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Surface Phone はビジネス用スマホの真打ちとなるか?

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Forbes が Microsoft 製スマホ「Surface Phone」についての記事を出しています。

マイクロソフト「究極のモバイル端末」Surface Phone発表へ

ナデラCEOは以前より「2017年中に究極のモバイルデバイスを世に送り出す」と行っていましたが、それをポッドキャスト番組で裏付けたということです。Forbesの記事では、「どの様なものになるのかを推し量るのは少々難しい」と書いていますが、いくつか記事を読んでいるうちに、なんとなく見えてきました。そこで、大胆に予想してみました。

Surface Phone は ARM ベースで、Windows 10 上で x86 アプリが動き、スマホとしても PC としても利用可能

それでは順に説明していきましょう。

ARM ベースで x86 ソフトが動く

まずは、何故 ARM なのか、ですが、今の時代スマホ/タブレットを作るなら ARM 以外の選択肢はほぼ無いといえます。Intel が Atom を作っていれば、x86 互換と言うことでメリットもあったでしょうが、Atom は昨年キャンセルされています。そこで当紙既報通り (笑)、Microsoft は Qualcomm を巻き込んで Windows 10 を ARM に移植したわけですね。ARM 64 を使って x86 エミュレーションを行う事で、既存アプリを動かすことのできるスマホを作ることができます。こちらの記事では、Surface Phone のリリース時期は Windows 10 の Redstone 3 アップデートと同時になる、という見通しも示されています。Redstone 3 についても当紙既報通りですね ^^;

外部ディスプレイに繋いで PC として利用可能

1年前の記事ですが、すでに Surface Phone のスペックを予想している記事がありました。

Surface Phoneの発売日は2017年上旬、3機種をリリースか

「Surface Phoneのスペックは、スマートフォンの常識を覆すメモリ(RAM)は6GB、内部ストレージ容量(ROM)が500GBと凄まじい。」これが本当であれば、もはやこれはラップトップ並のスペックということができます。画面は5.2-5.5インチということですから、iPhone 6/7 plus と同じくらいですね。筐体はスマホで、メモリ/ストレージは PC 並ということです。

さらに、engadget の記事では、

マイクロソフトCEO「スマホには見えない電話」を作ると発言。ウワサのSurface Phoneか

この記事にはご丁寧に「もしContinuumでフルWindowsが動くなら...ゴクリ」というサブタイトルが付いていますが、Windows 10 には「Continuum」という機能があり、これは「ディスプレイの大きさやユーザーの好みに応じて、ユーザーインターフェイスを適切に表示」する機能です。つまり、Continuum 対応のスマホは、外部ディスプレイに繋げばそのまま大画面のデスクトップ表示に切り替わるのです。

この辺で、Forbes の記事にある「現状のマーケットで主流となっているデバイスとは別のアプローチで市場に切り込んでいく。独自のやり方で究極のモバイルデバイスを送り出す。サブスケールなカテゴリになるかもしれないが、特定の機能を求めるユーザーをターゲットとした製品で差別化を行っていくつもりだ」という言葉の意味がだいぶわかってくるのではないでしょうか。「見た目も使い勝手もスマホだが、家や会社に帰れば PC として使え、クラウドもサーバーも設定変更無しでそのまま利用できる」ということです。

企業向けスマホの真打ちとなるか?

私は根っからのAppleファンで (何しろApple IIもNewtonも持っています ^^;)、スマホについては一瞬だけAndroidだった時期を除いてずっとiPhoneです。仕事用のデスクトップ/ノートPCはさすがにWindowsでしたが、最近ではMacBookにWindowsを載せて使っています。そんな私ですが、企業向けとしてのWindowsベースのスマホの価値については以前より注目しております。iPhone や Android は基本コンセプトやサポートの面で、まだまだ企業は使いにくい、という声もよく聞きます。Surface Phone は Microsoft ソリューションの最後のピースを埋めるための重要なデバイスなのです。

ご存じの方も多いと思いますが、Microsoftも遙か昔からモバイルデバイスに取り組んでいるのです。頑張ってはいるんですが、まったくうまくいっていません。OSの名前がCEやらMobileやらコロコロ変わり、互換性も全然無く、PCとの接続性 (これがキモだろ!) もまったくイケておらず、PCとしてもモバイルとしても中途半端な製品を大量に生み出してしまいました。

しかし、業務シーンで使うことを考えた場合、PC との連携・互換性という面から、Microsoft は iPhone も Android もかなわない提案を行う事ができる可能性を持っていますし、それができるのは Microsoft だけなのです。そういうポジションに居るにも関わらず、これまでロクなスマホを出せなかったというのは、本当に不思議です。今度こそ、ビジネス向けスマホの決定版と言えるデバイスを出してくれることを願います。

 

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