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イントラネットの使いやすさ、向上中?

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にわかには信じがたい(?)ニュースですが、Jakob Nielsen's Alertbox に興味深いデータが掲載されています。イントラネットのユーザビリティが改善傾向にある、とのこと:

Intranet Usability Shows Huge Advances (Jakob Nielsen's Alertbox)

米国を中心に、28企業のイントラネットを調査したところ、前回(2002年)の調査に比べユーザビリティが44%改善されたという結果が出たそうです。いくつか気になる数字を拾ってみると:

  • あるインターフェース上で特定のタスクを完了できる成功率が、74%から80%に上昇した
  • またタスクをより早く完了させることが可能になり、生産性が平均で44%上昇した
  • かつての調査で「ユーザビリティが貧弱」と評価された企業においては、生産性が69%上昇した

などの数字が挙げられています。またイントラネットユーザー10,000人を抱える企業を調査したところ、イントラネット上で特定タスクを実行するのに必要なコストは、

  • ユーザビリティの良い企業: 750万ドル/年
  • ユーザビリティが平均の企業: 990万ドル/年
  • ユーザビリティの悪い企業: 1,290万ドル/年

という結果が出たのだとか。この数字も以前の調査に比べ、改善されていますね。詳しい調査方法や結果については、とてもブログのエントリでは追いきれませんので、興味のある方はお手数ですが原文にあたってみて下さい。また2002年の調査結果については、こちらで日本語訳を読むこともできます。

イントラネットのユーザビリティが改善傾向にある理由について、Jakob Nielsen の記事では「以前の調査以降、様々なイントラネット用ユーザビリティガイドラインが登場したこと」を一因に挙げています。確かに5年前に比べれば様々な研究が進んでいるのでしょうが……果たしてこれで一安心、と言えるのでしょうか。仮に現時点で改善傾向にあったとしても、「エンタープライズ2.0」などといった概念の登場により、新しいツールが企業内に登場していますよね。古いガイドラインが通用しなくなり、逆に生産性が低下する、といった恐れがあると思います。

みずほ情報総研の吉川さんの著書『サーチアーキテクチャ 「さがす」の情報科学』でも、企業の中で「さがす」という行為がいかに時間を浪費しているか、具体的に示されています。検索エンジンだけでなく、社内ブログや社内SNS、社内SBMなどといったツールにも、当然ながら独自のガイドラインが必要となるでしょう。次回の Jakob Nielsen の調査で「状況は悪化した、その主犯はエンタープライズ2.0だ」などと言われることがないように願いたいですね。

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