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次世代インターフェースUSB3.0がもたらす変化

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次世代インターフェースUSB3.0がもたらす変化

NECエレクトロニクスのUSB3.0対応ホストコントローラLSI「μPD720200」に続き、USB3.0対応製品が次々と登場してきました。USBの仕様策定を行っているUSB Implementers Forum(USB-IF)のウェブサイトで公開されているSuperSpeed(USB3.0)認証製品は現在32製品に上ります。USB3.0のコンプライアンス試験は正式にはまだ開始されていませんが、メーカーはUSB-IFが提供するSuperSpeed USB Platform Interoperability Lab(PIL)にて自社製品がUSB3.0の仕様に対応しているか確認できます。PILウェブサイト

USB3.0認証取得した一部の製品を紹介します。

※日本メーカー

- NECエレクトロニクス 

USB3.0対応ホストコントローラLSI「μPD720200」

- ラトックシステム 

USB3.0 PCI Express ボード REX-PEU3

USB3.0 ExpressCard REX-EXU3

- バッファロー 

IFC-EC2U3/UC ExpressCardスロット搭載パソコンに増設するインターフェースカード

- 富士通マイクロエレクトロニクス

MB86C30  USB 3.0-SATAブリッジLSI 

※海外メーカー

- ASUS

P6×58D Premium マザーボード

- Hewlett-Packard

HP Envy 15ノートブックPC

- Western Digital

MyBook 3.0 USB3.0対応外付けハードディスク

- Seagate            

BlackArmor PS110 USB 3.0対応の外付けハードディスク

USB3.0の通信速度は従来のUSB2.0の約10倍を実現します。また市場にある従来のUSB2.0インターフェースと後方互換性を維持しています。

USB製品の検証およびコンプライアンス試験においても、USB3.0の導入によって大きな変化が起こっています。USB2.0で使用していた試験機材をそのままUSB3.0の試験にも使えると思いきや、USB3.0の試験を行うには新たな試験設備投資が必要となります。当社アリオンはUSB-IFより公認されたUSB-IFの試験機関として多くのUSB2.0対応製品を検証してきましたが、やはりUSB3.0の登場により、USB2.0の検証設備の他にUSB.3.0試験に対応したオシロスコープ等の高額な設備投資が必要でした。

また、テスト項目においても、新しく追加された項目があります。ひとつの例をあげますと、リンク試験項目はUSB3.0で追加された試験項目です。

USB3.0とUSB2.0の比較

特性

USB 3.0

USB2.0

最大転送速度

5Gbps

1.5 Mbps/12Mbps/480Mbps

最大ケーブル長

3メートル

5メートル

ケーブルの信号線数

5本

4本

信号線

シールド・ツイスト・ペア

ツイスト・ペア

給電能力

150mA/900mA

100mA/500mA

通信モード

デュプレックス

ハーフデュプレックス

データ転送方式

USB 2.0 のバルクにストリームを追加

制御、バルク、割り込み、アイソクロナス

SSC(周波数拡散クロッキング)

必須

なし

符号化

8B/10B符号化

NRZI符号化

エンドユーザーにもUSB3.0の登場も新たなエクスペリエンスを提供するには間違いありません。USB3.0対応しているPCとして、NECの LL870/WG」「LL850/WGやFujitsu FMV-BIBLO NF/G70の ノートパソコンが既に市場にあります。USB3.0の転送速度は5Gbps(規格値)で、480MbpsのUSB2.0と比べて約10倍の向上です。つまり、1秒間に600MBのデータを転送することができます。

また、USB3.0はUSB2.0インターフェースと後方互換性があるため、USB3.0のポートにUSB2.0の機器を接続することができ、USB2.0のポートにUSB3.0の機器を接続するなどもできます。それはユーザーにとって、大変便利なことです。

                                       

USB3.0はメーカー、ユーザー、試験機関にも変化をもたらす次世代インターフェースとして、今後も注目を浴び続けるではないでしょうか。ただし、今後も出る多くのUSB3.0対応製品が問題なく、USB2.0製品との後方互換性を保証できるのか、またUSB3.0対応製品同士の接続性はきちんと実現されるかという点においても注目すべきかと思います。

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