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コインチェックの問題は暗号通貨と切り離して考えるべきだ

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この一週間(いや、3~4日でしょうか)での最大のニュースは、コインチェックの流出事件でしょう。

コインチェック、580億円相当の仮想通貨「NEM」なぜ消失

昨年からの仮想通貨の高騰などもあり、大きな注目を集めています。さらに、コインチェックの怪しげな運営についても指摘されるなど、今朝もいろいろなニュースが流れています。

コインチェック社「持ってないコインを消費者に売る」商法と顛末

しかし、ここで注意したいのは、仮想通貨のシステムの安全性と取引所での事件は別の問題であるということです。

流出の原因は調査中ですが、現時点では不正侵入によるものである可能性が高いとされています。つまり今回の問題は、仮想通貨の仕組みそのものに問題があるのではなく、取引所のセキュリティに穴があったことによるサイバー犯罪なのです。

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取引所と通貨システムは、分けて考えるべき

コインチェックは、仮想通貨を運用しているわけでは無く、取引所です。取引所は、仮想通貨と円やドルなどの法定通貨を交換してくれたり、それらの通貨を預かってくれたりします。銀行と言うよりは証券会社に近いかも知れません。今回の事件は、証券取引所のシステムに問題があったわけではなく、証券会社のコンピュータに誰かが侵入して不正な送金を行った、というほうが近いでしょう。仮想通貨は、実態が無く仕組みが複雑なため、なんとなく「怪しい」ものとみられがちですが、仮想通貨を流通させる仕組みであるブロックチェーンそのものの問題で通貨が流出したりしたことはないのでは無いでしょうか。(この辺、調べ切れていませんが、あったとしても多くは無いと思います。ほとんどが取引所のセキュリティが原因のはずです。)

マウントゴックスは、結局は横領だった

仮想通貨の取引所による事件として思い出されるのは、2014年のマウントゴックスの事件です。時価総額480億円相当のビットコインが消失した事件ですが、これも当初はサイバー攻撃によるものとされていました。しかしその後、社長が逮捕され、業務上横領で起訴されています。(現在も係争中)これも言い換えると、銀行の頭取が取引記録を改竄して顧客の預金を着服した、ということです。別に金融システムの問題ではありません。だから良かった、というわけではありませんが、サイバー犯罪以前の古典的な犯罪だったと言うことですね。

やっぱり嘘だった?ビットコイン消失事件で社長を逮捕 不正操作が明らかに!

とはいえ、やはり仮想通貨にはリスクはある

今回の事件は仮想通貨の問題では無いと言ってきましたが、仮想通貨の技術的なシステムには問題は無くても、取引の安全性や犯罪に利用される可能性に関する問題は存在します。法定通貨を扱う銀行や証券会社には、厳しい規制や報告義務がありますし、相応のセーフティネットもあります。今回の事件も、暗号通貨について金融庁が法律を改正して登録義務を課し始めた矢先の出来事でした。発展が急激すぎて諸々の仕組みが追いついていないのが現状です。現時点では、仮想通貨の利用には大きなリスクが伴うといわざるを得ません。

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