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祝フィンテック法案成立、陰で進む電子マネーの規制緩和に注目

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 フィンテック法案が通過して、日本も仮想通貨を認めるんだって? じゃあ既存の電子マネーはどうなるのぉおお?

 改正銀行法なども改正資金決済法もほとんど触れてないんだけどぉお @@

 いやいや、仮想通貨を認める裏で 行政が裁量で電子マネーの規制緩和を実行中なのですよ・・・ 

 えええええ・・・・法律も変えずに そんなのありかあああぁ!!?

<出所  >

 2016年5月25日参議院本会議で与党などの賛成多数でフィンテック法案(改正銀行法案関連と改正資金決済法案)が可決されました。世にいう金融ビッグバンの再来です。1年以内に施行されます。

改正銀行法では金融機関のフィンテック企業への投資や設立、買収が個別認可で持ち株比率100%まで認められることになっています。(従来は銀行5%、持ち株15%以内の出資の限定)また金融機関の決済業務の範囲が拡大します。

そして改正資金決済法ではビットコイン型のような仮想通貨の取り扱いが一般事業会社にも認められています。

■ 裏で進む電子マネーの規制緩和に注目

昨日のあるフィンテックセミナーで筆者が話したのは、仮想通貨解禁の裏で進む電子マネーの大きな変化でした。(このあたりの見方は一般経済紙が全く取り上げていません)

特にサーバー型電子マネーに対する2010年の旧資金決済法上の規制が何時の間にか行政指導により消え始めています。

■ 電子マネーに対する縦割りの行政指導

2010年の旧資金決済法の施行当時、eBay傘下のPayPalは、新たな資金決済法の下で日本に本格進出すると言う見方がありました。しかし実際にはPayPalは従来の個人間送金サービスを停止する、一般PayPal預金の銀行払い出しをも停止しました。旧資金決済法でがちがちの縦割り規制(為替取引、前払い式支払い手段(プリペイドカード、所謂,電子マネー)更に決済代行サービス(割賦販売法)などによる縦割りの壁)を前提とした金融庁の行政指導のお蔭で2010年資金決済法施行後のPayPalは全く魅力もないサービスとなっていました。為替取引、前払い式支払い手段、決済代行サービスと銀行預金の取り扱いの間に壁がない自由な米国のPayPalと大違いでした。

80年代の昔筆者も総務省(当時の運輸省)が「放送」「通信」「情報処理」は全く別物だとする各サービスの間に壁を設ける縦割り行政指導を行っていたことを思い出します。金融庁のPayPalへの指導はこれとよく似ています。同じ省庁の中でも壁を作ります。

■ Line Payで崩れた縦割り行政の壁

しかし2014年の2月、中国の春節でメッセージサービスのWechat(微信)が開始したお年玉の交換サービス(個人間送金を認めるWechatウオレット)が大ヒットし、アジアで競合するLineが金融庁に直訴して出来たのがLinePayのサービスでした。

LinePayを調査すればすぐわかりますが、当初PayPalが課せられた制限がほとんど消えています。何しろ本人確認はLinePay口座に銀行口座を登録すれば、銀行側で本人確認が終わったとみなされるくらい凄い規制緩和です。

2014年にはマウントゴックスが倒産し、一方で欧米でフィンテックが盛り上がり、金融庁も自民党も規制緩和の検討を始めていた時期にあたります。

資金決済法の改正なしに行われたLinePayに見る実質的な規制緩和は、金融庁は「アドバルーンとして様子を見ていた」と考えられます。

■ 仮想通貨を認める一方電子マネーに触れない訳

明らかにフィンテック法案をきっかけとして日本型電子マネーはスイカ、パスモ、ナナコ、ワオンのストアードバリューカード方式(時代遅れのモノ支配論理)からIoT型のサーバー型電子マネー(サービス支配論理)に移行すると予測されます。

仮想通貨を認める一方電子マネーの規制緩和を実施しないのは明らかにバランスを欠くと金融庁は判断したのでしょう。LinePayを唐突に認めたこともあり、資金決済法上の電子マネーに関しては殆ど手を付けることなく(今さら法改正できず)規制緩和が進んでいます。

■ Yahoo!マネーに注目

2016年夏に登場するYahoo!マネーがどれだけ米国流の電子マネーPayPalの使い勝手に近づくかが見ものです。これはフィンテック法案の裏で進む日本型サーバー型電子マネーの成否、ひいてはECや越境ECの普及に影響します。またいずれにしても日本型のガラパゴス電子マネー(EDYやスイカ、パスモ、ナナコ、ワオン)などは次第に衰えていくでしょう。

まったく 金融庁も自らのプレゼンス(存在感)を維持するのに必死なのでしょう。

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