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「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

【自己紹介2】 ビジネスコンサルタントが農業を始めたワケ・・・

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現在は空前の農業ブームである。ノギャルなる造語が誕生し、若い女性がなぜか田んぼの真ん中で笑う映像が流れる。農家の若い跡継ぎがたちが集まった「農家のこせがれネットワーク」なる団体が、近年、頻繁にメディアに登場している。

当然ながら、ブームとは作られるもの、メディアが作りだすもの。昔からのきまり・・・2009年冬、オシャレ雑誌「BRUTUS」、経済誌「週刊ダイヤモンド」が同時期に農業を取り上げ、以降、農業ネタがメディアに急増した。

そこにブームの発信源を見ることができる。

ブームに乗ったワケではないのだが、それは、やはり2009年だった。残念・・・

私は昨年、無農薬農家のプロである友人とふたりで『~農家の野菜~ MAKUWAURI』なるブランドを立ち上げた。完全無農薬・無化学肥料というもっとも過酷な栽培法で育てる野菜を、限定生産・会員制で宅配するシステムである。

友人とふたりで農業ビジネスをやろう! というコンセプトは数年前に決まっていたのだが、立ち上げが2009年にズレ込んでしまった。私が業界問わずのコンサル業をしてきたものだから<農業ブームのなかでの農業ビジネス>を始めた絶妙なタイミングに

「やっぱり! 最先端ビジネスに手を出すのだね~」

と、いろんな人に感心されたり? 呆然とされたり? 

私は農業なんて大嫌い! だって、汚れるじゃん

私は農業などにまったく興味がなかった。やってみようと思ったことは1ミリもない。むしろ嫌いな感じの職業。汚れるし、辛そうだし。

私はコンサル業が好きなのだ。企画書を書いて、自分のアイディアを具現化するのが楽しいのだ。オシャレが大好きだし、仕事もオシャレにやりたい。昼間はマジメに働き、夜は飲みに行く。オンオフしっかり分けて、ワハハ~ウフフ~と遊ぶのが楽しい日々。週末は田舎の風景を眺めにトレッキング&ドライブでリフレッシュ。

なぜ、私が、愛するその田舎風景のなかで、わざわざ土にまみれる必要がある? 野菜を栽培しなくちゃいけない? てな具合に、農業などまったく関心はなかった。

でも現在は、ジャケットを脱ぎネックレスを外し、香水もつけず、ワークマンで買った作業着と長靴を愛用している。鍬を持って土を耕している。一輪車に雑草を山のように乗せて、エッサホッサやっている。極上の野菜を育てるため、馬糞を蒔き、臭~いクサイ鶏糞をまき、野菜が大きく育ってきたなあといっては微笑んでいる。

私の指は常に、爪の間に土が溜まっている。

農業を始めたワケは・・・単なる偶然。たまたま。人生の流れのひとつ

「無農薬農業のプロの友人に誘われたから」が、農業を始めた理由。彼は私の古い友人で、もっとも信頼を置くひとりだ。彼はもともと外資系生保のトップセールスマンだったオトコ。そんな彼が突然、農家にとらば~ゆしたのだ(死語)。私は正直、彼の転職を憐れんだ。なぜ、わざわざ高額の報酬を捨てて農家に? イミワカンナイデスヨ! 

農業に興味のない私。野菜に関心のない私。でも友人として応援したいと思い、彼が作る野菜を購入するようになった。そして、カルチャーショックを受けた。

何なんだ! この野菜の味は!

スーパーとは比較にならない味の濃さ。香り。ハリ。これが無農薬・無化学肥料の実力。水菜ってしっかり味がするんだあと、ビックリ。ルッコラってこんなに辛いの? すべての野菜の個性が際立っていた。これまでの30数年、いったい私はどんな野菜を食べていたの?以来、私は彼の野菜しか食べれなくなった。スーパーの野菜は舌が受け付けないカラダになってしまった。奥さんも同じだった。

最初は彼から野菜を<買ってあげていた>のだが、数か月もすると<売ってください>というキモチに自然と変化していた。これまで相当美味いものを食べてきたという自負があったが、それは完全に私の勘違いだった。野菜こそ究極の贅沢品と、気付いた。

私は食べるヒト。友人は作るヒト。その関係は決して変わらないはず、だった。

農業はビジネスチャンスがいっぱいだぞ!

この友人とはよく一緒に飲んだ。そのたびに彼は私の耳元でささやくのだ。「農業は宝の山だ」「農業にはビジネスチャンスがたくさんあるぞ」・・・。今思えば、彼の巧みなリクルーティングだった。さすがはトップセールスマンだった男。毎度毎度、そんな言葉を聞き続けるうちに「農業ビジネスって面白そうかも」と考えるにいたった。日本の農業の現状を聞くうちに、コンサルとしての血が騒ぐのだった。いつしか彼との飲み会はいかにふたりで農業ビジネスを展開していくかという現実的なテーマに移っていた。

でも私はコンサルするヒト。彼は耕すヒト。その関係は決して変わらないはず、だった。

どうせならお前も耕せ!

私は販促、CRM、戦略面などにおいて彼の農業ビジネスをサポートするつもりでいた。裏方。だって、それがいつもの私のポジショニング。ブルーオーシャンである日本の「農業マーケット」なら新しいビジネスモデルが確立できる・・・そこに単純に興味がひかれていただけ。元トップセールスマンの脱サラ農家と、現役のコンサルが手を組めば、そりゃあいろんなことができると思ったのだ。恐らく彼が普通の農家だったなら、一緒にやるつもりはなかった。

で、具体的にどう動くかを検討し始めた。私はそもそもフリーランス、自分の時間はけっこう自由になる。週の半分くらいなら空けられる。そんな話を彼にすると・・・

「じゃあ、お前も耕せよ! 健康にいいし、何より実際にやってみることでコンサルに説得力が生まれるんじゃねえ?」

え? はい? オレも? 耕す? 農家?

私は運命に逆らわない・・・

人生なんて、何が起きるか分からない。だから楽しい。ノーギョー? やってみるか! そんな流れで始めた。でも、やってみると、実に楽しい。実に新鮮。知らないことがいっぱい。考えたら、都会のヒトって、誰も農業のコト知らないのではないか? 私がそうだったように。

そんなお話をこれからいろいろ。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

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