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僕たちは「カメラを止めるな!」を創り出せるだろうか

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昨年大きな話題になった映画に、「カメラを止めるな!」があります。私も映画館で見ましたが、本当に面白かったです。映画そのものの評価などはWebに沢山ありますのでここでは書きませんが、アジャイルメディア・ネットワークの徳力さんがヒットの要因をマーケティング視点から考察した記事が目にとまりました。

カメラを止めるな!に学ぶ「拡散」より凄い「感染」のヒミツ

是非全文を読んでいただきたいのですが、ここではいきなり結論を書いてしまいます。

カメラを止めるな!の大ヒットは、たまたまの運や偶然による産物ではなく、関係者1人1人の地道な努力による必然だった、と考えるべきです。

徳力さんは、前提として映画の出来が非常に良かった点を上げていますが、それだけでは無いと言い、以下の様なエピソードを紹介して、スタッフによる地道な活動がヒットを生んだのでは無いか、と書いているのです。

上田監督が、WEBグランプリの贈賞式の受賞挨拶で「毎日毎日見てくれた方の感想ツイートに、ありがとうという気持ちを込めて、スタッフ総出でいいねを押していくのを1年間ずっと続けてきた。全員のいいねの数を数えたら100万回を超える。その100万回のありがとうが起こした奇跡なのかなと思っている」と話されていたのが非常に象徴的でした。

スタッフ60人が、毎日、書込みをチェックしていいねを付けていたというのです。デジタルだの、インターネットだの言っている時代に、なんというアナログ。(まあ、デジタルだのインターネットだのを使っているわけですが)しかしこの部分を読んで、結局はこれがマーケティングということなのでは無いかと思いました。

enjin_business.png王道は無い

この話で思い出したのは、「商売に王道なし」という言葉です。(ちょっと調べてみたところ、出典はあまり明確ではなさそうです。元々はユークリッドの「学問に王道なし」から派生したのかもしれませんね)

マーケティングコンサルタントという仕事をしていると、Webサイトの構築などでご相談を頂くことが多いのですが、未だに「SEOとかいうものをやれば、Webサイトへのアクセスが増えて、売り上げが伸びるらしい。」というイメージを持っておられます。一昔前、「リンクを購入する」などの、今では禁止されている手法でアクセス数を上げる、ということが流行り、確かに一時期はそれで効果があったこともありましたが、その印象が強いのですね。しかし、少し調べてみればわかるように、そういったSEOは今では有効でないばかりか、ペナルティを受けて検索エンジンに表示されなくなってしまうことになりかねません。(未だにこれを勧めている業者もあるようですので、ご注意下さい)

もちろん今でも有効な(というかやるべき)SEOというのはありますが、それは検索エンジンに適切な情報を提供するためのものに限るべきで、「うまいこと検索エンジンを騙していい目を見よう」という意図で行うSEOは、逆効果でしかないのです。結局、Webサイトのアクセス数を増やすためには、地道に「役に立つコンテンツ」を充実させ、それが少しでも多くの人の目にとまるよう地道な努力をするしかありません。王道はないのです。

徳力さんは、記事の最後ですべてのマーケターはこう自問すべきと結んでいます。

「自分は、カメラを止めるな!の関係者ぐらい全力で、この作品を世の中に伝える努力をしているだろうか?」

結局、ビジネスの基本は「魅力的な商品、それを伝えたいという思い、伝える努力」であり、それはインターネットが普及し、SNSの時代になっても何ら変わらない(バズった場合の拡散速度はもちろん爆発的に速くなっていますが)ということなのではないでしょうか。しかも、一度成功しても、次も同じ事ができるかというと、それも難しい。「初心忘るべからず」といいますが、どんな時代・ビジネスにも通用する言葉です。

 

【締め切り間近】ITソリューション塾・第30期/2019年2月開講
リアルタイム・録画によるオンライン受講も可能になりました!

次期ITソリューション塾が、2019年2月7日(木)より始まります。

リアルタイムでのオンライン受講や録画での受講も可能となります。地方からのご参加や出張先、会場に間に合わない、あるいは、どうしてもその日だけは参加できないといった方々も講義を受けて頂くことができるようになりました。

デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれるいま、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「どこに向かって変革し、どのようにイノベーションを起こせばいいのか」分かりません。そんなお客様に「課題は何ですか、何をすればいいでしょうか」と尋ねても答えようがありません。そんなお客様に私たちが果たすべき役割は、お客様の「あるべき姿」を提言し、お客様を未来に導いてゆくことです。

お客様との人間関係を作ること、手配や調達に長けていることだけでは、役割を果たせない時代になろうとしています。ITソリューション塾は、こんな時代を生き抜くために、お客様の「あるべき姿」を提言できるようになるために必要な知識とスキルを磨くプログラムです。

  • 期間:2019年2月7日(木)開講・毎週1回18:30-20:30・全11回
  • 会場:東京・市ヶ谷/オンラインでの受講(リアルタイムと録画)
  • 費用:9万円(+消費税)

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITソリューション塾

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