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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

IoTの登場で危機に立つ文化系学科、ナレッジマネジメントの未来

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  世界のナレッジマネジメント運動がIoTの登場で岐路(危機?)に立っています。

一部の有名コンサルタント、トーマス・ダベンポートさんらが「人の知識の共有なんて古い」これからは「AI=機械の知」の時代だと言いだしたので

欧米のナレッジマネジメント運動は混乱し、再発明の時代を迎えています。(以下の本を書いたわけです。流石コンサルタント、変わり身が早い すげー  @@)

 君い 「スマートデバイスが自動運転したり、子供に童話を読み聴かせたり・・・・凄い時代になるんだよぉ」 「絶対これだ!!」

 うーん それは全て確かだと認めたうえで 何かおかしくない?

飽くまでも機械は二足歩行をし、両手が空いた人類の道具ですよ・・・・ 現実の社会が滅び、マトリックスのような社会が支配的になると言うなら別だけどぉ・・・・

しかし17年ほど前彼は下の本も書きました。実はトーマス・ダベンポートさんが普及させた知識共有、情報共有の運動です。

それがきっかけで世界中で知識の共有だと騒ぎになったわけです・・・

商品の詳細

<出所 アマゾン>

シンガポールにおけるナレッジマネジメントの国際連合結成大会で基調講演したカナダのジョン・ジラルドさん。

ビッグデータって言ったって完全に現実社会のデータを抑えている訳じゃない・・・

意思決定の基本は人の役割ですよ・・・・と主張!!

 John P. Girard, Ph.D.

 <出所 シンガポールKM学会>

先週シンガポールで行われたKnowledge Management Global Networkの第二回結成大会に日本の学会(kmsj)から参加してきたのですが、シンガポールを始めとする諸外国の認識はIoT時代を迎えて大きく変化しています。国内でも文部省の音頭取りで文化系の学科の再編成が開始される中、これまで企業内情報共有やエンタープライズ・ソーシャルメディアの普及などで中核的な役割を果たしてきたナレッジマネジメントも再発明の時代を迎えています。はい、ナレッジマネジメントの中心は人間関係論や哲学であり文化系の学問です。

■ ナレッジマネジメントグローバルネットワークの形成

シンガポール、タイ、豪州、香港のKM学会やKMNPO組織が呼びかけたナレッジマネジメントグローバルネットワークの調印式がシンガポールであり(2015年9月2-3日)9か国が参加しました。米国のジョージワシントン大のグループ、フランス、インド、ロシア、日本が加わりました。Knowledge Management Global Networkは昨年4か国で結成されましたが。今回全部で9か国に拡大しました。早晩、台湾、韓国、マレーシア、インドネシアなどが参加すると思われます。シンガポールのメンバーは「スターアライアンスの結成だ」とANAが喜ぶようなことを言っています。この調印式はシンガポールが国策として普及させているナレッジマネジメントの秋季セミナーを兼ねています。

The Knowledge Management Global Network (KMGN)

http://kmglobalnetwork.net/

背景にはビッグデータなどIoTの登場に対する危機感、ナレッジマネジメントの再発明への動きがあります。例えば「データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦」を著した米国のトーマスダベンポート氏は嘗て著書「ワーキングナレッジ」(ローレンス・プルサックとの共著)を著し、日本を含む欧米でナレッジシェアリングのコンセプトを普及させた有名コンサルタントです。そのダベンポート氏が「データこそ世界を変える」と機械の知=AIを絶賛する著書を出したのです。そしてこのビッグデータの運動がかつてのナレッジマネジメント普及運動を凌ぐ勢いで世界中に広まっています。

そうなると「店舗、オフィスや工業で人は必要なくなるのか?」と言った失業論や「ナレッジマネジメントは不要になるのか?」果ては日本の文部省は文化系不要論と見られかねない政策を出し始めています。

■ 基調講演 ビッグデータは敵か味方か友達か?

基調講演はカナダのジョン・ジラードさんにお願いし、「ビッグデータは敵か味方か友達か?」と言うタイトルでした。「AIと言う機械の知が全てを解決するなら人の知=ナレッジマネジメントなど不要である、そこでナレッジマネジメントの死が言われている」と言ったトーンで始まりましたが、彼の問題意識は中々見ごたえがありました。

中々面白かったのは有名なバスケット分析における「おむつとビールの関係」(背景には共働きの夫婦があり、奥さんの給与が高い場合には、旦那が子守をする社会現象、しかしビッグデータにはそこまで反映されない)などを挙げ、ビッグデータは「全ての現実社会を投影」している訳ではない。従って意思決定=知恵の発揮には人の判断が入る、そこを忘れてはならないと言った点です。折しも中国市場の高成長から安定成長への移行の揺れで株式市場が千円以上乱高下し、機械の知=AIが売れ売れと自動的に意思決定している中での出来事だったので迫力がありました。ナレッジマネジメントにはDIKWモデル(D=データ、I=情報、K=知識、W=知恵)がありますが、データから知識の半分までは機械の知に任せるとしても知識の理解と知恵による意思決定は人の判断が基本だと言う見方です。これに今後は人の有効領域として創造性へのシフトが入ります。そして社会的知能と呼ばれるソーシャルな関係作りなどは人の役目になります。結論はAIはどこまで行っても「シミュレーション」の方法論的限界があり、「データも完全な現実社会の写体」ではないと言う点でしょうか。

■ シンガポールもインドもロシアも勢いがある

兎に角、彼らは第二次産業革命が第四次産業革命と重なってきており、少し前の中国と同じで若い人が一杯いて勢いがあります。シンガポールの学会も多数のマレー系、中国系、インド系の若者がボランティアで盛り上がっていました。ショッピングセンターも若いカップルが一杯でした。

★★ データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦

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