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映画の中で別の命を吹き込まれるクラシックの名曲

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先日、海外出張の機内で、ウッディ・アレン監督の日本未公開の最新作「Scoop(スクープ)」という映画を見た。スカーレット・ヨハンソン演じるジャーナリスト志望の女子学生が、死んでしまったジャーナリストのスクープネタを追いかけるコメディ。窮屈な席の小さい画面で鑑賞するには、ちょうどいい映画だった。

この映画では、随所でいわゆるクラシックの名曲が使われていた。湖のシーンで「白鳥の湖」だったり、ちょっとシャレも効いている。例のソフトバンクCMもそうだけれど、元の文脈にない音楽を、膨大なストックからさっと取り出してくる選曲の妙は、その音楽に新しい命を与えるかのようなすばらしい才能だと思う。

この種の音楽の使い方で秀逸だったのが、牧羊「豚」が主人公の映画「ベイブ」。なぜか、ネズミもベイブ(豚)も、ご主人様もサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン」のメロディを口ずさむ(譜例)。

オリジナルはフルオーケストラにオルガンも付いた実に荘厳な曲だ。それがなぜが、いろんな映画で大統領役をやってるジェームス・クロムウェルが演じているご主人様が、ベイブを元気付けるために、カントリー調の踊りをこの曲で踊る。実に荘厳な風景だ。いや待てよ、でも相手は豚なのだ。まったくのミスマッチのはずだが、なぜだかすっかりベイブのテーマ音楽として定着してしまっている。

ちょっと泣いてしまうのが、「威風堂々」。なんと、イギリスの魂のようなあの名曲が、アニメ「あたしんち」のエンディングテーマなのだ!(オフィシャルサイトによると2005年12月3日から別の曲になっている)今年生誕150年を迎えるエルガーは、果たして喜んでいるのか、泣いているか?

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