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あるIT関係者の昼下り。「ネットに流れてる情報はほとんど新聞が元」はどこまで本当?

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ネットに流れてる情報なんて、ほとんど新聞が元になっているじゃないか――新聞を擁護する際によく聞かれる議論です。最近「春の新聞週間」があったこともあり、似たような意見をあちこちで目にしました。例えば:

特集:春の新聞週間--漫画家3人トークライブ ネット社会でこそ真価 (毎日新聞)

「パソコンも持たず、ネットも使わない」はずのやくみつる氏が、「新聞記事は見出しの大きさやレイアウトで、重大事件かそうでないかすぐ分かる。記事が並んで出てくるネットではそこが分からない」と批判されているのはご愛敬として(笑)、この中でも「ネットの情報も元は新聞社が取材したもの」的な議論が行われています。

確かに新聞の記事がネットで話題になる、ということはよくあります。しかし個人的な経験では、マスメディアが元ではない、個人ブログやCGMサイトのコンテンツを目にすることが多いのも事実。実際のところはどうなんだろう、ということで、ちょっと確認してみることにしました。しかし確認といっても、客観的な統計データを集めるのには時間がかかります。そこで逆に超個人的な範囲に限定してしまい、あるIT関係者(=僕)が昼休みの時間に接したネット上のコンテンツをチェックしてみたいと思います。

最近、休み時間のヒマ潰しはもっぱらはてなブックマークの人気・新着エントリー。それもどうよ、というご批判はちょっと脇に置いていただくとして、現時点でトップページに並んでいる人気・新着エントリーのコンテンツが何を元にしているのか確認してみました。以下のリストは実際の記事へのリンクで(純粋にお昼の時点で並んでいるエントリをピックアップしましたので、アダルト系の記事が混ざっていることをご容赦下さい)、新聞等のマスメディアやメディア企業が取材したものが情報源になっている記事ならば「○」、そうでなければ「×」が末尾に付いています:

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※ダブっている記事は1つにまとめてあります。

ということで超個人的な経験、あくまでも今日の僕の昼下りというシチュエーションでは、目にした31記事の中で○が13件、×が18件という結果になりました。仮にマスメディアが全部潰れてしまったとしても、僕の休み時間の約3分の2は埋まるということになります。一安心ですね。

……と、そうすんなりとは行きません。上の分類を見て、「これはちょっと違うんじゃないか」と感じられた方も多いのではないでしょうか。メディア企業が取材した内容が元になっているとはいえ、それに独自の情報や分析を付与して価値を生み出している記事。逆にメディア企業が書いた記事といっても、「新聞社」という大企業のイメージではなく、オルタナティブ・メディアとしてブロガーに近い感覚で取材されているもの。僕自身、「これは○と×、どちらを付けようか」と悩んだものがいくつかありました。情報とは「これは誰々が作り出した記事だ」などとはっきり区別できるものではなく、様々なソースから集められてきた断片が入り交じったものです(最近はネットがきっかけで生まれた新聞記事だって多いはず)。その帰属を決めることなど、あまり意味はないでしょう。

もしネットがただの「新聞コンテンツを送るための伝送路」であれば、そのメリットは速報性だけであり、これほどまでにネットを活用する人はいなかったはずです。それに加えて、様々な人々が参加して情報を追加・加工することにより、より価値のあるコンテンツを生み出しているというのが現在のネットの世界ではないでしょうか。新聞社は「あいつらは単に俺たちが提供したものを消費しているだけだ」という考え方を捨てて、ネットで何が行われているのかを冷静に受け止め、学んでいく必要があるのではないかと思います。

【○年前の今日の記事】

「さあどうぞ。僕の書いた文章、自由に使って下さい」 (2008年4月15日)
ダメな廃品回収業者 (2007年4月15日)

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