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映画もクチコミに頼る時代?

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先日のエントリで『日本映画のヒット力』を取り上げたばかりですが、タイムリーにこんな調査がありました:

 

10代の女性はハリウッド映画よりも邦画が好き (Business Media 誠)

 

調査会社の C-NEWS が実施した、映画に関する調査について。記事タイトルにもなっている通り、「ハリウッド映画が人気なのは30代以上、10代~20代は邦画が好き」という傾向が見られたとのこと。ちなみに『日本映画のヒット力』に掲載されているデータによれば、いま映画館に足を運んでいるのは20代~30代が中心で、40代以上になると急激に映画を観なくなっているそうです。従って「映画を観に行く層の中に、日本映画の支持が広まりつつある」というのがハリウッド映画の凋落・日本映画の復活につながっていると解釈できるかもしれません。

 

また C-NEWS の調査でもう1つ注目すべきなのは、何が映画を観るきっかけとなったか、という点です:

 
   

映画館で「この作品を見よう」と思ったきっかけは、「テレビCM」が最も多く60%、「テレビのエンタメ情報番組」が50%と、1位2位ともにテレビからの情報だった。10代や20代では「友人」からの情報を参考にしている人が多く、30代では「映画館のポスターや看板」、50代になると「新聞記事」という回答が目立った。

 

つまり邦画を支持する10代~20代は「友人」から映画情報を得ている一方で、ハリウッド映画好きな30代以降の人々は「ポスター」「新聞」など従来型のメディアから情報を得ていると。この傾向は単に偶然なのでしょうか。

 

ここから先は仮説レベルの話でしかありませんが、もしかしたら「ハリウッド超大作!」と呼ばれるような映画が従来型の宣伝戦略(テレビや新聞で大々的に宣伝する)に固執した結果、テレビ・新聞に接する機会の少ない若い世代にアピールするのに失敗した――という背景があるのかもしれません。一方、若い人々は「映画情報の真空」状態を、友人からのクチコミで埋めた――そのクチコミに上手に乗れたのが日本映画だった、のかも。当然、「なんでハリウッド映画ではなく、日本映画がクチコミに乗れたんだ?」という点に答えなければなりませんが(もしかしたら、宣伝予算が少ない邦画がテレビ・新聞以外の道を切り開こうと努力した結果かも)、検証してみる価値のある仮説だと思います。

 

映画に限らず、様々な分野でクチコミの重要性が高まってきているのはご存知の通りです。映画業界の状況を分析してみることで、私たち自身のビジネスにも応用できる知識が得られるかもしれません。同時にテレビ・新聞からは分からない、隠れた邦画の名作に出会える可能性もありますから、休日は研究と称して映画鑑賞を計画してみるのも良いかもしれませんね。

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