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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

4K放送無しでも4Kテレビが飛ぶように売れる訳

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 ソニーの4K対応テレビ

<出所:http://3d-tvbuyingguide.com>

■  本格的な4K放送開始は期待できない

4Kによる試験放送が次世代放送推進フォーラムからスカパーJSATの協力により開始されています。その関連で4K放送が普及するかしないのか、ソニーが市場をリードしている4Kテレビが売れ続けるかどうかと言った議論が起こっています。極めつけは東洋経済の「地上波は対応予定なし、4K放送普及の難題」が総務省の政策を批判する内容の記事でしょう。

これは国内の地上波放送事業者のビジネスモデルと言う視点からは、業務用カメラの買い替え、番組編成など、コストばかりが増え、地上波の顧客である広告主からの広告売り上げが期待できないと言う点を指摘しています。まともな民間企業なら、お金ばかりかかって売り上げが伸びない話に載る訳がありません。

 

事情は米国でも同じで米国地上波は一部で実験(2013年CBS放送と2014年フォックステレビのスーパーボウル)が行われた程度で4K放送に移行する計画はありません。また米国の連邦通信委員会(FCC)は、スペクトラムの通信キャリアへのオークション移行に熱心であり、4Kには興味を持っていないようです。

 

従がって4K放送に熱心なのはCATVなど有料テレビの一部とインターネットのOTT(オーバーザトップ放送)だけと言えるでしょう。米国では一部の有料テレビが4K放送にトライする意欲を見せていますが、まずはインターネットからの開始であり、当然、値上げが前提です。一方YouTubeやネットフリックスなどは4K放送を開始しています。(アマゾンインスタントビデオはこれから開始)つまり4Kの推進とはインターネット放送やスマートテレビの推進とほぼ等しいことになります。

 

■  それでも4Kテレビが売れる不思議

電子情報技術産業協会(JEITA)のCE部会は2013年のテレビ販売総数を538万台、その内4K対応テレビの販売総数は27万台(グローバルには98万台)と発表しています。そして2018年には4K対応テレビの需要予測は518万台(グローバルには4K対応テレビは6733万台、日本全体のデジタルテレビ販売数予測は804万台)と予測しています。国内の予測の場合、2020年の東京オリンピックに向け、4K放送が普及すると言う前提があるのでその点かなり割り引く必要はありますが。

 

放送としてはCSとケーブルテレビに加えインターネットで放送が開始される(4K動画がネットに上がる)と言う内容であり、それは2014年6月、既に始まりました。また総務省は今後、IPリニア放送を試験的に開始すると述べています。これは地上波をいよいよインターネットプロトコルに移行すると言う意味と考えられます。米国ではベライゾンワイアレスなどがLTE放送のテストを開始しています。(2014年スーパーボウル)

 

では何故、4K放送が遠い将来の夢の状態で4Kテレビが売れるのでしょうか?確かに37インチ(特に50インチ)以上の画面の場合には、4K動画の視聴には4Kテレビは効果があります。しかし本格放送はまだありません。

 

理由は超解像度エンジンと呼ばれるイメージ・エンハンスメントの処理が、2KのHDビデオから自動的に7割位の4Kビデオを自動製造してくれる点にあります。これが一部の大画面を求める視聴者に受けています。だから4K放送など無くても多くの視聴者は美しい画像を大きな画面で楽しめると言う訳です。またIOT時代は消費者の価値感は「モノ支配論理からサービス支配論理への移行」が始まっています。4Kや8Kなどの画質の美しさは「モノ支配論理」であり、多少画質が落ちても何時でもどこでも気にいったスマート機器(スマートウオッチも含む)で動画を視聴したいと言う「サービス支配論理」ニーズよりも優先順位は決して高くありません。そうなれば4K放送が無くても「サービスとして疑似4K動画を提供する」ことは消費者(生活者)の気持ちを的確に捉えています。それで十分な満足感を提供できます。

 

この点に気がついたソニーさん、そしてパナソニックさんなどはIOT技術の本質を突いたアプローチをしています。(一見誤魔化しのようですが、これは本質論です)3D放送の時には様々な業者さんが一生懸命HDビデオを疑似3Dビデオに変換していたのを覚えています。今回はそれを手元の4Kテレビ(そのほとんどはスマートテレビ)が自動で実施してくれます。ムーアの法則をテレビに上手く取り込んだ訳です。

 

■  IOTの本質はムーアの法則、それに外れた地上波ビジネスモデル

約50年前から開始されたムーアの法則では2年単位でCPUなどのチップ、メモリー、回線スピードなどが倍増します。スマートフォンでこの波をもろに受けた通信キャリアは、回線速度を3GからLTE、更に数ギガビット単位の次世代へとどんどん回線速度が速まります。一方デジタルの仮面を被ったアナログ放送である地上波テレビでは放送速度が速くなったと言う話は一向に聞きません。その結果、米国では放送業界全体が何らかのインターネット移行を本気で考え始め、国内でも総務省がIP放送を言いだしていると考えられます。

 

ムーアの法則は経済の世界ではIOTによるスマート工業社会への移行、第三次産業革命による経済成長論争の鍵になっています。

 

ムーアの法則の利用と言うのは、4Kテレビが飛ぶように売れる為の勝利の方程式ですね。その内、中国小米(Xiaomi)の65,000円程度の4Kテレビが普及する時代になれば、IP放送で地上波4K放送が世界中で始まるかもしれません。

4Kファインリマスターエンジン(動画)

 

Sony 4K TV - Behind the scenes - Four times the detail(動画)

 様々な4Kテレビ(当然、スマートテレビ機能は必須)

 韓国LGの製品は美しい

Lgud3dtv

 韓国サムスンの4Kテレビ

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<出所:http://3d-tvbuyingguide.com>

★★地上波は対応予定なし、4K放送普及の難題

 

★★ ケーブルテレビ業界が4K番組12本を制作、「美・JAPAN」をテーマに

 

★★Amazon is going 4K and bringing Prime Instant Video to Android

 

★★2018年の4Kテレビの国内需要は'13年の約20倍に

 

★★4K8Kの推進に難する現状について (総務省)

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