおう、というサービスを開始しました。先週はそのデモを見せてもらいに六本木ヒルズのオフィスにお邪魔をしたのです。

ITメディアの記事にもなっているので目にされた方も多いと思います。

機能はFacebookやTwitter、あるいはGoogleの検索内容からキーワードを拾ってきて、それを顧客に対するサービスに活かすというものです。これを「サービス・クラウド」と呼んでいます。

たとえばFacebookに関してはMixiにたとえると日本人にはわかりやすいのですが(まだMixiは対象サービスではありません)、コミュニティーにある企業のスポンサーサイトがあるとします。その中に「この機種のこのサービスでこんなエラーが出て使えなくなったがどうしたら良いか」という問い合わせがあるケースを想定してください。SFDCは自動的にこういった問い合わせ(Mixiではトッピックを立てる)を取り込んで、その企業のサービス担当が見ることが出来るシステム(実際はSFDCそのもの)に載せます。

その結果、こういった問い合わせについて「どんな問題が起きているのか」「顧客は何を今求めているのか」といった情報をネットから比較的自動的に取り込むことが出来ます。

更に問い合わせに関して企業としてレスポンスすることも可能になります。

Facebookには「Facebook Application」があり、これでカスタマイズして機能を提供出来ますが、オープン・イノベーション的に「アイディアに投票する」というサービスを作ることが出来ます。まさにソーシャルネットワークの中でのオープン・イノベーションです。これと連動して情報を社内に取り込み、新製品の企画に使う、という事も可能となります。

Twitterはその場その場の利用者の「つぶやき」がネットで流れています。アメリカのSkittlesというお菓子メーカーはTwitterのこのつぶやきをモニターして、プロモーションに活かしています。

つまりTwitterでの発言をモニターして、これをサービス・クラウドに取り込みます。先ほどと同じような感じで(Twitterなら)「俺のデジカメちょっと調子悪くなってフォーカスがうまくあわないよ、なんとかなんねーかなー」なんて感じでしょうか。

これを苦情あるいは課題と認識します。そして取り込んだ結果、この発言者に対して「暗い場所ではフォーカスが合いにくいのでISO感度を上げてみてください」なぁんて回答することも出来るわけです。

そんなわけで、企業がソーシャルネットワークでキャンペーンをした結果をオンタイムで把握したり、製品やサービスの課題に対して迅速に対応をしたり、顧客に驚きを与えたり、様々試みが実現できるでしょう。

課題もあります。これらのソーシャルネットワークで、はたして勝手に顧客のそういった声を企業側が拾って良いものでしょうか?どうやって個々のユーザーから情報を得ることを「承認」してもらうのか。結構考えると管理することも大変ですし、「それは嫌だ」というユーザーを区別するのも大変です。

機能はあるものの、これを活用するにはもう少し対策を講じておかないと無駄な炎上を誘発しかねませんね。

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