ICT業界動向やICT関連政策を基に「未来はこんな感じ?」を自分なりの目線で「主張(Assioma)」します。

初めての印税通知を受け取りました。電子書籍時代にこれから著者になる方への三つのアドバイス

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書籍を発売して、半年が経過し、今月初めて印税が振込まれます。(といっても、残念ながら会社にであり、私には振込まれません)

実売部数の連絡を頂きましたが、半年で初版の約半分が売れたという事なので、初めての出版、IPv6という分野の中では健闘している方なのでは無いかと思います。(Twitterやクラウド系の著者の方とお話すると、三刷目です!とか景気の良い話が多く、少しジェラシーは感じますが(笑))

また、実売部数を見て改めて、自分が本を書いたんだということ、お金を払って購入してくれた人が居るんだという事を実感しました。毎月200~300人位の人が自分の書いた本を手に取って購入して下さっているというのは、とても光栄な事であり、感謝の気持ちで一杯です。

世の中は、電子書籍の時代へ大きく軸を傾けていく事になるでしょう。たった一冊しか書籍を出していない私が言うのも、大変おこがましいですが、これから著者になろうとする人達のために、三つのアドバイスを贈ります。

■これから著者になる人達へ
電子書籍の時代になれば、誰でも著者になる事が出来ます。本を書きたいというモチベーションは様々です。簡単に一例を挙げるただけでも、色々と思い浮かびます。

 ・印税で大金持ちになりたい
 ・誰かに認めて貰いたい
 ・セルフブランディング
 ・世の中に訴えかけたい
 ・本を出すのが夢だった

これだけ、色々とある「書くための理由」ですが、従来までの紙媒体では、商業出版として成り立つのは「印税で大金持ちになりたい」と「予想出来る」テーマしか出版する事は難しかったんですね、理由は簡単です。出版社としては、儲かる本で無ければ出したくありませんから、収益の見込めないテーマを自腹を切って出版させたいとは思わないでしょう。最低でも一万人、新書等では10万人程度のターゲット市場が存在するテーマでなければ執筆を開始させて貰う事は出来ないでしょう。

そんな紙の商業出版ですから、「本を出したい」人向けの「出版セミナー」と題したセミナーの内容は大半が「如何に買わせるか、出版者が儲かりそうな企画書を書くか」といった事に着眼点がおかれています。

ですが、紙の媒体に比べて、コストが大幅に低下する電子書籍では、商業的に大儲け出来なくも、自分の思いや言葉を、誰でも、誰かに伝える事が出来るようになります。紙媒体の自費出版で50万~100万円程必要だったものが、数万円というレベルで出版する事が可能になってくるでしょう。

もう、「読書に買わせる」事を目的とした企画を考えなくても、「本の中身より、タイトルと表紙に拘る」ようなことをする必要は無いんです。

あなたの言葉で、あなたの読書に語りかければ良い。大切な事は「読書を大切にする」ことです。決して「タイトルと表紙だけで買わせよう」なんて考えない事です。

■本を書くために必要なこと
本を出したと言うと「凄いね」「詳しいんです」「専門家なんですね」と言われます。この言葉の背景には「本を書く = 自分の知識を書き出す」という考えがあるからなのではないかと思います。

私も、原稿を書き出した当時そんな風に思っていました。しかし、一冊の本を書き終えた時に、その感想は変わっていました。

私が初めての書籍を書くに当たって、編集者の方がくれた、こんなアドバイスをくれました。
「この本を読んで貰いたいと思う、身近な人を想像して、語りかけるように書きなさい」

この言葉を受けて、私が思い浮かべたのは、身近に居た入社三年目の後輩二人でした。この後輩二人が将来、エンジニアとして成長していくために、必要な事ってなんだろう?そう考えると、単なるIPv6というプロトコルの知識ではありませんでした。

ネットワークを理解するという事は、顧客の経営層の考えを理解する事であり、それを実現するために、最適な解をデザインする事です。これが理解出来ていなければ、エンジニアは単なる技術オタクで終わってしまう。単なる技術オタクであれば、顧客の満足するインフラを作る事は出来ないと私は考えています。

だから、単なるプロトコルの解説だけではなく、どういう考えでお客様がインフラ構築の予算を検討するのか?から始まり、市場分析の手法、インフラを計画的に手戻り無く構築するためのプランの立て方から、構築、構築後に考えるべきことまで記載しています。最終章に至っては、ブルーオーシャン戦略まで登場します。

本来はIPv6というプロトコルをテーマに書くハズだった書籍は、いつのまにか、私が後輩に伝える事の出来る「手引き書」に姿を変えていました。

この一冊が完成した時、
「自分が知っている事を書くんだ」という思いで書き始めた一冊の書籍でしたが、本を書くっていう事の本質は、知識の量で書くのではなく、「読んだ人の成長や、成功を願って書く」という事でした。そして、それを実現するためには、「如何にわかりやすく、理解して貰えるか」という事を考え無くちゃいけない。そして、それは、きっと知識の量よりずっと多くて大切なことだと気づきました。だって、そうでしょう、知識の量が大切だとしたならば、どんなに優秀な人でも、「WWW」には勝てないのですから。

■出版してからも続く、著者の仕事
「書籍を出版してしまったら、著書の仕事は終わる」。私もそう思っていましたが、出版されてからの仕事も重要です。勝間和代さんは「本を書くより、売る努力を5倍する」とおっしゃっていますが、ここまで言い切らなくても、著者には出版後の役割も存在します。

 ・読書からの問い合わせ対応
  実務書を書くと特にこれが一番多いのではないでしようか。読書からの質問に応じる必要があります。そして、それに対応した結果、誤記が見つかった場合には、訂正を出版社のHP等を利用して通知する必要があります。

 ・セルフブランディング
  これも、出版社から言われた事ですが、著者として世の中に何かを発表した瞬間から、自分の行動に責任を持つ必要があります。例えば、私が著者出した瞬間に、何らかの犯罪で逮捕されるような事があればどうなるでしょうか?たちまち書籍のイメージは悪くなり、出版社にも迷惑をかけることになるでしょう。

  「あの人の書いた本なら読んでみたい」そう思って貰えるような「セルフブランディング」を考えて、日々の行動を変える必要が出てくるでしょう。

 ・次の書籍のテーマ検討
 幸いな事に、一冊の書籍が完成し、無事出版に成功したら、次もまた書いて下さいとお願いされるかもしれません。一冊目は電子書籍の自費出版だったけれど、次は商業出版のお誘いが来るかもしれません。そんな時に困らないために、常に世間に対してアンテナを張り、情報収集を心がけておいた方が良いでしょう。

■まとめ
上記の内容を簡潔にまとめると、このようになります。
・電子書籍の時代になり、マーケットの大小だけに縛られる必要はありません、小さな市場相手でも市場が成立します。
・本を書くために必要なのは「知識の量」ではありません。「読書にとって価値ある体験」を提供するために頭を使うことです。その「価値ある体験」をどのような手段で提供するかが、著者の個性です。
・出版するだけが著者の仕事ではありません。出版してからも「著者である事の責任を果たす」必要があります。

私自身、出版という経験を通して多くの事を学びましたし、多くの方と出会う事が出来ました。最も嬉しく驚いたのは、お金を払って購入して下さった方からお礼を言われる事でした。購入して頂いた私の方こそお礼を申し上げるべきなのに。大げさかもしれませんが、出版してからのこの半年は、今までの人生の中で、一番人から感謝されたような気がします。

この喜びは印税云々には変えられないものだと思います。

電子書籍の時代になり、私と同じように自分の知識を世に出す事で、このような経験を誰でも体感するチャンスが到来します。少しでも多くの方にこの喜びを感じて貰いたいと思います。

もし、書籍をこれから書きたいと思っている方が居て、書き方や、テーマの検討で悩んでいる方がいらっしゃれば、私でよければお話を聞かせて下さい。そして、一緒に新しい時代の始まりを楽しみましょう。

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Comment(1)

コメント

せっかくマイミクになったのだから、コメントはTwitterで流すだけではなく、ブログに返信します。

音楽も出版も、今まで作者の思いと商業的な成功の間で苦労したり悩んだりが多数あるはず。
最近はミュージシャンも視聴者もCMやドラマのタイアップがあまりにも普通になっていますが、私が若いころのミュージシャンは常にこの「自分がやりたいこと」と、事務所やレコード会社などの期待や思惑との葛藤でした。
私は子供のころ天文の本をよく読んでいましたが、数が出ないため安価で良質な本と出合うことが難しかったです。
私は保守的な方なので、CD媒体・紙媒体が好きですが、書籍の電子化によって低コストでの出版ができるようになり、それによって出版のハードルが下がり、技術・学術関係で数は売れなくても良質な本が多数出てくるといいなと思います。

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