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Twitter してはいけない企業の10の傾向

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ここ数日、再び不安定になってしまっている Twitter ですが、相変わらず何かと話題になっています。政治家が使い、セレブが使い、メディアが使い……と一時期のセカンドライフ・ブームを彷彿とさせる程ですが、流行っているからといって安易に飛び乗ってしまって良いのでしょうか。特に企業が使う場合にはリスクもあるはずということで、AdAge にこんな記事が掲載されています:

Top 10 Reasons Your Company Probably Shouldn't Tweet (AdAge)

あなたの会社にこんな傾向が見られたら、たぶん Twitter には手を出さない方がいいよというポイントについて。よくある「○個のルール」的エントリなのですが、冗談をちりばめながらも結構重要な点を指摘しています。さっそくその10個のポイントを抜粋・翻訳してみましょう:

  1. (Twitter はツールに過ぎないにも関わらず)Twitter を使うこととソーシャルメディア戦略がイコールになっている
  2. Twitter への全ての投稿に対して、法務部の事前承認が必要
  3. Twitter をニュースのヘッドライン配信だけに使おうとしている
  4. 社長の Twitter 向けにゴーストライターを雇ってもOKだと思っている
  5. ダイレクトメッセージが来ても返信しないつもり
  6. 会社として Twitter を運営するつもりで、企業ロゴやアバターを使うのが良い考えだと思っている
  7. とにかくフォローしてくれる人を増やせば良いと思っている
  8. 非公開アカウントにしようと思っている
  9. Google Analytics で Twitter をトラッキングしようとしている
  10. とにかく何か書き始めれば良いと思っている

ああウチの会社だ、と思った方はご安心下さい。Twitter を使ってみようかと検討しているだけまだマシですから(笑)。などという冗談はさておき、Twitter に限らずソーシャル系のウェブサービスを企業が利用しようと考えた場合、上記のような傾向が出て来てしまいがちではないでしょうか。

昨年出版された、ソーシャルテクノロジーを企業が使いこなすためのアドバイスをまとめた本『グランズウェル』にも、同じような問題点が挙げられています。ポイントをまとめれば、ダメな企業は

  • 流行のツールを使えば良いと思っている
  • 宣伝すれば良いと思っている
  • 双方向の重要性を理解していない

といった感じになるでしょうか。これに対し『グランズウェル』では、技術ではなく対話しようとする相手に目を向けることが何より重要であること、一方的に喋るのではなく「聞く」のも大切であることなどが指摘されています。特に Twitter のようなミニブログの場合、ユーザーはより主観的で、その瞬間の感情に近いコメントを書く傾向があります。さらに「@+ユーザー名」で相手を特定してコメントを投稿する場合には、ブログよりもチャットのような会話ツールにずっと近いと言えるでしょう。そこに「法人」的というか、プレスリリースのような口調の文章を一方的に送りつけるばかりで、しかも周囲の反応は全て無視……という存在が現れたらどれほどの違和感を与えてしまうでしょうか。郷に入っては郷に従えではありませんが、Twitter に参加することでしか得られない価値を手にしたければ、その流儀に従う必要があるはずです。

次々現れる新しいソーシャル系ツールについて相談を受ける立場からすれば、「とにかく始めたいんだけど」と言っていただける方が正直ありがたいです(笑)。しかし第2・第3のセカンドライフ・ブームに踊らされないためにも、今いちど自分の会社の中を振り返ってみるべきでしょう。ウチの会社は Twitter という世界を受け止められるのか否か。受け止めるために組織や文化を改革できそうか。「ダメそうだな」と思った場合には、潔く従来のマーケティング手法に専念するというのも全く正しい決断だと思います。

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