先日ITmediaオルタナティブブロガーミーティングに参加しました。テーマはIBMさん主催の「Lotus Live が作るスマートな働き方」。普段クラウドには縁の無い人間なので、興味深々で参加させて頂きました。
Lotus Live自体の感想等については、他のオルタナブロガーの方々が既に紹介して下さっています。
・ブロガーズ・ミーティング@IBM「Lotus Liveで創るスマートな働き方」に参加して
・IBM が狙うのは既存資産とのシームレスな融合なんだよね、たぶん
・LotusLiveは個人向けビジネスプラットフォームになって欲しい
・LotusLiveブロガーズ・ミーティングに顔を出した
クラウドについてのトレンド等はあまり追っていないので、私が感心した所等は詳しい方にとっては既知の内容、もしくは間違っていもあるかもしれませんが、所感を述べさせて頂きます。
■IBM流Wall Garden cloud
率直に感じた印象は「Wall Garden」。
そもそもLotus Notusと言えば、かれこれ20年近く前に誕生した「グループウェア」と呼ばれるクライアントサーバ型アプリケーション。電子メールや電子掲示板、スケジューラ等、効率良く仕事をするために必要な複数のアプリケーションを包括して提供する統合パッケージです。
それのクラウド版。
何故「Wall Garden」と感じたかと言えば、クラウドという定義が「インターネット上のサービスを利用する」という物と考えると、インターネットを一つのプラットフォームと捉え、そこで動作する無数のアプリケーションを必要な時に必要な物を利用者が利用する。言わば「オープンクラウド」と考える事が出来るでしょう。
しかし、Lotus LiveではLotusLive上で提供されるアプリケーションを利用する事が前提となります。クラウドの中にあるのだけど、LotusLiveという「Wall Garden」の中に閉じられた世界。
ターゲットユーザも従来からのLotus Dominoユーザで、既存ユーザに対してSaaSタイプでの利用形態という選択肢を提供したという印象が強かったです。
■対象とするターゲット
既存ユーザに対してのメリットは明白です。全社導入が前提のグループウェアで、最も重要な事は、それを利用する人々の教育です。利用者が数万人にも及ぶ大企業になれば、このユーザ教育が最も大変で、時間もコストも必要とします。今までLotus Dominoを利用していたユーザであれば、LotusLiveへの移行はすんなり馴染む事が出来るでしょう。そして、自社で運用していたサーバ、運用人員をクラウドに移行する事でIBMさんにアウトソース出来るのですから、コストメリットが大きいのは明らかです。
このように、既存ユーザに対して、スムースなクラウドへの移行、Capex/Opexの削減が提示出来るため、既存ユーザが利用する価値は大いにあるのではないでしょうか。
新規にグループウェアを導入しようと考えてるユーザにとっても、従量課金により使った分だけ利用可能であり、過去からの実積も豊富なLotus Notesの資産を利用出来るのはメリットが大きいと思います。
■Notesの歴史から考える、Notesというアプリケーションの凄さ
少しWiKiを見てlotus Notesの歩みを調べてみました。そうすると、こんな歴史と進化があったのかなと思います。
デスクトップアプリケーション全盛期
デスクトップアプリケーション vs Lotus Notes
クライアント&サーバ全盛期
グループウェア vs Lotus Notes
Webへの移行期
Web版グループウェア vs Lotus Domino
クラウドコンピューティング
オープンクラウド vs LotusLive
こうやって振り返ってみると、凄いシリーズである事がわかります。ICTの時代は過去から未来へと大きく変化してきています。その中で一時代を築いた物の消えていったアプリケーションはたくさんあります。しかし、ネットが普及するよりもっと昔、個々のパソコンにアプリケーションをインストールしていた時代、Wikiによれば1989年からずっと続いてきているシリーズとなると、殆ど存在しないのでは無いでしょうか?
これは、Lotus Notesというシリーズが時代のニーズを掴みとり、そのニーズに応えてきたという証明でもあるでしょう。
■これからのNotesに期待する事
ユーザニーズに応じてきたNotesシリーズにとって、Lotus Liveは
・所有から利用に対する意識の変化
・オープンクラウドを利用したマッシュアップ型グループウェアを構築するのは大変
というニーズに応えるためにリリースされたと私は感じています。
しかし、クラウドには「セキュリテイ」に対する不安が多いのも事実。次なる進化は「安心、安全に利用出来るクラウドコンピュティング」へ進化して欲しいと思います。
■Castleクラウド
ネットワークを設計する人間にとってのセオリーは、トラフィックが集中する区間は「より近く」物理設計を行うのは自然な考え方です。距離が離れれば中継する区間全体を広帯域化する必要がありますし、距離を短くすればそれだけ中継区間が少なくなり、コストも安く、遅延も少なくなります。
実際、DC同士を広帯域な回線で直接結ぼうという取り組みは既に始まっています。この流れから行けば、DCの中に有望なコンテンツを取り込んでしまおうという発想を持ち出す人も出てきても不思議ではありません。例えばTwitterのログを利用したいと考えるなら、Twitterと同じDCに入っている方が回線コストも遅延も少なくてすむでしょう。近い将来、iDC運営者のコンテンツプロパイダー誘致合戦が始まるのではないでしょうか。
iDC一棟を一つの「Castle」と見立てて、セキュリティやその他の付加価値を包括して提供する。インフラSEの視点から見ているとクラウドの在り方はこのように進んでいくのではないかと感じています。
■Wall GardenクラウドからCastleクラウドへ
「Wall Garden クラウド」は自社のサービスのみで顧客を囲い込む発想です。これだけでも十分なニーズを掘り出す事は可能でしょう。しかし、クラウド上には無数のサービスが日々登場します。いつ魅力的なサービスが登場し、かつそれらが無料で提供されるような事があればいずれはNotesのユーザを奪っていく事になるかもしれません。
しかし、クラウドアプリケーションには「安心、安全」といった面で不安がつきまとうのも事実。
クラウド上に無数に存在するクラウドアプリケーションを、高度なセキュリテイと、高い信頼性を誇るIBM DCに誘い込み、DCを一種の「スモールインターネット」というコンセプトで提供する。
そして、NotesLiveを中心に据えて、高速に「スモールインターネット内で、安心、安全、高速にデータのやりとりを行う」
IBM DCに入る事で、高速、高信頼性のインフラを利用可能で、高度なセキュリテイで保護される、Castleクラウドが実現する。
高度なHWを開発する能力があり、それを利用出来る高度なエンジニアを有し、世界各地にDCを保有するIBMさんなら、Castleクラウドを実現する事も夢物語では無いのでは無いでしょうか?
普段クラウドという言葉には縁のない私ですが、あらためてクラウドをどう作っていくべきか?という点で一つヒントを頂いたような気がしました。IBMの皆様、有難う御座いました。


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