オルタナティブ・ブログ > シロクマ日報 >

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

1本で1日分の……

»

健康食品のパッケージに、「1日に必要な栄養素がこれ1本!」的なキャッチコピーが書かれていることってありますよね。ところが今朝の朝日新聞に、こんな記事が載っていました:

「1本で1日分の野菜」ジュース、35品が落第 (asahi.com)

「1本で1日分の野菜を使用」などと表示された野菜ジュース類の多くは、「厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量350グラム」を下回る量の栄養素しか含んでいないことが、名古屋市消費生活センターの実施した成分分析でわかった。

とのこと。各メーカーさんにはいろいろ言い分があるのでしょうが、厚生労働省が推奨する基準には達していないという結果が出てしまいました。まぁキャッチコピーですから多少の誇張は……と思いますが、35品が落第というのはちょっと多いですね。ちなみに実験の詳細は、こちらのPDFファイルで確認することができます:

消費者生活関連テスト ― 野菜系飲料

冷静に考えれば、「1日にどの程度の栄養素が必要か」を調べ、「目の前にある野菜ジュースでそれをどの程度補えるのか」を判断することができます。しかしそれをせずにこのフレーズに惹かれてしまうのは、それだけ「これ1本で1日分の」という言葉がパワーを持っているからではないでしょうか。

似たようなフレーズに、「これ1本に○○1個分の栄養素が」というのがあります。しかしこれは単に量を示しているだけであって、それが持つ価値(○○1個分摂取して何が良いの?)は示していないですよね。一方の「1本で1日分」は、量を示しつつ、実は「これ1本飲めば1日安心していられますよ」という価値を示しています。だから「本当はダメなんじゃないかな」という疑問を抱きつつも、「まぁ調べようとしたら手間ヒマがかかるし、メーカーが『これ1本で大丈夫』と言ってるんだから信用すればいっか。そっちの方がラクだし」という心境になってしまうのかもしれません。

というわけで、「1本で1日分の」というフレーズの怖さに注意しつつ、その巧みさを学ぶのは良いかもしれません。ただしウソになってしまうことだけはくれぐれもご注意を。

Comment(0)