オルタナティブ・ブログ > アラキングのビジネス書 >

「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

1度聴いたら病みつきになるバンド ~鮫肌尻子とダイナマイト~

»

先日、海外のパンクバンドのライブばかり通っている話「ロックにオタダンス?」を書いたところ、音楽に詳しい知人から「このバンド、超カッコイイから聞いてみなよ」と1枚のCDを渡された。日本のインディーズバンドで、まずはジャケ写を見るなりウ~んと唸った。

CD.JPG

昭和レトロなデザイン。名前がまたフザけている。

鮫肌尻子とダイナマイト。

世の中には無数のバンドがあり、当然ながら知らないバンドの方が圧倒的に多い。ネットで話題になるなりCMで使われるなり、何かしらキッカケがないとその存在を知ることすら不可能に近く、とりわけインディーズの世界ならなおさらだ。

バンドは、ほぼ偶然の出会いといっていい。

鮫肌尻子とダイナマイト。

これもまた偶然の出会いか。メンバーの個性的な風貌はもちろん、そのおかしな名前、加えて紹介してくれた知人が音楽に詳しいこともあり、ひとまず聴いてみたのだが、初っ端からちょっと度肝を抜かれた。

フゥー! ファー! フォー! ゴー!

鮫肌尻子なるボーカルの若い女性がいきなり叫びまくっている。シャウトというか奇声というか完全にブっ飛んでいる。どういうわけか、CDなのにシャウトする彼女のリアルな姿がありありと目に浮かぶ、そんな不思議な臨場感に襲われた。

カッコイイいかも――。かすかに琴線に触れた。そして、その予感はすぐに当たった。

曲が変わると、彼女はシャウトから一転、普通に歌い始めた。透明感のあるカワイイ声をしており、それを活かしてあえてがさつな感じで歌うのだが、それが曲の雰囲気とよく合っていた。男性コーラスはややレトロな感じだけどそれがむしろ新しくもあって心地よく、1回聴いただけなのに耳に、ココロに残る不思議な世界観を持っていた。

何より演奏が上手い。SHEENA & THE ROKKETSのオープニングアクトを務めるほどだから当然といえば当然か。

気づけば一気に最後まで聴いていた。身体が自然と揺れていた。それ以降、絶対に海外ロックしか流れなかった我が家に、なぜか日本のインディーズバンドが流れる日々となった。

彼らの本拠地は博多。ただ、呼ばれれば全国どこでも駆けつけるらしく、すっかり鮫肌中毒症がピークに達した先週末、ちょうど東京にやってきたのでワクワクしながら会場へ向かった。

強キャラ揃いの4人組がやってきた

客は数十人も入ればパンパンの、想像を遥かに超えた小さなライブハウスだった。6つのバンドが30分ずつ順番に登場する、いわゆる対バン形式のライブで、お目当ての「鮫肌尻子とダイナマイト」は後半の方に姿を現す予定だった。

少し早くライブハウスに入って何となく他のバンドを眺めていると、ふと横を見れば、驚くことに鮫肌のドラムの男性が衣装を身にまとったまま観客に混じってステージを眺めていた。

演者が客になり、客がまた演者になる――。

インディーズの世界って何だかスゴイなと感心しつつ、気づけば彼が消えていたので、いよいよ「鮫肌尻子とダイナマイト」の番だ。

鮫肌ズ.jpg

(鮫肌尻子とダイナマイト)

幕が開いた瞬間、軽いどよめきが起こった。ボーカルの鮫肌尻子なる女性だけでなく、ギター、ベース、ドラムを務めるダイナマイトの男性陣もまた独特な雰囲気を醸していた。本当にステージが近く、手を伸ばせば届く距離とはまさにこのことだった。

ステージが始まると、やはり尻子さんのパフォーマンスもスゴイが、大人しそうに見えたギターのアビー君の豹変ぶりもなかなかだった。マイクを口にくわえて叫ぶ。目がいい感じにぶっ飛んでいる。激しく頭を揺らしながら、しまいにはステージから降りて暴れながらギターを弾く。見事な乱痴気パフォーマーだった。

アビー君.jpg

(絶叫するアビー君)

客は大いに盛り上がる。アビー君を取り囲んで見ていると、その空いたスペースに静かにベースのウェットン君が降りてきた。

ダットン君.JPG

(クールな背中のウェットン君)

ドラムのジャッキー君はステージの中央でしっかり音を刻んでバンドを支えている。そして、肝心のボーカル尻子さんは何をしているかといえば格好よくシャウトし、やがて観客のなかに降りてきてCDを持って宣伝しながら歌い始めた。

尻子.jpeg

(ジャッキー君&尻子さん)

ああ、なんて楽しいライブなんだ。

シャウト系のノリノリロックあり、自然とカラダが揺れるポップな曲あり、ちょっと切ないスローな曲あり。そして、歌詞がまたいい。ロック女子の甘酸っぱい恋だったり、ロックへの一途な愛だったり、そこに客をぐんと惹き込むパフォーマンスが織り交ぜられており30分のステージはあっという間に終了した。

鮫肌尻子とダイナマイト」はものすごく楽しそうに演奏していた。何より、観客がみな満足した笑顔を浮かべていた。

バンドというか、ほぼ旅人というか。

ライブが終わると、尻子さん本人が会場の外でグッズの手売りを始めた。持っていなかったCDを購入し、イラストレーターでもある彼女がデザインしたTシャツを買い、似顔絵を書くという不思議なサービスもあるというのでお願いした。ちなみに似顔絵は500円。ほのぼのとした気分になる。何かかわいらしい。

Tシャツ.jpg

(次回はこのTシャツで行こう)

似顔絵を描いてもらいながら尻子さんとちょっと話をした。移動はすべてクルマで、お呼びがかかればメンバー4人はクルマに乗り込み、自らの運転で日本全国を走り回るという。山形へ行っては博多に戻り、新潟へ行ってはまた博多へ戻り、最近のもっとも遠い所では秋田まで行ったそうで、そんな生活が毎週のように続く。

今回の東京でのライブも13時間かけて到着し、演奏を終えたその足でまた博多へ帰るという。ロックバンドというよりほとんど旅人だ。

スケジュール.JPG

(旅人のスケジュール)

「おかしな話ですけど、最近、東京が近いように思えてきちゃって......」

屈託なく笑う尻子さん。帰り際にはアビー君、ジャッキー君、ウェットン君とも少しだけ話す機会があったが、みな爽やかで、礼儀正しく、健気で、フレンドリーだった。尻子さんはライブの合間に「ロックで死んでもいい」みたいなことを呟き、歌のなかでは「一緒に世界征服しましょう!」って叫んでいたけど、このハードな日々を見る限りは案外本気らしく、平成が終わろうとしているこの時代に昭和な感じで突っ走る姿がますますスキになった。

鮫肌尻子とダイナマイト。

YouTubeで検索すれば、発売されている2枚のCDのダイジェストが聴けるので「ちょっと気分をアゲたい」とか「ガールズバンドってどんなの?」とか「久しぶりに威勢のいいバンドを聴いてみようかな」とか、そんな人にオススメなのは、1度聴いたら病みつきになる「GO! GO! 世界征服」、ちょっとホロリとする「火曜日のギグ」、歌詞が笑える「このレコードが売れたなら」。

来月の下旬には14~15時間かけて千葉に来るというので、もう今からウズウズ、ワクワクして待っている。

音楽は、ほぼ偶然の出会い。自分には合わないだろうと思っていたジャンルの音楽がふっとココロに響くこともある。インディーズの世界も素敵だなあ。人生の楽しみが1つ増えた。

彼らにはいつか武道館でワンマンライブをしてほしいなぁ。

ゴーゴー世界征服。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

マーケティングを立て直す専門のコンサルティングです。詳しくは下記Webサイトをご覧ください。

ホームページアイコン.png

Comment(0)