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日本のAI研究は遅れている?

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今朝、FBのタイムラインにこの記事が流れていたのですが、

どうした日本、ロボット産業をリードしていたのにAI開発で遅れ

まず先にちょっと違和感があった部分ですが、この記事では(というか中国メディア)は、AIで遅れと書いていますが、日本はロボットだけでなく、AIでも結構世界をリードしていたはずです。

1980年代に「第5世代コンピュータ」なんてのに何百億円もかけて結局何もできなかった(というのは語弊があるのかな)わけですが、一応研究の成果と人材は残りました。この資産はなかなか侮れませんし、今流行のディープラーニングの元になったアイデアも日本の研究者によるものと言われています。そもそも日本だけでなく、この時代は全世界でAI研究が停滞していた時期でもあります。

ただ、現在のAI研究において、日本が遅れをとっているのは事実だと思います。そしてそれは、AIの学習データとして使うビッグデータを持っていないことが一因なのではないでしょうか。

現在主流となっているディープラーニングでは、様々なデータを元にして学習を進めていきますが、このとき、データが多ければ多いほど有利になるとされています。このデータとして、GoogleやFacebookなどは自社のサイトで蓄積したデータを活用しているとされています。GoogleがAIで猫の画像を認識させたとき、学習データはYouTubeの画像データでした。日本の企業や大学で、今現在これだけのデータを持っているところは無いでしょう。つまり、人々を惹きつけ、様々なデータを収集できるクラウドプラットフォームの欠如が、AI研究の障害になっているのではないかと思うのです。

GoogleやFacebookが、AIのためにサイトを立ち上げたわけではないでしょうが、ある時点でビッグデータの重要性に気がつき、そこに投資してきたことは確かでしょう。米企業にはデータの蓄積と資金力、そしてこの分野に投資していくという強い意志があります。こうなるとアメリカは強い。この遅れを取り戻すのは並大抵ではないでしょうが、日本にだって強い分野はあります。ゲームなんかどうでしょうか? プレイデータを解析すれば、極限状態での人間の心理状態みたいなものがわかるかも知れません。

それに、ディープラーニングだけがAIではありません。日本の研究者によって、もっと良いアルゴリズムが発見されるかもしれませんよね。

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