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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

大きなiPhone6と小さなアップルウオッチ画面の対比、素晴らしいファッション性、操作性だが腕時計の創造的破壊では無い・・

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 ONE MORE THING(もうひとつ あるよ・・・・) え?どこかで聞いたセリフ・・・

おおおおお、テイム・クックさんが両手を上げたあああ アップルウオッチを持って・・・・明らかにジョブズ氏の真似したかったんですね・・ちょっと子供っぽい^^  製品を持って手を上げない人と相当叩かれましたから・・・

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<出所:ビジネスインサイダー>

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<出所:USATODAY>

 まるで宝石のように美しい アナログ調に仕上がっています・・・・こう言うのに弱いんだよなあああ・・・ほんとにうっとり・・です・・

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<出所 :テッククランチ、ビジネスインサイダー>

 2014年9月9日(西海岸時間)にアップルが新製品を発表し、テックブログは絶賛、一方ビジネス各紙は比較的失望トーンです。株価も少しだけ下がっています。この落差は一体、なんなのでしょうか?

 

■  大きなiPhone6と小さなアップルウオッチ画面の対比

アップルは消費者のニーズと称してiPhone6の画面を大きくし(4.7インチと5.5インチ)、ポケットから取り出しにくくしました。女性なら鞄に入れ易くした訳です。一方ちょっとしたメッセージや通知などは、わざわざiPhoneを見なくてもウエアラブルのアップルウオッチを見ろというメッセージを発信しました。これならワンセントのコンボ価格600ドル+二年契約付きで売れると言う訳です。iPhone6とのワンセット戦略は賢いですね。ではどうしてビジネス各紙の反応は今一つなのでしょうか?

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 確かにアップルウオッチの発表で株価は下降しています・・・・

 

 

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<出所:ビジネスインサイダー>

■  素晴らしいファッション、素晴らしい操作性

見るも鮮やかな18金のリストバンドをアクセサリーに提供するなど、ファッション面では素晴らしい製品です。アップルは今回、ファッション誌をイベントに招待しています。またデジタルクラウンなどの操作性も本当に良く考えられています。これでモトー360などのアンドロイドウエアやペブルウオッチなどのライバルは吹っ飛びました。

ではどうしてビジネス各紙の反応は今一つなのでしょうか?

 

■  アプリ・サービスはこれから・・・充実へ

リストバンドとスマートウオッチの業界は、ヘルスケア関連以外に具体的な製品活用市場は立ち上がっていません。従がってアップルもウオッチキットを提供し、アプリ+サービス(サービス支配論理)の充実を今後計画して行きます。iPhoneがガラケーを圧倒し、ブラックベリーに打ち勝ったのは、外部の集合知活用によるアプリ+サービスの充実が理由でした。

但し、iPhoneのアクセサリー的なアプリやサービスでは、生活者には「ワオ」と言う十分か感動を与えることは出来ないでしょう。そうなればアップルウオッチの魅力はスターウッドホテルの鍵の代替とかBMWのEV車の燃費の通知など「全く新規の見たことも無いようなIOT関連のアプリ+サービスが感動を与える」方向となります。(ギガオム紙が多くのアプリやスマート機器開発者からの問い合わせがあったとこの議論を展開しています)スマートホームを含め、これには多少時間がかかります。この辺りの見通しがアップル新製品発表後、株価が下がった理由でしょう。

■  アップルウオッチはスイスのアナログ腕時計業界の創造的破壊では無い

ビジネス紙や投資家の立場からすれば、ガラケー業界を粉々に潰したiPhoneやソニーのウオークマンを震撼させたiPodレベル、紙の出版業界を縮小させた電子出版、CDをばらばらにされた音楽業界、番組をばらばらにされたテレビ業界などのような、業界全体の破壊をアップルの新製品=アップルウオッチに期待していました。アップルウオッチは「腕時計業界を破壊する」かもしれないと思っていた訳です。しかし高級志向のスイスの腕時計業界はびくともしていません。一個800ドルー900ドルで売れ、主体が1000ドルから2千ドルのスイスのアナログ腕時計業界は、全く興味を示していません。

だからビジネス紙や投資家の一部から失望が聞こえて来た訳です。

 

■  IOT時代の新製品とサービス作りの難しさ

ありとあらゆるモノや組織がインターネットに繋がるIOT時代は、サイバーフィジカル(仮想と現実の重なり合い)が特徴です。進化心理学や進化人類学の教える人のライフスタイルの基本は10万年前の手猟採集時代の150人ほどのバンドの群れにおける人のあり方です。デジタル時代になろうともこのアナログのあり方は全く変わりません。だからアナログ要素を輝かせながらデジタルで支える姿勢が求められます。これがアップルウオッチの教訓です。

フランス・アルタミラの壁画から続く芸術要素を全面的に取り入れたスイスの時計業界にデジタルのネットを被せる難しさをアップルウオッチは教えてくれています。

 

電気自動車化により家電化する自動車などと異なり、ドレスなどのファッションにセンサーを埋め込込むやり方、医療機械や産業機械にセンサーを埋め込むやり方などIOT時代の新製品とサービス作りは「アナログ感性が全面に出る」勝負なのかもしれません。そうなれば一見派手なICT技術による創造的破壊の華々しさは消え去り、裏で支えるサービスとなるのでしょうか。

 

そうなればテイム・クックさんのような地味なCEOがIOT時代を飾る経営者なのかもしれません。ジョブズ氏のようなパットン将軍タイプでは無く、地味なリンカーンですね。

 

 

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