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「ブログは長文」が当たり前の時代に?

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昨年末、様々な場面でこんな冗談を言ったり、言われたりする機会がありました。

いやぁ、Twitterに慣れちゃって、すっかり長文が書けなくなっちゃったよ。

どこまで本気かは別にして、同じような発言をした/されたという方は多いのではないでしょうか。Twitterを始めたら、すっかりブログを更新しなくなってしまった、などという声も度々耳にします。この「Twitterが『短文文化』を促進する」という感覚、いったいどこまで現実のものとなっているのでしょうか?

Wireのサイトに、こんな記事が掲載されていました:

Clive Thompson on How Tweets and Texts Nurture In-Depth Analysis (Wired)

Twitterに代表されるような短文のやりとりは、人々に短絡的な思考を促すというよりも、むしろ二極分化を促進するのではないか――という主張です。確かにリアルタイムウェブの登場により、短くて素早く、直感的なやりとりが行われるようになったものの、熟考に基づいて議論を展開するような記事が消えてはいないのだと筆者のClive Thompson氏は主張します:

This trend has already changed blogging. Ten years ago, my favorite bloggers wrote middle takes—a link with a couple of sentences of commentary—and they’d update a few times a day. Once Twitter arrived, they began blogging less often but with much longer, more-in-depth essays. Why?

“I save the little stuff for Twitter and blog only when I have something big to say,” as blogger Anil Dash put it. It turns out readers prefer this: One survey found that the most popular blog posts today are the longest ones, 1,600 words on average.

このトレンドは、既にブログのあり方を変え始めている。10年前、私のお気に入りブロガーは「中間派」の人々だった。つまり数行のコメントと一緒に、何らかの記事へのリンクを紹介してくれるような人々だ。彼らは一日に数回更新を行っていたものだが、Twitterが登場すると更新回数は減り、より長くて深い分析を行う記事を書くようになった。なぜだろうか?

ブロガーのAnil Dashはこう説明する。「小さなネタはTwitterに回すようにして、何か大きな話がある時だけブログを書くようになったのさ。」読者もこの傾向を支持しているようだ。ある調査によると、いま人気のブログは長文の記事を掲載するものであり、1記事平均の単語数は1,600語となっている。

残念ながらこの調査の詳細については不明なのですが、これが事実だとすると面白い傾向です。短くてリアルタイムな情報のやり取りは、文字通りリアルタイムウェブの守備範囲となり、ブログは逆にある程度時間をかけて練られた、長文記事に特化するようになりつつある。以前からこのような流れになるだろうと予測していた人がいましたが、いよいよその予測が具体化してきているのかもしれません。

また記事では「長文ブログ」が定着しつつあるもう1つの証拠として、Arc90からリリースされ、"Safari Reader"という形でウェブブラウザのSafariにも組み込まれることとなったアプリ"Readability"についても紹介しています。これはウェブ記事の本文部分だけを切り出し、シンプルで読みやすいレイアウトに組み替えてくれるというものなのですが、確かに短文記事が多ければこのような発想も出てこないはず。逆にこうしたツールの登場によって、より読者が長文記事を受け入れ、支持するようになるという傾向も生まれてくるかもしれません。

いずれにせよ、Twitterをはじめとしたリアルタイムウェブの普及はまだ始まったばかり。いま誰も注目していないようなサービスが、一気にメジャー化する可能性も大いにあります。2011年の年末ごろまでには、また状況がガラッと変化しているかもしれませんね。

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