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ダイエットには、「強制力のある計画」を

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昨日に引き続きですが、『人は意外に合理的 』からの話。人間は意外と合理的な判断ができる、という頼もしい主張をしてくれる本書ですが、ダイエットで悩んでいる方に朗報となるような?実験も紹介してくれています。それがこちら:

こうした緊張は、ローテク実験でも簡単に明らかにできる。ある実験では、被験者におやつを出し、果物とチョコレートのどちらかを選ばせた。10人の被験者のうち7人がチョコレートを選んだ。しかし、別の被験者グループに違う選択肢を与えると、答えも違うものになった。「来週、みなさんにおやつをもってきます。そのときには果物とチョコレートのどちらがよいですか?」。すると被験者の4分の3が果物を選んだのだ。

また、低俗な映画を観るか、高い評価を得ている洗練された映画を観るかという選択肢を被験者に与えたときには、ゆうに半数を上回る人が『ミセス・ダウト』のような映画を選んだ。この先1週間以内にどんな映画を観たいかと質問すると、突然、被験者のほぼ3分の2が『トリコロール 青の愛』や『シンドラーのリスト』のほうがよい選択肢のように見えるようになった。

とのこと。つまり人間には2つの思考回路が存在しており、一方の回路は健康や教養といったインセンティブに反応し、もう一方の回路は目の前の快楽や興奮といったインセンティブに反応する、と。もちろん本当に意志が弱くて、いかなる場合にも「チョコレートが食べたい!」と叫んでしまう人もいるのでしょうが、将来のことを考える場合には「やっぱり果物にしておいた方が良いよな」と多くの人が考えることができる――これが正しいとすれば、何かを達成したい時に用意すべきは「強制力のある計画」かもしれません。

例えばダイエットの場合。毎晩夜に「明日のお昼のお弁当」を決めておき、それを買うのに必要なお金ピッタリを nanaco にチャージしておいて、現金は持ち歩かないとか。そうすればレジの横にある肉まんに目がいって「やっぱりコレも追加!」ということは出来なくなります。また家族がいては難しいかもしれませんが、夕食は生協などを利用して、1週間分計画して買ってしまうとか。とにかく「何をすべきかを冷静に判断できる時に決めてしまい、その決定以外の行動をできるだけ実行不可能にする」ようにすれば良いわけですね。

そう考えると、達成したい目標が何にせよ、キモは「どうやって強制力を確保するか」という点になるのかもしれません。実は有名なカジノでは、ギャンブル中毒患者のために、「事前に申請をしておくと、ガードマン・顔認識ソフト等によって申請者を認識次第、カジノの場外へその人物を(強制的に)連れ出してくれる」というサービスを実施しているそうです。これはギャンブルがカジノという場所の中で起きる行為(もちろんギャンブルにもいろいろな種類がありますが)だから可能なサービスですが、例えば「申請者に対しては、レンタルしたいDVDを1週間前に申し込まなければ貸してくれないレンタルショップ」「申請者に対しては、購入したい食品を1週間前に申し込まなければ配達してくれないネットスーパー」などといったサービスも考えられるかもしれません。

というわけで、そんな「強制力担保サービス」が面白いなぁと思いつつ、僕もダイエットに思いを馳せるのでした。なぜか旅行中に増えてしまったこの体重、なんとかしないと……。

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