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iPhone7はガラパゴス電子マネー用フェリカチップを搭載するか

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iPhone7はフェリカチップを搭載するんだって!!?

 ええええぇ  iPhone7はガラパゴス電子マネーに対応するのぉおおおぉ??

 JR東の人が国際標準にフェリカチップをねじ込んだって 自慢したらしいよ・・・

 うーむ、ちょっと冷静に考えてみようよ・・・

 NOTTV

  iPhoneがチューナーチップを積んでくれなかったばかりにサービスを停止したと言われるNOTTV

<出所 http://gogotsu.com/archives/13347  >

iPhone7は早ければ2016年9月9日ごろのアップルイベントで発表されると予測されています。またイノベーションを忘れ始めたクック・アップルの特徴として、特段目新しいサービスや機能が無いとも言われています。その中、国内でまことしやかに噂されているのは「国内限定でiPhone7はガラパゴス電子マネーのフェリカチップを搭載する」と言う見方です。ジャーナリストの石川温氏などがこの見方を代表すると報道されています。

アップルは「世界単一のiPhone7製品(ユニバーサルプロダクト)」として様々な製品を出しており、その典型がiPhoneでした。例えばNTTドコモがNOTTVを出した時もiPhoneは対応しませんでした。その為、特別チューナーの付加装置をつけないとiPhone上では視聴できず、NOTTVサービス停止の一因になったと言われています。そしてアップルが促進するアップルペイは、フェリカ(NFC-タイプF)のチップではなく、NFC-タイプAとBに対応しています。iPhone7がフェリカチップを搭載と言う見方は、日本だけアップルが特別扱いすると言う見方です。ハードウエアだけではなく、ソフトウエア的にもアップルペイがガラパゴス電子マネーのスイカやパスモ、ナナコ、ワオンに対応すると言う見方につながります。「世界単一のiPhone7製品(ユニバーサルプロダクト)」を推進するアップルの意思決定において、実際にこんなことがありえるでしょうか?

■ JR東日本がGSMAの標準にフェリカチップをねじ込んだ

世の動きが日本も含めて仮想通貨も含むサーバー型電子マネーに移行する中、非常に危機感を持ったのはガラパゴス電子マネーの推進企業である東日本旅客鉄道(JR東)であると言われています。彼らは第11回NFC フォーラムジャパンミーティングにおいて「2017年4月以降、GSMAグローバルスタンダードにフェリカ(NFC-タイプF)のチップを加えることに成功した」と発表しています。

これがiPhone7の日本版がフェリカチップをNFC-タイプAとBの代わりに搭載すると言う見方の根拠です。一見正しいように見えるので一部のジャーナリストはこの見解を支持しています。

IPhoneの市場シェアが落ちる中、アンドロイドの様にアップルも日本市場に、ごまをすってiPhone7の日本版にフェリカチップを搭載すると言う見方もあります。

 

■ 国際標準と言う色あせた錦の御旗、錦旗

新しい規格がアップルウオッチとか第四世代のLTEや第五世代の5Gを決める段階であれば、国際標準規格を抑えることは、明治維新で薩長が錦の御旗、錦旗を抑えたように周りのプレイヤーを全て吸収し、なびかせる効果があります。

しかしGSMAの標準は既に数年前、NFC-タイプAとBに決定しており、世界的にはNFC-タイプAとBが普及期にあります。従ってNFC-タイプFのソニーフェリカチップが国際標準に加わったからと言ってグローバルには全く影響がなく、国内においてNFC-タイプAとBの他にタイプFを勝手に加えても構わないというお墨付きを得た程度の影響力しかありません。これによりスイカなどのガラパゴス電子マネーの延命が多少伸びたという程度の影響であると考えられます。

問題はNFC-タイプAとB、タイプFが一つのチップで可能であれば良いのでしょうが、現在はアンドロイドでもおサイフケータイ(スイカなど対応)のタイプFとNFC-タイプAとB対応サービスの間でチップの入れ替えをしている有様です。一度に片方のサービスしか使えません。(アップルペイとスイカなどの関係)

将来、ソニーがNFC-タイプAとB、タイプFが一つのチップで可能なフェリカを安く作れば、ありえないことではないかもしれません。

■ アップルの顧客は通信キャリア、カード会社であり、鉄道会社ではない

次にアップルがアップルペイでNFC-タイプAとBを採用した理由は、米国小売業界に力を持つビサやマスターカードの広い意味でのサーバー型電子マネーであるVisa Pay WaveやMaster Card Pay Pass WalletなどがNFC-タイプAとBを選択したためです。従って国内の通信キャリアが連合しておサイフケータイに断固固執し、更に国内カード会社がVisa Pay WaveやMaster Card Pay Pass Walletを日本で捨ててもフェリカが欲しいとでも言い出せばiPhone7はガラパゴス電子マネーのフェリカチップ搭載は考えられないこともありません。しかしそんな話は全く報道されていません。またおサイフケータイ360万ユーザーは、アップルの顧客ではありません。ましてや顧客でもないJR東のガラパゴス電子マネー=スイカの防衛と言う勝手な主張などではアップルは動きません。

■ Visa Pay WaveやMaster Card Pay Pass Walletがフェリカ対応するか?

アップルペイはカード会社の規格の方向に敢えて合わせた仕様になっています。その代表がVisa Pay WaveやMaster Card Pay Pass Wallet(サーバー型電子マネー)であり、NFC-タイプAとBを採用しています。従ってガラパゴス電子マネーだけを支えるフェリカ対応はちょっと考えられません。また9月のiPhone7発表時に同時にアップルペイの日本展開が発表されるとみられています。

■ 金融庁は仮想通貨導入によりサーバー型電子マネーに舵を切った

2016年5月のフィンテック法案の改正、その後の金融審議会の議論は「国際的な標準に合わせる」「TPPなどを意識した規制緩和」がその方向です。ブロックチェーンは仮想通貨と切り離された技術と考えれば、仮想通貨は現在、サーバー型電子マネーの規制緩和論議中のサーバー型電子マネーの一部と考えられます。既にLinePayやヤフーマネーはペイパル並みの規制緩和がなされており、法改正は明らかに後付け論議です。

こういった環境下にあってiPhone7はガラパゴス電子マネーのフェリカチップを搭載するでしょうか?それも日本のスイカだけの為に。

■ iPhone7はガラパゴス電子マネーのフェリカチップを搭載したら?

もし仮にiPhone7がフェリカチップを搭載した場合、おサイフケータイは通信キャリアが独自アプリを開発し、またJR東もおサイフケータイ用独自アプリを開発することになるでしょう。そしてこれらに対しては、アップルペイには対応しません。アップルペイは飽くまでも国際カード会社の仕様に合わせたものです。(NFC-タイプAとB及びサーバー型電子マネー)

結果としてガラパゴス電子マネーシステム(モノ支配論理)の延命が多少可能となります。これはあたかも1990年代初頭のリナックスOSによるサーバー=ダウンサイジング時代にセキュリティを盾に20年以上延命している(恐竜とよばれた)大型汎用コンピューターが支えるバンキングシステムを想起させる事態が生まれます。実際、JR東のスイカはそうなる運命かもしれません。周りがすべて仮想通貨も含めたサーバー型電子マネー時代(サービス支配論理)に移行し、モノ支配論理のスイカだけが古い文化や技術を保持したいわば、米国社会におけるインデアン居留地になるのでしょうか。

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