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「若者が海外に行かないのは、ネットで行った気分になるから」論に学ぶべきもの

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なぜ海外旅行に出る若者が減っているのか。「ネットだけで行った気分になるからじゃない?」と旅行業界関係者が漏らした一言が波紋を呼んでいるようです:

「PCとネットで海外に行った気分」? “海外離れ”分析に反応冷ややか (ITmedia News)

ちなみに元となった記事はこちらのようです:

若者に海外離れ 旅行者減、業界は危機感 パソコンで行った気分? (FujiSankei Business i.)

ITmedia の記事も元はZAKZAKの記事なので、若干マッチポンプを狙っているような気がしますが。また記事をよく読むと、

なぜ若者が海外に出ないのか-。推進委の沢辺宏推進室長は「パソコン一つで世界中の情報が楽しめる。『頭の中の旅』が新鮮さを奪った」とみる。推進委は「まず一度は海外の魅力を体感してもらおう」と、個人では尻込みする人も参加できる修学旅行や職場旅行のてこ入れのほか、若者層向けの海外イベントなども計画している。

ということなので、「ネットが若者の海外旅行を減少させる」論は旅行業界としての総意という訳ではなく、ビジット・ワールド・キャンペーン室長の沢辺(澤邊)宏さんがポロッと漏らしてしまった一言、に近いような気もします。僕が記者だったら、「しめた!これで炎上アクセスが狙えるぞ」と心の中でガッツポーズしていたかも。

そうは言ってもこの推測はお粗末なもので、ネット云々よりもいまの若者が置かれている状況に注目すべきだったと思います(沢辺室長には、lastline さんの記事ululun さん記事にある詳しい分析を読むことをお勧めします)。ただ「やっぱり古い人々は分かってないよねー」で終わらせてしまうのもどうでしょうか。

人間は同時に起きた2つの事象を目にすると、論理的な飛躍があったとしても、何らかの因果関係を感じてしまう傾向があるそうです。典型的な例は「ゲン担ぎ」というやつで、「このネクタイを着けている時に契約が取れることが多いから、今日の大事な商談に着けていこう」といった発想は誰しもしてしまいますよね。「若い世代にネットが普及している」+「若い世代の凶悪な犯罪が目立つ(※あくまでもメディア上で)」=「ネットが凶悪犯罪を引き起こしている」的な議論も、因果付けしたがる脳に一因があるのではないでしょうか。だとすれば、「古い人たちは分かってない」と嗤っている若者たちだって、同じように見当外れの分析をしてしまう可能性があると思います。

例えば「ゴールデンウィークだから首都高にクルマが少ない」のように自明に思える因果関係であっても、改めて疑ってみるぐらいの姿勢でいる方が良いのかもしれません。「ネットが海外旅行客を減らす」と同じぐらい意味のない思い違いをしていることに気づくかも。

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