決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

Kindle 改め、iPhone が新聞社の救世主となる日

»

リーダー改め予言者のシロクマです。という冗談はさておき、以前から登場がウワサされていた「iPhone 上で動く Kindle」が早くも現実のものとなりました:

Amazon、「iPhone向けKindle」リリース (ITmedia News)

正式名称は"Kindle for iPhone and iPod touch"で、Kindle フォーマット(フォーマット名と端末名が一緒なのでややこしいのですが、要は Kindle 端末向けの電子ブックフォーマット)の電子ブックが iPhone/iPod touch 上で読めるようになるアプリケーション。松尾さんの記事にもあった通り、iPhone から直で Kindle 電子ブックも買えるのか、はたまた Kindle で購入-> iPhone に転送、という手続きを踏まなければいけないのか情報が錯綜しているのですが、後者では iPhone アプリにする意味が半減してしまいます。最終的には iPhone 上でも Kindle 電子ブックが購入できて、すぐに閲覧できるようにしてくるでしょう。

残念ながらこのアプリは現時点で米国内限定、更にそもそも Kindle も日本には出荷されていないということで、ネット上の情報から判断するしかないのですが、仮に Kindle 端末でできることが Kindle for iPhone and iPod touch でも全てできるとしたら――そこでタイトルの話になります。以前個人ブログの方で、こんな記事を書きました:

新聞業界の救世主としての Kindle
新聞よ、Kindle を配れ

実はご存知の方も多いと思いますが、Kindle では新聞・雑誌記事も購入することができ、既に多くの新聞が配信を開始しています。毎朝 Kindle の無線通信機能を使って自動的に配信され、そのまま読むことが可能。1ヶ月の購読料は新聞によって異なりますが、だいたい$5.99~$13.99の範囲内で、$9.99という値付けをしているところが目立ちます。で、これなら新聞社にとってやっかいな作業でしかない印刷・配達・集金というプロセスを Amazon に押し付けることができるし、読者にとっては紙媒体よりも安い料金で新聞が読めるということで、新聞が生き残る道の1つではないかと目されているわけですね。

そして今回の Kindle for iPhone の発表。出荷台数で言えば、Kindle と iPhone では比べものになりません。既に Kindle 向け電子新聞を発行している新聞社にとっては、マーケットがいきなり広くなったことを意味します。さらに Kindle が利用できない地域(Kindle は MVNO で無線通信を実現しているため、単純に端末を海外に持ち出すだけでは利用不可能)にも iPhone は進出していますし、何ヶ月か定期購読することを条件に、iPhone を無料配布してしまうということも考えられるでしょう。「救世主」としての期待は、iPhone の方に向けられていくはずです。

さてさて、日本はというと。皆さんご存知の通り、既に産経新聞が iPhone アプリを発表して話題になっていますが、Kindle for iPhone が使えるようになればアプリを自社開発する必要はなくなります(インターフェースを工夫したいという希望は捨てないといけないけれど)。日本の新聞社にとっても魅力的な話でしょうし、仮に新聞社手動で iPhone 無料配布キャンペーンなどが始まることとなれば、Softbank Mobile にとっても嬉しい話です。これは新聞業界+ソフトバンクで Amazon と Apple に乗り込み、すぐにでも Kindle を日本で利用可能にさせるべきだと思うのですが……いや、これは単に、僕も早く Kindle を触ってみたいから誰か何とかして!という願望でした。

【関連記事】

Kindle キラー、その名はiPhone?(シロクマ日報)
Kindle iPhoneアプリという手があったか(CloseBox and OpenPod)
「Kindle iPhone アプリ」が現実に?(シロクマ日報)

< 追記 >

余談ですが、Kindle 2 に搭載されていたテキスト読み上げ機能(Kindle 対応の電子書籍なら、オーディオブックでなくても Kindle が自動的にテキストを読み上げてくれるというもの)、著作者団体の横やりで一部制限されてしまうことになっています:

Kindle 2、テキスト読み上げ機能で一歩後退

仮に Kindle for iPhone でもテキスト読み上げ機能が全面的に使えていたら、クルマの運転中は iPhone に本を読んでもらい、着いたら Kindle で続きを読む……などという行動ができていたはず。著作権絡みの問題はいろいろ難しいことは理解していますが、なんとか利用者の利便性が守られる方向で決着して欲しいものです。

< 追記2 >

松尾さんの記事によると、残念ながら現時点で Kindle for iPhone では新聞・雑誌・ブログの購入はできないとのこと:

ビデオで見るKindle for iPhone (CloseBox and OpenPod)

松尾さんの仰る通り、iPhone 用の画面最適化に時間をかけているだけで、今後対応してくるのではないでしょうか。究極的にはSDKのようなものが出て、誰でも簡単に Amazon/Kindle 経由で iPhone 向け書籍を販売できる、なんて状況になると面白いのですが……。

Comment(2)

コメント

米国在住のものですが、Kindle on iPhoneは確かに便利です。これが電子ブックリーダーとして使われる可能性はそこそこ高いと思います。

ただ、雑誌とか新聞とかは、わざわざkindleで買うかなぁ・・・特に新聞。というのも、大手の新聞(New York TimesとかUSA Todayとか)は軒並みニュース閲覧用のiPhoneアプリを無料、あるいはごくごく低価格で販売しているので、そっちを使っちゃう気もします。実際BBCなんかを読むときはSafariよりもそっちを使ってますし。

あさん、コメントありがとうございます。
仰る通り、大手の新聞社は専用アプリの提供に乗り出していますよね。お馴染み New York Times のアプリは評判も良いようですし、Kindle が来たからといって積極的にそちらで販売しようとしない、という傾向はあるかと思います。
ただ専用アプリを開発する余力のない新聞社や、あくまでも購読料モデルにこだわる新聞社は、Kindle/iPhone 経由での販売を望むのではないでしょうか。とはいえ最終的には、読者が何を選ぶのかという話になると思いますが。

コメントを投稿する