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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と時空の歪み、IOS責任者フォーストール氏の辞任で消えるのかアップルの創造性と革新性!!

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 <序文>

 台風否、ハリケーンのサンディがニューヨークを襲い、グーグルのネクサス製品の販売開始イベントとフェースブックのギフトイベントが中止になる中、「これはいいチャンス」とばかりアップルが役員の交代を発表しました。その中、米国のテックブログ誌だけでは無く、ニューヨークタイムス、ウオールストリートジャーナル、ビジネスウイーク、フォーブス、ビジネスインサイダーなど各経営誌で大騒ぎになっているのは、IOS開発責任者フォーストール氏(IPhoneIPadのOS開発を担当)の解任です。2012年末でアップルを去ります。(地図と音声のシリ問題が原因で解任されたそうです。特に地図問題では謝罪の署名を拒否した事がクックCEOの逆鱗に触れたと報じられています。)

 

何故ならばスコット・フォーストール氏は故スティーブ・ジョブズ氏の後継者と言う評価が高かった人物だからです。例えばビジネスウイーク誌はフォーストール氏をハリーポッターに例えて「賢者ジョブズの弟子」と呼びました。

 

確かにチャレンジを重視すると同時に他の役員と摩擦が多すぎるフォーストール氏はアップルを去り、仲好しクラブ的な和が担保されたアップルの役員会(EXECUTIVE TEAM)が登場します。「時空の歪み」は人間関係の歪みも醸成しますから、クックCEOの和の経営方針がフォーストール氏を排除したとも考えられます。

 

一方でチャレンジを好むフォーストール氏の辞任によりアップルから革新性が失われたと言う議論が高まると考えられます。仲好しアップルでは、従来の尖(と)がった革新性や創造性=チャレンジは担保されるのでしょうか?

 

★★ It’s an iStorm: Scott Forstall Out at Apple, Along With Retail Head, as Other Top Execs Get Promotions

 

★★Steve Jobs's 'Sorcerer's Apprentice' Is Out at Apple

★★ Apple CEO Tim Cook Shakes Up Management Team, iOS Chief Forstall, Retail Leader To Depar

 

★★In Shake-Up, Apple’s Mobile Software and Retail Chiefs to Depart

 

★★ An Apple Exit Over Maps 

 

★★ アップル「地図」責任者が退任 誤表示問題で更迭

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<出所:ニューヨークタイムス誌>

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<出所:ウオールストリートジャーナル誌>

<創造的なデザインと操作性はジョニー・アイブ氏に集中>

 フォーストール氏はデザイン面で、もう一人のジョブズ氏の片腕とされたジョニー・アイブ氏と対立していました。そしてアイブ氏は「フォーストール氏との同席の会議は厭だ!!」とまで公言していました。今回の解任劇で創造的なデザインと操作性はジョニー・アイブ氏に集中することになります。

だから当面のスマートテレビなどへのデザイン対応はジョニー・アイブ氏任せで大丈夫でしょう。

 

<賢者が作る時空の歪み>

 しかし故スティーブ・ジョブズ氏の革新性や創造性を最も表現しているのはテレビドラマのスタートレックの例えである「時空の歪み」です。ジョブズ氏が人間関係や仲間のモノの見方を「ちゃぶ台返し」でひっくり返し、ちょっと考えられないような革新的な商品を描いて見せる能力を意味します。その結果、一部の人間関係は最悪の状態になるリスクがあります。

 

 故ジョブズ氏の後を継いで「時空の歪み」の魔法を作り出せる才覚はフォーストール氏に宿ると言われて来ました。若い頃、「時空の歪み」を持ちだしてマックなどで失敗したジョブズ氏と同様フォーストール氏は「地図問題」で見事に味噌を付けました。確かに二人は似ています。

 

フォーストール氏は言って見ればゲーム機とゲームビジネスを立ち上げた元ソニーの久夛良木健さん並みの暴れん坊です。革新性がある一方で敵も多いと言われています。

 

<ちゃぶ台返しが消え、予定調和の会社に変身?>

さて今般のアップルの人事異動で女王陛下のデザイナーと言う称号を受けたサー、ジョニー・アイブ氏がソフトウエアも含めた全般の操作経験、ユーザーインターフェースを担当します。またソフトウエアの経営責任者もマックOSとIOSを一体として統合されます。組織的には実に美しい整合性のとれた人事です。

 

しかし革新性は組織の和だけでは生まれません。寧ろ人間関係の摩擦も含めた「ちゃぶ台返し」をする「時空の歪み」が必要になります。

 

またフォーストール氏の「地図の失敗」の後ろにはテイム・クックCEOの予定調和=スケジュールを守って製品を出すと言う方針があるとの指摘があります。だから「地図は失敗した」と言う指摘です。しかしこれではアップルは普通のメーカーになってしまいます。

 

スコット・フォーストール氏が抜けた後、一体誰が「時空の歪み」の魔法を担当するのでしょうか? それとも今後のスマートテレビ開発などに今更「時空の歪み」は不要とクックCEOは判断したのかもしれません。

 

しかし筆者は、フォーストール氏の中世の円卓の騎士のような風貌が大好きなので最後に言います。神よアップルに創造性のハリケーンの嵐を与え、スコットに神の御加護を与えたまえ!!

 

「スコット、早く立ち直って第二のアップルを創業してよ!!」

 

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