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ウォーターフォール的な業務のやり方をしていませんか?

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以前、アジャイルについて書きましたが、アジャイル開発の手法のひとつとして「イタレーション(iteration)」があります。「繰り返し」とか「反復」という意味ですが、アジャイル開発においては、開発サイクルを短くして数週間単位でソフトウェアのリリースを繰り返すことで機能を追加していくことを指します。ここで大事なのは「デモ」や「紙芝居」ではなく、最終的に納品するプログラムそのものをリリースすることです。そうすることで、お客様は常に進捗や機能を実際のプログラムで確認することができるため、仕様のずれや間違いに気づきやすく、それに対する修正も早い段階で行えるため、開発の遅れに繋がりにくいのです。同様に、最初に決めた要件が変化したとしても、柔軟に対応できます。ウォーターフォール開発では、開発の最後になってやっと全体が結合されて顧客に提示されるわけですが、そこで「あれ?これは違うよ。」ということになった場合、それから直すのは非常に大変です。それに、最初に決めた要件というのは、開発が終了する数ヶ月とか数年後には変わるものです。(というか、ビジネス環境が変わるのですから、要件も変わらなければむしろおかしいでしょう)ウォーターフォール開発の根本的な問題はここにあります。

ネットコマースの斎藤さんが作った図がわかりやすいので、拝借します。

キャプチャ.JPGなぜこんなことを書き始めたかというと、この考え方は一般の業務にも適用できるのではないかと思ったからです。

部長から頼まれた資料、どういった手順で作りますか?

身近なことで考えてみましょう。木曜日に部長から呼ばれて、「こういう資料を月曜日までに作ってくれ。このデータを使って、こんなイメージで。」と言われたとしましょう。皆さんなら、このタスクをどのように進めますか?

部長が口頭で説明したイメージはいまひとつ曖昧で、どのような着地点を目指したら良いのかがわかりません。考えているうちに、金曜日の夕方になってしまい、部長にも聞けなくなってしまいました。仕方がないので言われたイメージを自分なりに膨らませて、土日に休日出勤して膨大な資料を作成し、月曜日に持っていくと「うーん。ちょっとイメージが違うなあ。」という反応。それから急いで直しても、結局半端な資料にしからならない。。こんな経験はありませんか? せっかく土日も頑張ったのに。

でも、それはあなたではなく、部長の指示の出し方が悪かったのかも知れません。最初にきちんと指示してくれれば良かったのです。

最初にきっちり仕様を決めれば良かったのか?

こういったことを防ぐ為にはどうしたら良いのでしょうか? 最初の指示を明確にしてもらえれば避けられるでしょうか? 恐らくそうは行きません。部長自身にも具体的なイメージが無い場合もあるでしょう。途中で気が変わったりすることもあります。それでは、どうしたら良いのか?

木曜日に指示を受けて、月曜日にいきなり最終版を持って行くのはウォーターフォール的な考え方です。それが部長のイメージ通り、という可能性はほとんどないのではないでしょうか。

「イタレーション」で対応する

私であれば、中身はスカスカでも良いので、とりあえずひな形をつくって、「こんな感じで良いのですよね?」と言って、木曜の夕方にでも部長に見て貰います。部長も、何か具体的なものがあればそれについてのコメントや指示は出しやすいはずです。言ったとおりのものができてきたとしても、そこで自分の考え違いに気づくかもしれません。

そこで大まかな方向性が合っていることを確認し、さらに金曜日、もう少し詳細を盛り込んだものを見て貰います。各々のレビューでは、それほど時間を取って貰う必要は無いでしょう。資料の規模にもよりますが、10-15分でも十分な筈です。ここまでやっておけば、土日をかけて作り込んだ資料がまるっきり使えない、という自体は避けられるでしょう。修正が必要としても、それほど大きくないでしょう。

とにかく早め早めに「実物」を見せて、方向性を確かめ、部長(顧客)との合意を積み重ねていくのが「イタレーション」の考え方です。

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