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ICT業界動向やICT関連政策を基に「未来はこんな感じ?」を自分なりの目線で「主張(Assioma)」します。

7月7日 ドコモが2011年3月までに電子書籍ビジネスへ参入すると発表。大手通信事業者三社が電子書籍への参入を発表した事になり、出版業界、クラウド業界が混在する電子書籍プラットフォーム戦国時代の幕開けとなりました。

■通信事業者三社のそれぞれの戦略
・ドコモ
 2011年3月までに電子書籍事業に参入する。
 携帯電話やスマートフォン等に向けて、小説や漫画、雑誌、新聞などのコンテンツを配信する。
  ※配信先が自社携帯のみかは不明
 出版社や印刷会社、端末メーカーなどと事業参入に向けた話し合いを進めており、新会社の設立も視野に入れている。
 2010年冬モデルで、スマートフォン7機種を投入予定であり、タブレット型端末もリリースする予定。

・KDDI
 2010年7月から、ソニー、凸版印刷、朝日新聞社と合同で、新会社「電子書籍配信事業準備株式会社」を設立。
 資本金は3000万円で、出資比率は各社25%。 

 この会社は電子書籍配信プラットフォーム事業のあり方を検討する目的で設立され、2010年10月を目処に書籍・コミック・雑誌・新聞などを対象としたデジタルコンテンツの共通配信プラットフォームを構築・運営する事業会社へ移行することを予定しています。

 2010年内のコンテンツ配信開始を目標としています。

・ソフトバンク
 ipad/iphone/SB3G携帯用の電子書籍配信事業会社「ビューン」を設立。
 2010年6月からサービス開始。
 サービス内容は、下記の端末から日数、又は月額を支払うことで、ビューン上のコンテンツが見放題となる。
 ipad 450円/30日、iphone 350円/30日、ソフトバンク3G携帯 315円/月

 新聞からビシネス雑誌、ファッション誌等、性別、世代を問わずに楽しめる代表的な書籍を配信中。

■出版関係企業のそれぞれの戦略
出版関係では、大日本印刷と、凸版印刷が電子書籍の制作から販売までを手掛けるトータルソリューションを展開。紀伊国屋はオンラインストアと、電子書籍をメモリーカードに入れて販売する、「オンラインと書籍の両立」を目指す書店ならではのユニークなビジネスモデルの展開を検討している。

・大日本印刷
 約10万点の作品を扱う国内最大級の電子書籍販売サイトを2010年秋に開設すると発表。iPad、PC、スマートフォン等の、あらゆる端末での利用に対応する予定。2011年内に中規模書店並みの30万点まで作品数を拡大する方針。

 今後、電子書籍の制作から流通、販売までを総合的に請け負うサービスも開始する予定。

 更に、出版社の電子書籍サービス拡大をサポート。コンテンツの保管・管理支援や、著作権管理・印税支払い業務支援、電子書籍サイトの構築・運用支援などのサービスで出版社をトータルにサポートしていく。

凸版印刷
 電子出版事業のサポート機能の強化を目的として、総合フロント組織「デジタルコンテンツソリューションセンター」を2010年7月1日に開設。リアル、デジタル、オンデマンドなど、読者のニーズに合わせて、様々な形態でコンテンツの確実な配信を行う「オープン配信プラットフォーム」の構築を行い、コンテンツマルチユースの基盤整備を目指す。

 凸版印刷は電子出版関連事業で2015年度に500億円の売上を目指す。

・紀伊国屋
 2010年9月にiPhone/iPad向け統合アプリを公開し、その後Android向けなどにサービスを広げる予定。メモリーカードにコンテンツを収納して店頭販売するハイブリッド販売も計画し、地域の書店とも協調して展開できる「書店発の電子書籍流通モデル」の確立を目指すとしている。

 講談社、小学館、集英社、角川グループなどが賛同しているという。

■Googleも日本の電子書籍市場に参入
日本参入の噂が聞こえて来ない、Amazon Kindle、Apple iBookを尻目に、googleが日本国内の電子書籍参入を発表しました。

売りはGoogleらしく、「オープンであること」Webブラウザを搭載した端末なら閲覧でき、Google以外のサイトからでも購入可能になる予定。

基本はWebブラウザでの閲覧だが、出版社が電子書籍をEPUBフォーマットで提供していればダウンロードする事も可能。Webブラウザで閲覧する際は、印刷、保存、コピーは出来ない。EPUBファイルにDRMをかけるかどうかは出版社が選択出来る。

電子書籍の売り上げは出版社とのレベニューシェア。半分以上が出版社の取り分となる見込みという。出版社を通さず、著作者が個人で自著を販売することもできる。

■今後の成長が期待される電子書籍
民間企業のインプレスR&Dの予測によると、2009年の電子書籍市場は574億円、昨年からは23.7%増加したとあります。このうち約89%が携帯電話向け電子書籍市場が占めています。インプレスR&Dでは、2014年度には1300億円規模になると予想しています。

また、先日総務省から発表された「モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」によると、2009年のモバイルビジネス市場規模は15,206億円。前年比1,682億円(12%)の増加を記録したとあります。そのうち、モバイ ルコンテンツ市場が5,525億円を占めています。

この報告によると、携帯電話向け電子書籍の市場規模は500億円であり、モバイルゲームに次ぐ大きな市場になっている事がわかります。しかも、モバイルゲーム市場は前年比で1.7%と停滞していますが、電子書籍は26.6%と拡大余地がある事が読み取れます。

下図にモバイルコンテンツ市場の内訳を示します。
Mobile
出典:総務省「2009年度モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」

1990年代半ばには約2.6兆円を記録した出版業界。しかし、それ以降は右肩下がりで。2009年度は遂に約2兆円の大台を下回り、1兆9356億円に。
対して電子書籍市場はiPadの発売で活気が出てきており、消費者からの注目度も高い。まだまだ紙の市場規模には遠く及ばない物の、伸び悩む紙の書籍市場に比べて成長が期待される電子書籍市場。モバイル、出版業界がこぞって参入しようとするのもうなずけます。

■プラットフォームの乱立は消費者の不自由を招く
競争が起こり、書籍の低価格化等が進めば消費者にとっては嬉しい事です。しかし、ソフトバンクの「ビューン」で購入したコンテンツは、他社の携帯電話では閲覧出来ない等、プラットフォーム側としては当然の差別化戦略ですが、消費者にとっては購入したコンテンツを自分の所有しているあらゆる端末で閲覧したいというのは、当然の思いです。

ソフトバンク以外のプラットフォームがどういった形で提供されるかは現時点では不透明ですが、消費者視点の利便性を忘れないようにして貰いたい所です。

そういった点では、Googleの「ネットが繋がる場所からなら、どこでも買えて、一度買えばどの端末でも閲覧出来る」というのは一種の理想的な形であり、国内のプラットフォームがあまりに乱立し、利便性に欠けた物なら、googleの独り勝ちを許してしまうといった事態になりかねないのではないかと予想します。

えっ?googleにメジャーな新聞や雑誌のコンテンツを提供しなかったら良いって?そんな事言ってたら、今流行の紙の書籍を自分で電子化する「自炊」が流行し、最悪なケースではこれら「自炊」されたコンテンツがネットに「違法コンテンツ」として徘徊する事になるでしょう。

iTunesが適切な価格と利便性の良さで、音楽配信市場の拡大に貢献したように、ユーザ視点での根付と、利便性を良く検討して欲しいと思います。

電子書籍が一冊100~300円前後で購入可能になり、一度購入すれば、自分が所有しているどんな端末でも閲覧出来るようになれば、わざわざ紙の書籍から自炊するような人は激減するでしょう。また、それ位の価格なら違法と分かってダウンロードしようとする人も、大きく減少することでしょう。

デジタルコンテンツ時代のプラットフォームが勝つためのキーワードは「技術的制限による囲い込み」ではなく「オープン」だという事を、よく考えて検討して欲しいと思います。

自らの戦略によって囲い込むのではなく、ユーザ自身が気に入って勝手に入ってくる、そんなプラットフォームが理想では無いでしょうか。

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大元 隆志

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情報通信政策/動向を調査、分析し顧客と共に新たな価値を創造するevangelist
資格:PMP,SMC
著書:IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入

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